ソフトバンクとベネッセの合弁会社で、教育サービスを手がける「Classi」が昨年4月に正式サービスをスタートしてから1年が経った。この夏には米Knewtonのソリューションを組み込み、アダプティブラーニングへの取り組みも始める。Classi 代表取締役副社長の加藤 理啓氏に、Knewtonの存在が教育をどう変えるのか、話を伺った。
Classiとは?
サービス内容は大きく分けて「授業・学習アプリ」「生徒カルテ」「コミュニケーション」の3つに分かれる。
授業・学習アプリはその名の通り、教育ICTの中心に位置する存在で、先生の授業用教材の提供やWebテストの実施、授業の記録などを行う。生徒カルテでは、生徒それぞれの指導履歴やテスト結果、調査書出力まで、学校の多様なニーズに応える。最後のコミュニケーションは、既存SNSでは実現しにくい先生と生徒のコミュニケーション、データ共有を図る。
こうした総合的なプラットフォームはあまり例がなく、Classiが先行者のポジションにいる。取締役の加藤 理啓氏は、安倍 晋三首相が進める官民対話の一環として文部科学省が今年行った「2020年代に向けた教育の情報化に関する懇談会」へ委員として参加しており、同社が得た知見の情報交換も行っている。
クラウドサービスとしてさまざまな学校へ統合ソリューションを提供する一方で、アダプティブラーニングでは海外の黒船「Knewton」の導入を昨年夏に発表し、約1年をかけて正式運用までのノウハウを貯めてきた。長い期間をかけた理由について加藤氏は「私たちも、Knewtonのレコメンドロジックが日本の子どもたちの学力向上に繋がるのか、この目で確かめたかった」と話す。
アダプティブラーニングは日本語に訳すと「適応学習」だが、画一的な教育プログラムになりがちな学校教育において、習熟度が異なる生徒に対していかにきめ細やかな学習環境の”適応”を実現できるかが、ICT教育における一つの目標となりつつある。アダプティブラーニングは、習熟度の評価と教材のマッチングが重要になるが、そこのレコメンドにKnewtonは一日の長があるというわけだ。
Classiは先生を介した生徒の学習支援を行うプラットフォームであるため、一般的なコンテンツを直接生徒に提供する勉強アプリなどとは異なり、「アダプティブラーニングを提供しつつ、先生が授業で教える、生徒はそうした場で学ぶという関係性を崩さずに支援できるのか」(加藤氏)が重要なポイントだったという。
ただ、正式サービスをスタートするというリリースからわかるように、加藤氏の不安は杞憂に終わった。実はプレリリースの際、Classiはある実証研究を行っていた。