本連載の第177回では「DAO(分散型自律組織)のスピードが圧倒的に速い理由」という話をお伝えしました。今回も引き続きDAOに関連して、テキストコミュニケーションについてお話します。
DAOとは、ブロックチェーンをベースとしたweb3界隈で流行っている「分散型自律組織」という全く新しい組織形態です。英語の"Decentralized Autonomous Organization"の頭文字を繋いでDAO(ダオ)と呼ばれています。
DAOは目標や価値観を共有する人たちが自然発生的に集まって成り立っています。その集まる場所の多くはDiscord(ディスコード)と呼ばれるアメリカ発のチャットサービスです。テキストやボイスチャットで会話をしたり、画像や動画などのデータを送受信したりすることも可能です。
実は私自身、日本最大級のDAOに所属して日々活動しています。そこでのやり取りの99.9%はDiscord上のテキストチャットで行っています。一方で、テキストチャットでのやり取りに不慣れな人はなかなかDiscordでのコミュニケーションに慣れずに苦戦している人も散見します。そこで、DAOにおけるDiscordでのやり取りをベースにテキストチャットで気を付けるべき3つのことを以下でお伝えします。
1. 一度に入力する文字数を少なくする
テキストチャットでのコミュニケーションにおいて最も大事なことはスピードです。テキストチャットは会話の代替手段なので、当然と言えば当然です。しかし、テキストチャットに不慣れな人はメールの作法をそのまま踏襲しようとして失敗する傾向があります。
チャットの冒頭で相手の役職名や名前、題名、挨拶を書いてから本文を書き出すという人も稀にいますが、これでは本題を書き始めるまでのタイムロスが出てしまいます。
また、普段のメールのように1回送信するためにじっくりと時間をかけて長文を作成する人がいますが、これでは相手を待たせてしまう上に会話のようなテンポの良いリズムでコミュニケーションを取ることができません。
従って、畏まった挨拶や題名などは毎回記述せず、言いたいことを明瞭簡潔に短文で伝えることが大事です。相手との関係性が許せば「いいね」のようなリアクションやスタンプを押すだけでも十分です。それで自分の言いたいことが相手に伝わればいいのです。但し、だからといって相手が不快に感じるような表現をしてしまうと関係性がぎくしゃくしてしまうので、率直ながらも相手のことを慮った表現を心がけましょう。
2. 自分への発言は即対応する
テキストチャットを会話の代替手段として捉えると、自分への発言であることが明白なメッセージについては出来るだけ早く確認・対応することが必要です。もちろん、実際の会話とは違って時間差が生じることが前提の「非同期コミュニケーション」ではあるものの、もし対応できる状況にいるのであれば相手からの問いかけや意見、情報提供などに対して即対応することが求められます。
それはコミュニケーションのスピードを上げるためでもありますが、相手に対するマナーでもあります。テキストチャットが会話の代替手段であると捉えれば、テンポの良いやり取りが当然のことと理解できますね。
無論、だからといって常にテキストチャットに張り付いているというのも難しいかもしれないので、そこは他の用事や仕事などとのバランスを上手くとることが必要です。そこで、相手と込み入った話をする際にはお互いに予め時間を決めておいて、その時間はテキストチャットに集中できるようにしておくのが良いのではないでしょうか。
3. 誤字脱字はスルーする
少し畏まったメールでのやり取りでは、送信前に誤字脱字がないかを逐一チェックするという人も少なくないでしょう。また、部下や同僚からのメールであれば、誤字脱字を見つけ次第、相手に注意するのも珍しくないかもしれません。
しかし、その習慣をテキストチャットに持ち込むのはお勧めしません。テキストチャットはあくまでも「会話の代替手段」です。通常の会話の中で相手が多少、言い間違っても指摘せずに見過ごすのと同様に、テキストチャットでも多少の誤字脱字は見過ごして会話を進める方がスムーズなコミュニケーションができます。
また、テキストチャットで大事なことはスピードであるとお伝えしましたが、誤字脱字の指摘や修正が入ってしまうとその都度、時間をロスしてしまいます。さらに、そうした指摘が続くと相手は「指摘されないように、送信前にしっかり確認をしよう」というマインドになってしまいます。自分が書いたチャットを送信前に過度に確認すると、コミュニケーションのスピードがそこでも下がってしまいます。故に、多少の誤字脱字は見過ごすようにしましょう。
以上、DAOでのDiscordのやり取りを元にテキストチャットによる円滑なコミュニケーションのために気を付けるべきことを3つお伝えしました。これは当然、株式会社でのチャットツールにも当てはまるはずなので、テキストチャットでのコミュニケーションがうまく取れないという方は是非、ご参考になさってください。