「スター・ツアーズ:ザ・アドベンチャーズ・コンティニュー」 (C)Disney

2013年5月7日、東京ディズニーランドのトゥモローランドに「スター・ツアーズ:ザ・アドベンチャーズ・コンティニュー」がオープンした。これは、1989年に導入した「スター・ツアーズ」を、総投資額約70億円をかけて初めて全面リニューアルしたものだ。

東京ディズニーリゾート30周年の節目の年ということもあり、高い注目を浴びたニューアトラクション誕生のニュース。なぜ、もともと高い人気を誇っていたアトラクションのリニューアルに踏み切ったのか。テーマパーク施設開発部に所属する古澤英紀さんに、その経緯を伺った。

「将来あるべきパークの姿」を考えて施設を開発する

――そもそも、テーマパーク施設開発部はどのような業務にあたっているのでしょうか?

古澤さん 一言で表すと、将来あるべきパークの姿に向けて、道筋を立てる役割ですね。今後数年にわたってどんな施設がパークに必要かを考え、パーク内の施設の在り方を企画・検討し、社内外の関係部署と調整を図るのが主な業務です。また、アトラクション以外のパーク内の施設導入検討も手掛けていますよ。アトラクションに光が当たると華やかな仕事に見られますが、地道な作業も多いです(笑)。

施設開発担当として、「スター・ツアーズ」のリニューアルを担当した古澤英紀さん

――リニューアルでは、特にどのような点にこだわりましたか?

古澤さん ゲストの方に待っていただくエリアの空間演出にはかなり力を入れました。ゲストにとって待ち時間はポジティブなものではありません。待ち時間をいかに楽しい時間に変えられるかも、私たちが常に意識すべき課題の一つです。

新しい「スター・ツアーズ」は、入ってすぐの場所に大型スクリーンがありまして、通常そのエリアでは数十分待っていただくことになります。ですので、そこで待つ時間よりも長い映像を用意して来るたびに違う内容を見られるように工夫しました。また、その先にあるセキュリティエリアと呼ばれる場所で働くロボットのセリフを何通りも用意したりして、何度来ても新鮮な気持ちを味わっていただけるようにしています。その他の内装もリニューアル前の「スター・ツアーズ」とは大きく変わっているので、視覚的にも違いを楽しめるかと思います。

「スター・ツアーズ:ザ・アドベンチャーズ・コンティニュー」大型スクリーン映像の様子 (C)Disney

もちろん、本編の映像内容もがらりと変えました。50通り以上の組み合わせでストーリーが展開され、更に臨場感あふれる3D映像ですので、ゲストを飽きさせないための工夫をソフト面でも作り上げています。

一生の思い出に残る仕事

――リニューアル前と比べて利用者数はいかがですか?

古澤さん やっぱり利用者数は増加していますね。今までの「スター・ツアーズ」は映像が1種類でしたが、複数の映像を用意したことで、「また乗りたい」とゲストの方には思っていただけているようです。

――数字で成果が現れるのは、達成感がありますよね。

古澤さん 本当にそうですね。オーバーに言うと、このプロジェクトは私の一生の思い出に残る仕事だと思っています。というのも、私がこの部署に来た直後に震災が起こり、一時休園した誰もいないパークを初めて目にしました。そのとき、何とかここにゲストを呼び戻したい、元以上のパークを作り上げたいという気持ちがあり、そんな中「スター・ツアーズ」の担当に就くことになったのです。

アトラクション開発は、数年にわたって検討されるものもあり、途中で担当が変わることも少なくありません。ただ、今回のプロジェクトで、私は検証段階からオープンまで携わることができ、とても思い入れがあります。オープン30周年の特別な年ということもありますが、例年以上の多くのゲストにご利用いただいており、微力ながらも当時感じたパークをより活性化したいという夢がかなったと思っています。

※施設開発担当(2)へ続く。(2月5日更新予定)