ふだん何気なく電車や駅を利用していても、なぜ電車が時間通りに運行できているのか、「混雑率100%」の車両に実際何人乗っているのか……なんて、意外に知らないものですよね。元鉄道員の交通系YouTuberの綿貫渉さんが、面白くてためになる鉄道の豆知識を解説する「眠れなくなるほど面白い 図解 鉄道の話」(日本文芸社)から、一部を抜粋してご紹介します。

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乗務員の裁量で全体の時間を調整

正確性や信頼性は世界でも指折りの日本の鉄道。しかし、時刻表に記された時間よりも電車が早めに出発する駅もあります。鉄道業界では、そんな定刻通りに電車が出発する駅を「採時(さいじ)駅」といい、反対に定刻前に出発する可能性のある駅を「非採時(ひさいじ)駅」と呼んでいます。

駅の間隔が短い大都市の通勤路線では、駅での乗降客が多ければ多いほど、発車時刻が遅れてしまうことが多くなります。そこで発車時刻を乗務員の裁量に任せる駅をつくることで、本数の多い路線でもスムーズに運行できるようになるのです。つまり、時間を確実に守る採時駅と、乗務員の裁量に委ねる非採時駅があるのは、時間調整のために欠かせないことなのです。

この制度を採用している路線では、採時駅は数駅に1駅の間隔で存在しています。時々、ホームに停車中の車内で「1分ほど停車します」といったアナウンスが流れることがあります。この場合は、その駅が採時駅で、発車時刻を調整している可能性が高いといえるでしょう。

余談ですが、発車時刻というのはドアが閉まる時刻ではなく、ドアが閉まってから電車が動きはじめる時間です。時刻表が12時00分00秒発であれば、ドアが閉まるのは11時59分50秒くらいですので、乗り遅れのないように時間に余裕を持って行動しましょう。


本連載は、 「眠れなくなるほど面白い 図解 鉄道の話」より、一部を抜粋してご紹介しています。

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「眠れなくなるほど面白い 図解 鉄道の話」(日本文芸社)
著者:綿貫渉

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