東京ディズニーリゾート30周年を祝うイベント「ザ・ハピネス・イヤー」。PRとしても行ったのが、ミッキーマウスを始めとするディズニーの仲間たちが、全国32都市を巡った「東京ディズニーリゾート30周年"ザ・ハピネス・ツアー"」。これは、各訪問都市で行われている地元のお祭りのパレードに、ディズニーの仲間たちが参加するプログラムだ。
なぜこれほど多くの都市を訪問することになったのか。前回に引き続き、ツアーを企画・運営した営業二部営業四課長、今井啓祐さんにその理由を伺ってみた。
前の年からお祭りに訪問、見学&交渉を
――「ザ・ハピネス・ツアー」で回る都市は、どのようにして決めたのでしょうか?
今井さん 地元に密着し、その土地で愛されているお祭りを開催している場所を選びました。実は、過去にも同様のツアーを実施したことがあるのですが、地元の方と深い結びつきがあるお祭りにディズニーの仲間が参加させていただくことで、「ミッキーたちが来てくれた!」と驚いてくれる方が多かったのです。その地域にお住まいの皆さまの心に刺さるプロモーションを展開できる手ごたえを感じていました。
そして、出演を交渉したいお祭りには前年のうちに訪問し、ミッキーたちが出演できる環境なのかを視察しました。というのも、パレードを開催することで想定以上のお客さまが集まった場合、安全性をどれだけ担保できるのかという問題があるからです。交渉はお祭りの主催者に連絡してアポ取りを行うこともあれば、主催者の方から来てもらえないかというオファーをいただくこともあります。スタッフ総出で出演交渉を行いました。
――「ザ・ハピネス・ツアー」では、地元の子供たちとパレードを作り上げるそうですが、事前準備などはどのように進めましたか?
今井さん 地元のキッズダンサーとの踊りは、振り付けDVDがあるのでそれを事前にお届けし、練習していただいています。お祭りの前日や当日の午前中には、私どものスタッフが笑顔の見せ方や元気よく踊るためのコツをアドバイスしました。吹奏楽はマーチングの経験のある団体さまとご一緒するので、譜面をお渡ししてどのタイミングで始めるのか終わるのかを直前に確認しています。このように、基本的には自主性にお任せし、直前に最終確認するという流れですね。
「どの世代の心にも響くプロモーション活動」が今後の鍵
――32都市を訪れて、印象的だったエピソードはありますか?
今井さん 行き慣れている大きめの都市よりも、少し小規模な都市にお邪魔した際の歓迎ぶりが非常に大きく、忘れ難いですね。特に今回、様々なメディアにも注目いただいた場所に、新潟県関川村の「The MATSURIサミット in 関川村」があります。村を訪れる意外性もあってか問い合わせが多く、更に住民の方々が村を挙げて私どもを迎え入れてくれました。
ふだん、お祭りに使用している旧道では多くの方が鑑賞できないということで、国道をご用意いただいたりですとか、車の来場者が多いと想定して臨時の駐車場を別途設定していただいたりもしました。なかでも一番印象に残っているのは、お重にお弁当を詰め、沿道でゴザを敷いて座っていたおじいちゃんとおばあちゃんが、ご家族全員でパレードの始まりを心待ちにしてくださったことでしょうか。その姿を見たときは感無量でしたね。
――今後、地方へのプロモーション活動はどのように展開していく予定でしょうか?
今井さん 2012年度より、「三世代ディズニー」という戦略を打ち出しています。お子さまとその親御さん、そしてその祖父母というように、3世代での楽しみ方をオフィシャルウェブサイト等で提案しているものです。宿泊圏エリアでも三世代をターゲットに、一回に訪れる人数や滞在日数を増やしていただけるような商品をアピールすることで、幅広い世代の来園につなげることを今後の課題にしています。
また、「ザ・ハピネス・ツアー」のように、東京ディズニーリゾートの持つコンテンツ力を地域の方々の活動と結びつけ、双方にとってプラスになる活動を提案すること、そして実際に落とし込んでいくことが私たちの使命だと思っています。
※次回はアトラクション施設担当が登場します。(2月4日更新予定)