電車に乗るとき、乗る駅の階段やエスカレーターのすぐそばの車両に乗る、という人は多いだろう。しかし、すでにホームに入線し、ドアが開いている電車ならともかく、まだホームに電車が入線しておらず、そのままじっと待っているというのは時間の使い方としてはもったいない。では、どうすべきなのか。
鉄道の駅で、「のりかえ出口案内」を見たことはないだろうか。この案内は、各駅、各車両ごとに、もっとも近い出口と乗りかえ先が掲載されている。もちろん、そういったものは都心部を中心にしか存在しないが、効率よく移動するには参考にしたほうがいい。
電車1本、200メートル
一般の電車は、1両20メートルの車両が10両、あわせて200メートルである。1分間に歩ける距離が80メートルだとすると、2分半かかる。
たとえば、竹橋のパレスサイドビルにあるマイナビに勤めている人が、西船橋側の車両に乗って駅で降りたら、中野側にあるパレスサイドビル直結の出口まで、それなりの時間を歩かなければならない。それは、時間のロスである。あらかじめ、乗車する前に中野側の車両の入口の前に移動しておかなくてはならない。
三鷹から竹橋まで、東西線乗り入れの電車で通っている編集部の人がいるとしよう。三鷹駅で乗る場合、東西線直通列車の中央・総武緩行線のホームに行き、最後尾の車両のドアの前で並ぶ。ドアが開き、始発駅なので運がよければ座れるだろう。そして最後尾の車両から下車し、マイナビのオフィスのあるパレスサイドビルに直結している改札を出る。これでスマートに会社に通えることになる。
複雑な乗りかえの場合は?
筆者は調布駅周辺に暮らしているので、その場合のスマートな動き方を考えてみよう。同じく竹橋のパレスサイドビルに行くとする。まず調布駅では、都営新宿線直通の電車に乗る。その際に、前よりの8号車~10号車に乗車する。それで、九段下まで行く。九段下だと、エスカレーターが近い。
九段下で難しいのは、改札の前が西船橋より(前より)の2号車・3号車となることだ。その場合、電車が来るまで、最後尾の10号車に向けて移動する。電車が入線するまでに、10号車にたどり着ければいいが、そうもいかないことも多い。
その場合は、電車が来た時点で乗り、竹橋についた時点で降り、改札まで歩く。それでも、1分は削ることができるだろう。
「のりかえ出口案内」を参考に、上手に移動することを考えたい。そしてさまざまな路線に乗り都内を移動することを経験していく中で、出口や階段のある場所や、乗りかえに便利な車両の位置を把握できるようになる。そうすることにより、スムーズに移動できるようになるはずだ。
混んでいる車両を避けるためにも
このやり方には裏技もある。新宿や池袋など、多くの人が利用するターミナルの場合、ホームの階段に近い車両には、多くの人が乗る。そこで、混雑をさけるために、下車駅のホームの階段から離れた車両に乗る。このようにして座るという手法も、もちろんある。 たとえば京王京王線の新宿駅の場合、10両編成の6号車から8号車あたりが、ホームを降りたらすぐに改札に向かう階段がある車両となる。当然ながらそのあたりは混雑している。
時間に余裕のある場合は、そのあたりの車両を避け、最前部か後部の車両に乗ってゆったりと行く、というのもいいだろう。 どこへ向かうのか、どの車両に乗るのが効率がいいかを考えながら電車を利用すると、1分や2分程度の時間を生み出すことができる。その余裕が、もしかすると困ったときに助かる材料になるかもしれない。
著者プロフィール: 小林拓矢
1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学卒。フリーライター。大学在学時は鉄道研究会に在籍。鉄道、時事社会その他についてウェブや雑誌・ムックに執筆。単著『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。ニッポン鉄道旅行研究会『週末鉄道旅行』(宝島社新書)に共著者として参加。
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