本連載の第109回では「その会議は必要か」と題し、内容面と形式面の両面から不要な会議を識別する方法についてお話しました。今回も引き続き会議に着目し、会議の手間を省く方法をお伝えします。

「あなたが普段参加している会議は効率的にできていると言えますか」

この問いに自信を持ってYesと答えられる人は少ないのではないでしょうか。会社に所属していれば避けては通れない会議。しかし、全くムダのない効率的な会議を目にする機会は残念ながら殆どありません。

顧客など社外との会議はともかくとして、特に昔ながらの大企業では自社の社員しか参加しない会議においても形式に拘るあまりムダだらけの会議をしているところがあります。そういう会議を見ると、「形式に拘らなければ遥かに効率を上げることができるのに」と考えずにはいられません。

本来、会議には意思決定やアイディア出しなどの会議の目的があるはずです。そして、それらの目的を達成できればよいはずで、その目的達成に関係ない手間は排除して然るべきでしょう。それでは、手間を省いたスマートな会議を実現するために気を付けるべき4つのポイントをお伝えします。

形式に捉われない

そもそも会議を開催するのに会議室を使わなくてはならないという法律はありません。「社内の会議室が埋まっていて開催が遅れる」とか、「大人数の参加者が全員入れる広さの会議室が空くのを待つ」というのは無駄です。

たとえ会議室が空いていなくても、ちょっとした空きスペースなどの机に集合して会議を行えばよいでしょうし、スクリーンなどでの資料共有が不要なら立ち話のようなスタイルで行ってもよいはずです。

さらに、今ならリモートワークが浸透してZoomやTeamsなどのWeb会議ツールを使い慣れているでしょう。そのため会議室がなくても参加者全員が自席からそういったツールを活用して会議を開くという手もあります。

調整に時間をかけない

会議に関しては、調整に手間を取られて四苦八苦している人がいます。あまりに調整が大変であれば、「そもそも人数や参加部署を絞れないか」、「オンラインで開催できないか」「調整ツールを使えないか」などの手を考えてみましょう。

まず人数や参加部署ですが、「念のためあの人も呼んでおいた方がよいのではないか」、「一応、あの部署にも内容を聞いておいてもらおう」などと考えて会議に招待している内に人数が膨れ上がってしまうということがあります。そうすると、人数に比例して調整の手間も増えてしまいます。そのような場合、会議は「必要最低限の参加者」に絞ることを心がけて、他の人たちには後で結果を通知するなどで対応できないかを考えてみるとよいでしょう。

人数を絞れない場合や、絞ってもまだ多い時には「オンラインで開催できないか」を検討するのもよいでしょう。特に出張や外回りなどによる場所の制約でなかなか調整がつかない場合でも、出先からでも参加しやすいオンライン会議であればスムーズに調整できるということもあります。

そして、どうしても人数を減らせずオンライン開催も難しい場合には社内外の日程調整ツールを活用できないか検討するのもありでしょう。関係各所と日程候補や場所を調整して回るのは骨が折れますが、参加者自身にオンラインのツール上で予定を入力してもらうと自動的に会議開催可能日時が表示されるという機能は使い勝手がよいでしょう。わざわざ1人1人に掛け合って調整するより遥かに効率的です。

資料を作りこみ過ぎない

顧客へのプレゼン資料などであればいざ知らず、社内の人との会議でも大変手の込んだプレゼン資料を作る人がいます。人によっては1つの会議でのプレゼンのためにパワーポイントなどで膨大な資料、それも細部に至るまで丁寧に作りこむ人がいます。もちろん、そのような資料が必要なケースもあるでしょうが、全ての会議でそれをやろうとするのはコスパが悪すぎます。

「会議には資料を用意するもの」というのは半ば社会人として常識のようになっていますが、本来は会議の目的を達成できるのであれば資料があろうがなかろうが関係ないはずです。それどころか資料がなくても支障がないのであれば資料など用意しない方が、遥かに効率が良いといえます。

仮にビジュアルでの情報共有が必要だったとしても必ずしも資料が必要、ということにはなりません。ホワイトボードやノート、フリップチャートなどでその場の議論を可視化し、共有するという手もあります。

議事録の作成に手間をかけない

会議の議事録作成に何時間も費やしているということはありませんか。議事録というのは会議の結論や各自が取るべきアクション、結論に至る議論の経緯などを記載しますが、それは参加者の間、さらには関係各所との情報共有に使用するものです。そして、情報共有は一般的には早ければ早いほど価値が高くなります。

そのため、最も良いのは会議中に議事録を作成して会議終了と同時に共有することです。さすがにそれは難しいという場合には、会議後せめて1時間以内に行うとよいでしょう。なお、それを実践しようとすると、何度も見直して誤字脱字や表現方法を修正したりする手間はかけられません。しかし些末な誤字脱字などに捉われて情報共有が遅れてしまうことの方が問題です。

なお、私の経験上ですが会議終了時や直後に議事録を共有した場合には、そうした些末な指摘を受けたことはありません。参加者や関係各所からはむしろ、圧倒的に早く情報共有が行われたことに驚嘆と感謝の意を伝えられたりします。

以上、会議に関する手間を減らすためのポイントをお伝えしました。これまでの常識に捉われず、会議の目的を達成する上で不要なものを徹底的にカットして効率化を実現しましょう。