転職希望者にとって履歴書は、相手企業との最初の接点であり、経歴や能力、情熱などを過不足なく伝える必要がある重要な書類だ。それだけに、経験者たちはそれぞれ試行錯誤を続けながら、相手の『心に刺さる』履歴書作りに腐心しているようだ。シリーズでお送りしている「転職の今がわかる、66の質問」の第4回「履歴書」は、そんな先輩たちの履歴書作成の苦労の実態に迫る。
以下、20~30代のマイナビニュース男女会員400名にアンケートを実施し、「転職経験がある」と回答した272名に質問。
Q34.転職に伴う履歴書作成でもっとも悩んだことを教えてください
1位「自己アピールが思いつかない」(33.5%)
2位「明確な志望動機がない」(22.4%)
3位「字をきれいに書けない」(21.3%)
4位「本人希望を書くべきか迷う」(12.5%)
5位「職歴が多くてまとめられない」(9.6%)
6位「その他」(0.7%)
Q35.転職に伴う履歴書で、もっとも自信があった項目を教えてください
1位「職務経歴」(22.1%)
2位「志望動機」(20.6%)
3位「資格欄」(18.4%)
4位「学歴」(16.9%)
5位「自己PR」(15.1%)
6位「その他」(7.0%)
Q36.転職に伴う履歴書で、もっとも自信がなかった項目を教えてください
1位「自己PR」(36.0%)
2位「志望動機」(20.2%)
3位「職務経歴」(15.1%)
4位「学歴」(14.7%)
5位「資格欄」(12.5%)
6位「その他」(1.5%)
Q37.転職に伴う履歴書の作成で、もっとも参考にしたものを教えてください
1位「就活関連のウェブサイト」(48.9%)
2位「就活関連の書籍」(18.8%)
3位「就活に詳しい知人の意見」(16.9%)
4位「仕事仲間の意見」(11.0%)
5位「その他」(4.4%)
Q38.もっとも最近の転職に伴う退職理由を教えてください
1位「一身上の都合」(79.0%)
2位「会社都合」(12.5%)
3位「病気療養」(7.0%)
4位「その他」(1.5%)
Q39.履歴書の作成は手書きでしたか。それともパソコンでしたか
「手書き」(68.8%)
「パソコン」(31.3%)
Q40.転職に伴う履歴書作成で、失敗したことを教えてください(複数回答可)
1位「うまく内容がまとまっていなかった」(38.2%)
2位「字が汚かった」(29.0%)
3位「自己PRが短すぎた」(22.4%)
4位「誇張して書いた」(14.3%)
5位「誤字脱字があった」(9.6%)
6位「未記入の箇所があった」(9.2%)
7位「修正液や修正テープを使った」(5.9%)
7位「その他」(5.9%)
Q41.1枚の履歴書の作成に要した時間を教えてください
1位「1時間以内」(42.6%)
2位「2~3時間」(25.4%)
3位「30分以内」(24.6%)
4位「4~5時間」(4.8%)
5位「6時間以上」(2.6%)
Q42.主な履歴書の作成場所を教えてください
1位「自宅」(83.8%)
2位「カフェ・ファミレス」(5.5%)
3位「勤務先」(5.1%)
3位「図書館」(5.1%)
5位「その他」(0.4%)
Q43.履歴書の写真をどこで撮影したかを教えてください
1位「証明写真ボックス」(61.4%)
2位「写真館や写真スタジオ」(26.1%)
3位「自宅(スマホなどを使用)」(12.1%)
4位「その他」(0.4%)
Q44.もっとも最近の履歴書の送付は、メールでしたか。それとも郵送でしたか
「郵送」(76.8%)
「メール」(23.2%)
■総評
調査の結果、転職の際の履歴書の作成でもっとも悩んだことは、全体の3分の1の票を集めた「自己アピールが思いつかない」(33.5%)となった。2位以下は、「明確な志望動機がない」(22.4%)、「字をきれいに書けない」(21.3%)、「本人希望を書くべきか迷う」(12.5%)、「職歴が多くてまとめられない」(9.6%)が続いている。1位の「自己アピール」はまさに履歴書における最重要ポイントと言えるが、いざ客観的に自分の優れたところを記述するとなると、なかなかに難しいものかもしれない。
