20、30、40、50代以上の4つの年代に同じ質問を行い、各年代の転職に関する意識の違いを探る「年代別に聞いた"転職のホンネ"」。今回は、全4回のシリーズの最終回「50代以上」となる。社会人生活も終盤に差し掛かり、さまざまな知見を積み重ねきた50代以上の人たちは、転職に対してはどんな思いを抱いているのだろうか。マイナビニュースの男女会員301名にアンケートを実施し、聞いてみた。

  • 50代編

Q.転職をしたことはありますか

「はい」(69.8%)
「いいえ」30.2(%)

Q.転職をした理由は何ですか。もっとも当てはまるものを教えてください(「転職をしたことはありますか」で「はい」の方にお伺いします)

1位「前職で給与や待遇に不満があったから」(22.9%)
2位「労働時間や休日などの労働条件を改善したいから」(16.7%)
3位「その他」(15.7%)
4位「職場の人間関係を解消したいから」(14.3%)
5位「キャリアアップがしたいから」(13.8%)
6位「給与をアップさせたいから」(10.0%)
7位「自宅からアクセスのいい場所で働きたいから」(6.7%)

Q.これまでの転職回数は何回ですか

1位「1回」(36.2%)
2位「2回」(23.8%)
3位「3回」(18.1%)
4位「5回以上」(14.3%)
5位「4回」(7.6%)

Q.もっとも直近で転職を行った際、どれぐらいの期間を要しましたか

1位「約1カ月」(29.0%)
2位「1年以上」(25.2%)
3位「約3カ月」(19.5%)
4位「半年」(16.7%)
5位「約2カ月」(9.5%)

Q.「もっとも直近で転職を行った際、どれぐらいの期間を要しましたか」で「半年」「1年以上」の方にお伺いします。転職にその期間が必要となった原因は何ですか

1位「いい会社がなかなか見つからなかったから」(35.2%)
2位「なかなか採用されなかったから」(20.5%)
3位「在職中に就職活動を行っていたから」(18.2%)
4位「前の会社を辞めるか迷いがあったから」(14.8%)
5位「スケジュール管理がうまくいかなかったから」(5.7%)
5位「その他」(5.7%)

Q.もっとも直近で転職を行った際、転職先はどのようにして探しましたか。当てはまるものすべて教えてください(複数回答可)

1位「知人や友人の紹介」(35.7%)
2位「ハローワーク」(32.4%)
3位「転職サイト」(24.8%)
4位「求人誌」(20.5%)
5位「企業ホームページの求人」(16.2%)
6位「転職エージェント」(12.9%)
7位「その他」(10.0%)

Q.もっとも直近で転職を行った際、何社の求人に応募しましたか

1位「1~4社」(82.4%)
2位「5~9社」(8.1%)
3位「10~19社」(5.2%)
4位「30社以上」(3.8%)
5位「20~29社」(0.5%)

Q.もっとも直近で行った転職は、成功でしたか? 失敗でしたか?

「成功」(45.7%)
「失敗」(11.9%)
「どちらともいえない」(42.4%)

