本連載の第196回では「AIツールに仕事を奪われないかと不安になっている方へ伝えたいこと」という話をお伝えしました。今回も引き続きAIツールに焦点を当てて、Chat GPTをどう使いこなすかについてお話します。
AIチャットツールのChat GPTを開発するOpenAI社が3月14日に新しいバージョンのGPT-4を発表しました。これによって画像や長い文章を扱えるようになるとともに、より正確な返答を返せるようになりました。アメリカの司法試験の模擬試験では上位10%の成績で合格しており、その能力は相当なものであることが伺えます。
事務系の仕事をしている職種にとって、このことを脅威と捉えるか好機と捉えるかは見方が分かれると思います。しかし、脅威と捉えて自分たちの職場から排除しようとしても、その先にあるのは衰退しかないでしょう。むしろ好機と捉えて「どのように活用するか」を急ピッチで模索することしか、自分たちが生き残れる方法はないのではと思います。
それでは、どのように活用すればよいのかを以下でお伝えします。
1. 文章の作成と編集・要約
事務系の職種では日常的に報告書やメモ、電子メールなど、さまざまなタイプの文章の作成や編集を行っているのではないでしょうか。このような作業においてはChat-GPTが威力を発揮します。「こういう文章を作成して」と指示を与えると、それに見合った文章をあっという間に作成してくれます。
また、既存の文章を編集したり、要約したりすることも得意です。論文やメディアの記事などの文章をChat-GPTに読み込ませて、たとえば「この文章を中学生にもわかるように変えて」と指示を出せばそのように編集してくれます。また、長文の文章を要約させることで情報収集の時短を図ることも可能です。
2. 情報収集やデータ集計
市場調査や競合他社分析、トレンドの把握など、さまざまな業務における情報収集やデータ集計を効率化するために、Chat-GPTを使用することができます。自然言語処理により、インターネットや社内データベースを検索し、関連する情報を見つけ、その結果を要約し、わかりやすい形で提示することができます。
事務系の職種の人は、この機能を活用することで意思決定や報告のための時間と労力を大幅に削減しつつ、業務のスピードアップを図ることができます。但し、当面の間は情報ソースや信頼性についてはしっかりと確認することが求められるでしょう。
3. 顧客対応やコミュニケーション
Chat-GPTは、よくある質問への回答、クレーム対応、会社の方針や手続きに関するガイダンスの提供など、カスタマーサービス業務を処理する事務職をサポートするために使用することができます。電子メールやLINEなどのメッセージングツールとChat-GPTを統合することで、迅速かつ正確な回答を生成して迅速に顧客対応をできるようになります。それによって事務系の職種の人は、AIでは対応しきれない複雑なタスクに集中できるようになります。
4. オンボーディングと研修
Chat-GPTは、新入社員や継続的なプロフェッショナル育成のためのオンボーディングや研修資料の作成・更新にも活用することができます。AIに既存の教材を分析させ、改善案を提供させることでコンテンツの質を向上させたり、最新の状態にアップデートしたりできます。さらにChat-GPTを使って従業員の知識をテストしたり、学習を強化するためのクイズやインタラクティブな学習活動の内容を作ったりすることで、研修をより効果的かつ効率的な研修内容にすることができます。
5. ブレインストーミング/アイディア出し
新商品やサービスの開発やマーケティングキャンペーン、ブログなどのメディアのコンテンツ作成、イベントの企画など、幅広い分野において、Chat-GPTは力になります。どのようなアイディアが欲しいのか、その目的やご自身の立場、その他の前提条件などをできるだけ明記した上で「こういうアイディアを出してください」と指示を出すと、それに見合った回答を即座に返してくれます。
なお、もし最初の回答が想定しているものからずれていたら、「こういう視点で出して」とか「ターゲットにZ世代の男性を想定して」といった追加情報を加えることで、それらを加味して求める情報に近いものを出してくれます。
ここで紹介したのはChat-GPTの活用方法としてはほんの一例に過ぎません。まだまだ未知な部分が多いので、まずはご自身で使いながら、どのような使い方が最適かを探っていくのがよいでしょう。そのための最初の一歩となるための役に立てれば光栄です。