2013年4月15日、東京ディズニーリゾートは開業から30周年を迎えた。そんな節目を祝うべく、パーク内では「ザ・ハピネス・イヤー」と銘打って、様々なイベントを展開。今年3月20日まで、340日間にわたって盛大なお祭りが繰り広げられている。
一大イベントの企画・実現には、どのような道のりがあったのか。ふだん私たちが東京ディズニーリゾートを訪れた際に目にする「キャスト」ではなく、パークという表舞台に立たないオリエンタルランドの社員にスポットを当て、全8回、毎日更新の短期連載で30周年イベント開催までの裏側に迫る。
今回は、30周年イベント全体の統率を行ったリゾートクリエイト部 イベントグループの西伸介さん、内山公さんに話を伺った。
「周年イベント」に費やす時間はスペシャルイベントの倍!
――まず、リゾートクリエイト部イベントグループはどのような業務を行っているのでしょうか?
西さん イベントグループはその名の通り、東京ディズニーランドと東京ディズニーシーで行われるスペシャルイベントを主幹となって企画しています。例えば、イースターやハロウィン、クリスマスなどですね。なかでも、25周年や30周年といった節目は「周年イベント」と呼ばれる大きなイベント。通常、スペシャルイベント企画は約1年前から動き出しますが、周年イベントに関してはその倍の歳月をかけています。
イベントの企画はどちらにも共通することですが、その都度イベントを開催する目的やターゲットなど、基本的な環境分析から行います。私たちの部署がイベントの根幹部分を定め、各部署を取りまとめて伝達していく役割を果たします。そのため、実現すべき内容がブレないように、軸をいかに確立させるかが私たちの最大のミッションです。
――今回は、イベントの軸となる30周年のテーマに「ハピネス」を掲げています。なぜ「ハピネス」に決まったのでしょうか?
西さん まず、久しぶりに東京ディズニーリゾートへ来てくれるお客様を30周年イベントのメインターゲットに設定しました。実は、10周年・20周年と、周年のタイミングに来場されるゲストの数は回を重ねるごとに増えています。それを更に深堀りすると、数年ぶりに来たというようなゲスト層が特に増えていました。節目を機に、「久しぶりに行ってみようか」という気持ちになっていただけるのだと思います。
久しぶりに遊びに来てくださるゲストに、「ディズニーらしさが伝わりやすく、かつパークだけではなく、ホテルなども含めた東京ディズニーリゾート全体が関わっている一体感を表すテーマって何だろう?」と試行錯誤した結果、「ハピネス」に決まりました。そして、それを実際に表現するにはモチーフが必要だと考え、今回はバルーンが適しているという結論に達したのです。そこから、衣装デザインやパーク内のデコレーション(装飾)を進めていきました。
「ハピネスってなんだ!?」と苦悶(くもん)する日々も……
――ところで、「ハピネス」と一言でいっても、人によって解釈はそれぞれ異なりそうですね。
内山さん まさにその通りです。西をリーダーに、私を含めた5人のスタッフが自分の担当する協力部署にそのコンセプトを伝えていくのですが、お互いのイメージを合致させるのは苦労した点の1つです。私は商品部門とパーク内のデコレーションをデザイン・制作する部門との折衝を担当していたのですが、抽象的な伝え方ではデザイン担当者がイメージできません。どういう風に「ハピネス」を表現していくのか、担当者と何時間も話し合いました。イベント企画というとクリエイティブな印象が強くありますが、実際には他部署との調整業務が大半を占めていますね。
西さん もちろん、私たちには「こういうことを実現したい!」という熱い思いもありつつ、コストやスケジュールなどビジネス面での調整も求められます。そのため、相反する感情との折り合いに悩むことも。正直、ハピネスについて考えている間に、何度も「ハピネスってなんなんだ!?」という壁にぶち当たることもありました(笑)。
イベント計画担当(2) (1月30日更新)へ続く…