東京ディズニーリゾート30周年の節目の年で高い注目を浴びた、「スター・ツアーズ:ザ・アドベンチャーズ・コンティニュー」。なぜ、もともと高い人気を誇っていたアトラクションのリニューアルに踏み切ったのか。前回に引き続き、テーマパーク施設開発部に所属する古澤英紀さんに、その経緯を伺った。
――アトラクションは、どのような観点で導入やリニューアルが行われるのでしょうか?
古澤さん 客層やパーク内の混雑感など、様々な指標を考慮して検討しています。例えば、東京ディズニーシーは大人向けのイメージが強いかと思いますが、ウォルト・ディズニーが目標としていた「ファミリーエンターテインメント」を実現するためには、あらゆる世代に楽しんでもらうアトラクションが必要です。そこで、東京ディズニーシーの「トイ・ストーリー・マニア!」や「ジャスミンのフライングカーペット」などのディズニーのキャラクター色が強く、お子さまにも親しみやすいアトラクションが導入されました。
――「スター・ツアーズ」がリニューアルされた経緯も、各種指標をもとに行われたのでしょうか?
古澤さん ウォルト・ディズニーの言葉に、「ディズニーランドは永遠に完成しない」という言葉があります。その言葉にのっとり、私たちは、常にゲストに新しい体験をしてもらうにはどうしたらよいかを考えています。「スター・ツアーズ」に関しても、ゲストにより楽しんでいただくため、当時、アメリカで検討されていたリニューアルを日本でも導入できないか検討を進めてきました。
――アメリカの「スター・ツアーズ」との違いはどのようなところにありますか?
古澤さん アトラクション映像などアメリカと同じものを活用している部分もありますが、法律の違い、敷地面積の違いなどがあるので、まったく同じものではありません。また、日本では、ゲストにお待ちいただく場所がアメリカより広いため、そのエリアの内装については一から起こした日本オリジナルのものになっています。そのほか、ロボットのセリフにあるアメリカンジョークを日本人にわかりやすいようにもしました。
このように東京ディズニーリゾートの状況に合わせ、アトラクションのデザインを修正することは今までも行われています。例えば、先ほども話に出た「トイ・ストーリー・マニア!」がそうです。アトラクションのある「アメリカンウォーターフロント」というエリアは20世紀初頭のアメリカをイメージしています。アメリカで導入されたものと外観のデザインを同じまま導入してしまうと、エリアの世界観と合わなくなってしまうので、「ニューヨークの古きよき遊園地」というオリジナルのテーマ設定をすることによって東京ディズニーシーならではの「トイ・ストーリー・マニア!」となりました。
――「スター・ツアーズ」のリニューアルを無事に終えて、今後やっていきたいことはありますか?
古澤さん 既に次のプロジェクトも動いていて、来年オープン予定の「ジャングルクルーズ」リニューアルの担当しており、現在は既に工事も始まっています。新しく生まれ変わるアトラクションがどのような姿になるのか、是非楽しみにしていてください。
過去最大の年間来場者数を樹立
8回にわたってお送りしてきた「東京ディズニーリゾート30周年の舞台裏」。東京ディズニーランドと東京ディズニーシーを併せた年間来場者数は、昨年度の2,750万人に対して今年度は3,070万人の集客を見込んでいる。この3,000万人突破は、パークの歴史の中でも初めてのことだという。それだけの偉業を達成できるのは、地道なステップを支えるスタッフがいて、日々ゲストを飽きさせない仕掛けを生み出しているからにほかならないのだ。