本連載の第209回では「ゴールからの逆算思考で仕事の無駄をなくそう」という話をお伝えしました。今回は会議に焦点を当てて、会議の無駄をなくして効率化をする方法についてお話します。

「今日もたくさん会議に出て仕事したなー!」と思っている方へ。本当にそれは「仕事をした」と言えるのでしょうか。確かに会議に参加すると仕事をした気になりますが、果たしてそれは本当に「仕事をしていた」と言い切れるのでしょうか。

というのも、会議はあくまでも仕事を遂行する上での手段に過ぎないからです。そして複数人が同時に集まって行う会議が、果たして目的を達成するための手段として本当にベストなのかどうかという問いを常に持ち続けたいところです。

その上で、以下では会議を効率化するための4つの方法をお伝えします。

1. 所要時間を減らす

とりあえず参加者が集まったところで「さあ、何を話そうか」と切り出すのはさすがに論外として、予め会議の目的と議題を決めずに始める会議をよく見かけます。その会議は何のために行うのか?目的を達成するためにどのように会議を進行するのか?このような目的を設定し、議題に落とし込んで進めることで会議がグダグダになるのを防ぎ効率的に時間を使うことができます。

また、議題を進める上で参加者が知っておくべき情報があれば、事前にその情報をシェアして、インプットしておいてもらうこともまた効果的です。そうすれば、会議では情報共有の時間を極力省くことができます。

2. 開催頻度を減らす

毎日、毎週など開催頻度が高い会議は本当にその頻度での開催が必要かどうかを精査して、差し支えなければ減らしましょう。このようなケースは特にプロジェクトの進捗報告のための会議などで見かけます。プロジェクトの立ち上げ期には毎日のように状況の変化があり、進捗管理に加えて課題管理や変更管理、リソース管理など様々な情報共有と素早い対応が不可欠だったりします。そのため初期の頃には日次での会議が効果を発揮します。しかし、プロジェクトが進んで中盤や終盤になってくると、一般的には初期と比べて落ち着いてくることが多いです。

プロジェクトが中盤や終盤になっても初期に設定した日次での会議の開催が続いていることがありますが、本当にまだ毎日会議を続ける必要があるのでしょうか。プロジェクトに限らず一度設定した会議が惰性で続いているということはよくあるので今一度、開催頻度をチェックしてみましょう。

3. 参加人数を減らす

特に大企業になると、10人を超すような大人数での会議は珍しくないでしょう。しかし、10人や20人といった人数での会議では大抵の場合、会議中に「一言も発しない人」がいることがあります。これは「そういう人が悪い」からではなくて、そもそも会議の参加人数が多すぎることによります。大人数での会議では、どうしても役職が高い人や社交的な人に発言が偏ってしまうものです。

この場合、会議のファシリテーターがうまく立ち回って全参加者に発言を促すことは可能かもしれませんが、発言者が多すぎても今度は収集がつかなくなってしまう恐れもあります。そのため、やはり会議の人数を最低限に絞った方が効果的な運営を行うことができるでしょう。会議を行う際には「本当にその人数が必要なのか?」という疑問を常に持ちましょう。

4. 会議をやめる

ここまで「会議をどのように効率化するのか」という話をしましたが、それ以上に効果が大きいのは「無駄な会議をやめる」ことです。こういう話をすると、「無駄な会議などない」と反発されることがよくあるのですが、ちゃんと検証してみると無駄な会議が見つかることは珍しくありません。

では、そもそも「無駄な会議」とは何でしょうか。これには2つの種類があります。1つは「目的が既に果たされているもの」で、もう1つは「会議を開くより適切な手段があるもの」です。

「目的が既に果たされているもの」とは、当初は目的を持って立ち上げた会議が、既に当初の目的は果たされているのに今も惰性で続いている会議です。慣習的に開催されている会議があったら、今も意味のある目的を持っているものかどうかを問いかけてみましょう。そして、もし既に目的が果たされているのであれば、その会議の廃止を検討しましょう。

もう一つの「会議を開くより適切な手段があるもの」は、参加者が同じ時間帯に集まって話をする必要が必ずしもない場合に当てはまります。一方通行の情報共有のための会議や、リアルタイムでのやり取りが必ずしも必要でない議題の場合はメールや、或いはSlackやChatworkといったチャットアプリなどで済む場合がほとんどです。こうした非同期でのやり取りであれば、お互いに自分の都合の良いタイミングでのコミュニケーションが可能になる上、ログが残るので後から「言った、言わない」の水掛け論になることも防げます。

以上、会議の効率化する方法を4つの観点から説明しました。ぜひ、ご自身の職場の会議を見直して効率化を進めてみてください。