履歴書でもっとも自信があった項目は、1位「職務経歴」(22.1%)、2位「志望動機」(20.6%)、3位「資格欄」(18.4%)で、最下位は「自己PR」の15.1%。自信がなかった項目は、1位「自己PR」(36.0%)、2位「志望動機」(20.2%)、3位「職務経歴」(15.1%)となり、ここでも「自己PR」の難しさが際立つ結果となった。また、「職務経歴」と「志望動機」は自信のある人とそうでない人が明確に分かれている。
履歴書の作成にあたってもっとも参考にしたものは、48.9%と半数近くの人が挙げた「就活関連のウェブサイト」となった。ネットの情報の充実ぶりやアクセスのしやすさは紙媒体を大きく上回っているようで、2位の「就活関連の書籍」(18.8%)に大差をつけている。
直近の転職の際の退職理由は、退職理由を表す定型句「一身上の都合」が8割近い79.0%を占め、2位「会社都合」(12.5%)、3位「病気療養」(7.0%)を大きく引き離している。労働法上も退職理由を申告する義務はないことから、「一身上の都合」は広く使用されている。ただしリストラなど会社都合で退職した場合はこの「一身上の都合により退職」ではなく、2位の「会社都合により退職」と記載する必要があり、注意が必要だ。
履歴書の作成は「手書き」派が68.8%に対して「パソコン」派は31.3%。直近の履歴書の送付は、「メール」派が23.2%で「郵送」派は76.8%で、いずれもスタンダードな方法を採る人が多数派となった。また、写真の撮影場所は「証明写真ボックス」(61.4%)と「写真館や写真スタジオ」(26.1%)が9割近くと、こちらも「自宅(スマホなどを使用)」(12.1%)を大きく上回っている。会社から特に指定がない場合には、相手の心象を考え、昔ながらの手堅いやり方を踏襲しているということかもしれない。全体で電子化が進む昨今、この点は今後は急速に変化する可能性がある項目だろう。
履歴書で失敗したこと(複数回答可)は、1位「うまく内容がまとまっていなかった」(38.2%)、2位「字が汚かった」(29.0%)、3位「自己PRが短すぎた」(22.4%)がトップ3となり、4位「誇張して書いた」(14.3%)を含め内容面での失敗を自覚している人が多いことが見て取れる。また2位の「字が汚かった」以外にも、5位「誤字脱字があった」(9.6%)や7位「修正液や修正テープを使った」(5.9%)など手書きゆえの不備もあり、今後の『履歴書の電子化』によって解消される部分かもしれない。
1枚の履歴書の作成に要した時間は、1位「1時間以内」(42.6%)が半数近くを占めた。以下、2位「2~3時間」(25.4%)、3位「30分以内」(24.6%)、4位「4~5時間」(4.8%)、5位「6時間以上」(2.6%)と続いているが、やはり1枚にそう多くの時間を費やすことはできないという転職事情が垣間見える。主な履歴書の作成場所は「自宅」が8割以上(83.8%)で、2位「カフェ・ファミレス」(5.5%)、3位「勤務先」(5.1%)、3位「図書館」(5.1%)に大差をつけている。少数派ではあるが、「勤務先」で転職用の履歴書を書くのはなかなかにスリリングな行為と言えそうだ。
転職をするにあたって、履歴書の果たす役割はとても大きい。とくに転職者を受け入れる企業にとっては新卒時とは異なり、履歴書でプレゼンされるこれまでの職歴で培った経験や経歴で、「この人が使える人材か否か」を判断する。それだけに、まさに転職の成否を左右する最重要ポイントだろう。だからというべきか、「自己PR」や「志望動機」の記述にはみな、大いに苦労している様子がうかがえる調査結果となった。
一方で、電子化が進む中でも履歴書は未だ、手書きや郵送といったアナログなアプローチが健在なことも興味深かった。みなさんもぜひこの結果を参考に、後悔のない履歴書の作成を目指して欲しい。次回はいよいよ転職の本丸とも言える、第5回「面接編」をお送りする。
調査時期: 2018年10月12日~2018年12月18日
調査対象: マイナビニュース会員(20~30代会社員)
調査数: 400人
調査方法: インターネットログイン式アンケート
※写真と本文は関係ありません