本連載の第172回では「作業のチェックにかかる負荷を減らしませんか」という話をお伝えしました。今回はテーマをがらりと変えて、メール対応の負荷についてお話します。
社内外とのやり取りが多い人の中には、メールが日に何十通、或いは何百通も届くという方もいらっしゃるかと思います。実際、1日のメール処理時間は平均で2時間30分もかかっているようです。(※一般社団法人日本ビジネスメール協会のサイトより)
1日8時間勤務とすると、実に勤務時間の31%をメールでのやり取りに費やしているということになります。それは裏を返せば、メール対応の効率化余地が大きいと捉えることもできます。では早速、メール対応に時間がかかってしまうケースを2つのパターンに分けて、それぞれで対処の仕方を考えてみましょう。
1. とにかく受信箱に届くメールの数が多すぎる場合
冒頭の例のように大量のメールが届く場合、それを捌くのに時間がかってしまうのはある程度、仕方がないように思えます。しかしそれでも負荷を下げることは可能です。その対応策を考慮するにあたっては、もっと解像度を上げて「何の作業に時間がかかっているか」を突き止める必要があります。
まずは「そもそもどのメールに返信しなければならないか」を確認するのに時間がかかる場合から見ていきましょう。大量にメールが届く場合、その全てに自分が対処する必要があるケースは稀でしょう。一般的には大量メールの一部、たとえば5%~30%くらいに対処すればよいという場合がほとんどでないでしょうか。
その場合、「自分がどのメールに対処すべきか」という仕分けから始めなければならず、そこに時間がかかっているという話も聞きます。そのような場合には、Outlookなどのメールソフト側にメールの仕分け作業を任せてしまいましょう。
Outlookの画面上部の「ホーム」から「ルール」を選ぶと、差出人や件名に含まれる文字によって通知ウィンドウを表示させたり、音で知らせたりできるようになります。中でも最も使えるのが、該当条件に合致するメールを指定したフォルダに自動的に移す機能です。
たとえば「毎日届くこのメール、対処する必要がないから優先度が低いメールを入れるフォルダを作って、受信する度に自動的に入るようにしよう」ということができます。また、「佐藤さんはAプロジェクトの人だから、佐藤さんからのメールは全てAプロジェクト専用のフォルダに入るようにしよう」というルールを設定すれば、後はOutlookがあなたの代わりに仕分けしてくれます。
この仕分けの自動化によって「対処すべきメールとそうでないメールの仕分け」に加えて「このメールは何に関連するメールか」といった確認にかかる手間が劇的に減るはずです。
なお、仕分けによって「対処が不要な優先度の低いメール」については手間が減るものの、手間がゼロになるとは限らない点には留意が必要です。自動仕分けをしたものの中に、ごくまれに「対応が必要なもの」が混ざっている恐れがあるからです。そのため、やはり受信したメールの差出人や種類によっては一応、簡単にでも内容を確認しておいた方がよいものがあります。
そこでお勧めなのが、「絶対に対応が不要と言い切れるメール以外では、未読メールを残さない」ことです。未読メールが残っているということは、まだ確認していないメールが残っているということになります。それが大量に溜まってきてしまうということは、「対処が必要かもしれない」メールが大量に残っているということと同義です。
そのため、届いたメールは一応、すぐに開いて内容を簡単に把握し、「対応が必要か不要か」を判断しましょう。そして対応不要なものについては、予め作成しておいた「対応不要フォルダ」などに放り込んでしまいましょう。
2. メールの数は多くないが個別のメールのやり取りに時間がかかる場合
社内外から大量のメールが届くというわけではないけれど、メール対応に時間がかかっているというケースもあります。
1通のメールの送信や返信に時間がかかる場合には、「果たしてこの文面でよいのだろうか」と過度に心配して、何度も書き直していると思われます。もちろん、外部の大事な顧客との重要度の高いメールであれば何度も見直すことは必要ですが、それ以外のメールでも「一字一句、誤字脱字がないように」などと慎重に慎重を重ねてメールを書く人がいます。しかし、あなたの仕事は「メールを書くこと」ではないはずです。何かの交渉をまとめたり、仕事を依頼したり、価値のあるものを作ったりすることのはずです。
自分がメールを書いている時間にも、人件費というコストがかかっています。そのコストに見合う以上の時間をかけてメールを書いているならば、それは過剰品質と言わざるを得ません。重要度の低いメールであれば、時間を削ってその分を他の価値ある仕事に振り分けましょう。
以上、メールに時間がかかり過ぎる場合への対処について考察してきました。メールの負荷が高くて困っている方のご参考になれば幸いです。