Q.「もっとも直近で行った転職は、成功でしたか? 失敗でしたか?」でお答えいただいた理由を教えてください

■「成功」

・「今の職場は前の職場よりもレベルが高く、人間関係も良い。給与や休暇も良くなった。勉強できる環境であるので、以前よりも自分がレベルアップした」(57歳女性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「まずまずの職場環境で仕事の内容もよく、給与もまずまず」(57歳男性/教育/専門サービス関連)
・「SEとして、より多くのシステムを構築できるようになった」(60歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「自宅から近い職場となり、通勤時間を大幅に減らすことができた。精神的にも体力的にも仕事がやりやすくなった」(69歳男性/サービス/販売・サービス関連)
・「前勤務先での経験を活かせる上に、待遇も改善できたからです。やりがいも前に比べて、格段にUPしました」(55歳男性/その他金融/営業関連)
・「給与、待遇、労働時間ともに前職とは比べ物にならないくらい良好になりました。ただ、通勤時間が片道1時間45分ほどで、それだけが失敗」(64歳男性/設計/事務・企画・経営関連)
・「前の職場より給料が上がり、通勤時間が短くなり、肉体的・精神的の両方が楽になった」(60歳女性/医療用機器・医療関連/専門サービス関連)
・「転職前の職場では、毎日ほとんどが残業で就業後に予定を入れることができず、残業代もきちんと付けてもらえないうえ、有休もなかなか取りにくい状況でした。新しい職場ではその点がきちんとしていましたので、有休で旅行に行ったりプライベートが充実したりしました」(52歳女性/サービス/その他・専業主婦等)
・「家族など周囲の反対を押し切り、異業種か異職種への転職であったが、この新たなチャレンジによって自分の新たな可能性に気づくことができた。その上、今後の仕事人生にプラスとなる自分のキャリアの幅を拡げることができた」(58歳男性/その他金融/営業関連)

■「失敗」

・「いざ働き始めると、募集時と仕事の内容が大きく違った」(56歳男性/その他/技能工・運輸・設備関連)
・「次の職場へのステップとして現在の職に就いたが、未だにここにいてジャンプできずに、定年になろうとしている」(58歳男性/医療・福祉・介護サービス/公共サービス関連)
・「自分の思っていた職場の雰囲気とは、ほど遠い職場環境でした。仕事の内容も高度で、まったくついていけません。体力的にも難しく、毎日がつらいばかりです。休憩時間も短くて、体が休まる暇もありません。職場の人間関係も複雑で、会社での居場所がまったくありません。早く転職したいと思っています」(51歳男性/その他/技能工・運輸・設備関連)
・「会社の理念が合わない」(59歳男性/家電・AV機器/営業関連)

■「どちらともいえない」

・「給料は下がったが、家族との時間は増えた」(50歳男性/その他電気・電子関連/技能工・運輸・設備関連)
・「給与面や、そのほかの勤務上の条件は当初から期待していた通りだった。しかしながら、在宅勤務が基本なので通勤が少なく、出社するために朝晩歩くこともなくなって、運動不足から健康の維持が心配になってきている」(67歳男性/建設・土木/建築・土木関連技術職)
・「入る前の説明と現実には、やはり乖離がある」(50歳男性/旅行・観光/販売・サービス関連)
・「まだ入社して4カ月しか経ってないため、成功・失敗とは判断できない」(51歳男性/物流・倉庫/技能工・運輸・設備関連)
・「だんだん待遇が悪くなってきた」(53歳男性/建設・土木/建築・土木関連技術職)
・「大企業で福利厚生も充実しておりいい条件ですが、年齢が高いため年俸ダウンした」(57歳男性/鉱業・金属製品・鉄鋼/営業関連)
・「結果をすべて良しと考えるしかない。転職しなかった場合と比較できないから」(59歳男性/通信関連/事務・企画・経営関連)
・「体力的・精神的には成功だったが、経済的には失敗だった(最近では精神的にも失敗のような気がしてきた)」(53歳男性/非鉄金属/IT関連技術職)
・「派遣の方が気楽に仕事ができた。責任ばかりで、『いや』と言えない」(52歳女性/設計/事務・企画・経営関連)
・「理想を言ったらキリがないと思うので」(58歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「給与は最初は上がったが、徐々に上がり方がにぶくなり、最後はマイナスに」(57歳男性/精密機器/メカトロ関連技術職)

Q.今後、また転職をしたいと思いますか

「はい」(30.5%)
「いいえ」(30.0%)
「わからない」(39.5%)

Q.転職をしない理由はなんですか。もっとも当てはまるものを教えてください(「転職をしたことはありますか」で「いいえ」の方にお伺いします)

