ローエンド市場から席巻する破壊的イノベーター
「市場を牽引する企業は、市場の成長とともにハイエンドユーザー向けの商品・サービスに力を入れるようになります。結果としてローエンドユーザーとの間で乖離が生まれはじめ、そこに破壊的イノベーター(創造的破壊者)が参入してくるわけです」
KPMGコンサルティング 取締役 パートナー 製造セクター統括責任者 原 宏治 氏 |
製造業を中心に数多の企業の経営戦略立案に関わってきたKPMGコンサルティング 取締役の原 宏治 氏は、マイナビニュース スペシャルセミナー 第16回 『勝てる! ビジネス戦略のススメ』の中で、市場変遷の歴史をこのように分析した。
破壊的イノベーターの例として挙げられたのが、「掃除市場における静電気式のスウィーパー」「カメラ市場におけるスマートフォン」「サーバ市場におけるクラウドコンピューティング」などだ。
特にスウィーパーは典型的で、「掃除の能力としてはほこりを取り除ける程度で、土足で家に上がる欧米においては十分とは言ないものでしたが、安価で手軽だったため、掃除が嫌いなローエンドユーザーから支持されました。そこで売上を伸ばした後に、水拭き機能、スチーム機能、掃除機との組み合わせなどを実現し、掃除用具市場でシェアを獲得していったのです」と振り返る。
IoT時代の鍵を握るオープンクローズ戦略
「IoTから始まる”創造的破壊”を前に、企業は何をすべきか」というサブタイトルが掲げられた今回のスペシャルセミナー。原氏は創造的イノベーション方向性について大きく2つあると分析している。
一つは、上記の「ローエンドカスタマーへの破壊的イノベータの侵入」。そしてもう一つが、「ソフトウェアリッチのパラダイムシフト」である。
こちらはその名のとおり、競争力を生み出すポイントがソフトウェアの世界に移っていることを示すもの。氏は、そうしたソフトウェアリッチの時代を勝ち抜く戦略の一つとして「オープンクローズ戦略」を紹介した。
特許を取得した技術の仕様を公開するなどして多くの企業をパートナーに迎え入れ、パートナーとともに成長していくこの手法は、某半導体素子メーカーや某電気自動車メーカーが実践し、急激なシェア拡大を果たした。そして、IoTがビジネスに組み込まれていくであろう今後は、多くの企業で取り入れるべき戦略になるという。
セミナーでは、オープンクローズ戦略を実践するうえで最も重要な「コア領域」の見つけ方などについて、具体例を交えながら解説。自社の本当のコア領域に気付けていない企業も多いことを指摘しながら、詳細を説明した。
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本稿では、同セミナーの講演スライドを無償で提供します。興味のある方は、以下の資料紹介内のリンク、あるいは記事末の「今すぐ資料をダウンロード」ボタン、「ダウンロードBOXに入れる」ボタンからダウンロードしてください。
また、講演レポートも後日改めて公開する予定なので、そちらもぜひご覧ください。
講演資料の内容
講演資料は全48ページ。第4次産業革命までの歴史などを振り返り、現在の企業が置かれた状況を各国の政策や技術トレンドの観点から分析したうえで、破壊的イノベーションが起こるパターンを分析しています。
後半は、同社が実施した日本企業の意識調査結果を取り上げ、その結果を踏まえて取り組むべき内容を経営の観点から解説。「新規事業創造プロジェクトチーム設置のポイント」や「アイデア創造のポイント」など、具体的なノウハウも組み込まれています。
<PDF内容>
- 第4次産業革命までの変遷
- デジタライゼーションの波
- 米独が国策として取り組む、製造プロセスにおけるイノベーション
- 日本の製造業イノベーションの取り組み
- 2つの破壊的イノベーション
- ハードウェアリッチからソフトウェアリッチへ
- オープンクローズ戦略の例
- 破壊的イノベーションのプロセス
- 破壊的イノベーションの典型例
- イノベーションに対する日本の意識は?
- 学習する組織 新規事業創造PJチームの設置?
- 学習する組織 Design Thinkingの活用
……など