1位「年齢的に転職への不安があるから」(30.8%)
2位「現在の職場の給与面に満足しているから」(17.6%)
2位「現在の職場の労働条件に満足しているから」(17.6%)
4位「転職していい会社に入社できるか不安だから」(13.2%)
5位「現在の職場の人間関係に満足しているから」(12.1%)
6位「転職活動の時間が捻出できないから」(4.4%)
7位「転職活動を行っている」(2.2%)
7位「その他」(2.2%)

Q.現在の会社での、勤続年数を教えてください

1位「11年以上」(93.4%)
2位「4~5年以内」(4.4%)
3位「2~3年以内」(1.1%)
3位「6~10年以内」(1.1%)

■総評

調査の結果、 50代以上のマイナビニュース会員のうち、転職の経験がある人は69.8%だった。他の年代の転職経験者を見ると、20代は45.5%、30代は72.2%。40代では72.8%となり、20代以外は7割程度の人が転職経験があることがわかった。

転職した理由は、1位は「前職で給与や待遇に不満があったから」(22.9%)。以下、2位「労働時間や休日などの労働条件を改善したいから」(16.7%)、3位「その他」(15.7%)、4位「職場の人間関係を解消したいから」(14.3%)、5位「キャリアアップがしたいから」(13.8%)が続いた。「その他」には、「職場の倒産」「リストラ」「正社員として働きたかった」「結婚に伴う遠方への転居」などが挙がった。転職理由は、20代と40代では50代以上と同様「前職で給与や待遇に不満があったから」が1位に。30代のみ「職場の人間関係を解消したいから」が1位となっている。

これまでの転職回数を聞いた。1位「1回」(36.2%)、2位「2回」(23.8%)、3位「3回」(18.1%)の順位となり、3回以下が8割近い(78.1%)割合を占めている。20代・30代でも「1回」がもっとも多かったが(20代66.2%/30代41.3%)、40代のみ「2回」(31.1%)が最多となっている。

直近の転職で要した期間は、1位は「約1カ月」(29.0%)だった。以下、2位「1年以上」(25.2%)、3位「約3カ月」(19.5%)、4位「半年」(16.7%)、5位「約2カ月」(9.5%)と続いた。他の年代と比較すると、20代では1位「約1カ月」(25.4%)、2位「約2カ月」「半年」(各22.5%)。30代は1位「約3カ月」(25.7%)、2位「半年」(22.5%)、3位「約2カ月」(19.7%)。40代は1位「1年以上」(26.5%)、2位「半年」(21.0%)、3位「約2カ月」(19.2%)だった。年代が下るにつれ期間が長くなる傾向があったが、50代以上では再び「約1カ月」がトップとなっている。この秘密は、どこにあるのだろうか。

「半年」「1年以上」をかけて転職を行った人の、その理由としてもっとも多かったものは「いい会社がなかなか見つからなかったから」(35.2%)だった。この理由は、30代(31.6%)・40代(41.3%)とも共通している。ちなみに20代の1位は「在職中に就職活動を行っていたから」(48.1%)だった。50代以上の2位は「なかなか採用されなかったから」(20.5%)だが、これは他の年代ではいずれも3位となっており、年齢を重ねての転職はなかなか厳しいという実態を反映しているのかもしれない。

直近の転職の際に利用したツールは、「知人や友人の紹介」(35.7%)が最多となった。2位「ハローワーク」(32.4%)、3位「転職サイト」(24.8%)となったが、この「知人や友人の紹介」が多いというのが、50代以上の顕著な傾向と言える。他の年代の1位は、20代「転職サイト」(59.2%)、30代「転職サイト」「ハローワーク」(各41.7%)、40代「ハローワーク」(50.7%)となり、「知人や友人の紹介」はそれぞれ、5位(22.5%)、4位(22.0%)、4位(27.4%)に過ぎず、50代以上ではやはり、それまで培ってきた仕事上の経験や人脈が大きくモノを言うようだ。また「知人や友人の紹介」であるからこそ、転職に要する期間も他の年代より短めになるのかもしれない。

直近で転職で、何社の求人に応募したかを聞いた。1位は「1~4社」(82.4%)で、20代、30代、40代も7割前後が「1~4社」と答えているが、8割を超えたのは50代以上だけだった。

直近で行った転職への評価は、「成功」は45.7%、「失敗」は11.9%、「どちらともいえない」が42.4%となった。20代ではそれぞれ66.2%/5.6%/28.2%、30代では56.4%/6.4%/37.2%、40代は47.9%/8.2%43.8%となり、年代が上がると共に「成功」と捉える評価が減少し、「どちらともいえない」とする割合が増える傾向がある。

それぞれの評価を下した理由は、「成功」では、転職理由で挙げられていた「給与や待遇」「労働条件」「人間関係」「キャリアアップ」などのテーマをクリアできたから、というコメントが多い。「失敗」には課題が克服できなかったケースや、想定外の問題が浮上してしまった、という声が寄せられた。「どちらともいえない」では、課題となるポイントは改善されたものの、全体で見たときには疑問があるとする意見が多かった。これらは年代を問わず、共通する感覚となっているようだ。また時間を経て、自身の転職に対する当初の印象が変化してきたという声もあり、これは長い社会人経験があるからこそわかることなのかもしれない。

今後、また転職をしたいかについては、「はい」が30.5%、「いいえ」は30.0%、「わからない」は39.5%だった。年代別の「はい」を見てみると、20代は26.8%、30代では39.9%、40代が38.4%。比較すると50代以上の転職意欲は30代・40代より低く、20代よりはやや高い、ということになる。

今後、転職をしないとする理由は、1位「年齢的に転職への不安があるから」(30.8%)、2位「現在の職場の給与面に満足しているから」「現在の職場の労働条件に満足しているから」(各17.6%)、4位「転職していい会社に入社できるか不安だから」(13.2%)、5位「現在の職場の人間関係に満足しているから」(12.1%)が上位となった。20代・30代ではトップはいずれも「転職していい会社に入社できるか不安だから」だった。40代では「年齢的に転職への不安があるから」(25.6%)が1位となり、50代以上ではその割合を増しているということになる。50代以上ではやはり、「年齢」という要素がより強く意識されていることがわかる。

最後に、現在の会社での勤続年数を聞いたが、1位「11年以上」(93.4%)、2位「4~5年以内」(4.4%)、3位「2~3年以内」「6~10年以内」(各1.1%)で、「1年以内」という回答はなかった。やはり50代では「11年以上」の長期の勤続者が圧倒的多数を占めている。

もちろん個人差はあるとはいえ、50代以上の世代は、それまでの会社員や社会人としての歩みをある種の総括をする時期に差し掛かっていると言えるのではないか。その意味では今回の調査は、自身のこれまでの会社員生活と転職との関わりを総合的に判断したもの、と捉えられるかもしれない。

その結果、直近で行った転職が「成功」とする人は45.7%と、全年代を通じてもっとも低い割合だったことは象徴的だ。また、転職に要した期間がそれ以外の年代と比べて短く、もっとも利用したツールが「知人や友人の紹介」であったことも大きな特徴となっている。「年齢的に転職への不安がある」ことから今後の転職への意欲も低めで、50代以上は今の職場をまっとうしようという意志が比較的強いことがわかる。

転職の経験も含め、自身の仕事に対する評価を総合的な視点で判断しうる経験や実績を積み重ねてきた、50代以上の社会人。今回のアンケートは、そんな人たちの転職の捉え方が垣間見えるものとなった。転職を考えている20代~40代の人たちにとっても示唆に富んだものとなったのではないだろうか。

調査時期: 2018年12月17日
調査対象: マイナビニュース会員(50代以上の会社員)
調査数: 301人
調査方法: インターネットログイン式アンケート

※写真と本文は関係ありません