会社員の場合、源泉徴収の形で給料から天引きされるため、あまり意識しないままに払っていることが多い税金。しかし、せっかく給料が増えても、「手取りが増えないのは何でだろう?」と手をこまねいているだけなのは、あまりにももったいない。税金の種類や仕組みを理解して、払うべきものは払って、後から慌てないように、また取り戻せるものは取り戻して、"お得生活"ができるように、ゼロから勉強しよう。
税金が返ってくる! ふるさと産品ゲット!
2008年度からスタートしたふるさと納税が、今大ブームだ。特産品がもらえて、税金の軽減もあるこの制度。サラリーマンでも自営業でも年金受給者でも関係なく節税ができる。仕組みを理解して、上手な寄付にチャレンジしてみてはいかが?
寄附金は複数自治体にOK、特産品別に選ぶのも楽しい選択
今、「ふるさと納税」制度が人気を呼んでいる。5年前の2008年にスタートした制度だが、2014年は75万人もの人が、650億円もの寄付をしている。
ふるさと納税は、特定の自治体に寄付を行うと、その分、税金の控除(軽減)を受けられる制度。本来「ふるさと寄付金」という名称だが、特に生まれ故郷に寄付する、という制度ではない。全国に約1,800ある地方自治体から好きな地域を選び、その地域に寄付をすれば、2,000円は自己負担だが、それ以上は税金の優遇が受けられて実質非課税、結果、その分、税金が戻ってくるといううれしい制度なのだ。
ふるさと納税が人気の理由の一番の理由は、自治体を選べば、寄付金に応じた特産品や優待券などがもらえること。「株主優待」で地方特産品をもらっている人もいるかもしれないが、この制度は株価下落のリスクがないどころか、地方自治体の活動に貢献でき、しかも、特産品ももらえてしまう。下表の写真のように、肉、魚、くだもの、米などもらってうれしいものが全国で目白押し。人気が出るのは当然だ。
また、応援する自治体を自分で自由に選べるのも人気の理由。生まれ故郷が東京という人もいるだろうが、特産品で選ぶもよし、旅行で気に入った場所でもよし、恩師のふるさとでもよし。また、特典や地域以外にも、税金の使い道で選ぶという選択肢もある。選ぶ過程もカタログ選び気分で結構楽しめるものだ。
寄付をしたら、特産品をもらえるならそれでハッピーな人も多いと思うが、さらに税金の控除があるのも人気の理由。適用下限額2,000円は自己負担だが、それ以上であれば、確定申告をすると、所得税の還付と住民税の軽減がダブルで受けられる。
所得税については、寄附金控除の枠内、住民税については所得割額の1割までという制限があるが、それにしても年収700万円の人であれば、6万5,000円までは税金が軽減されるので、利用しない手はないといえるだろう。
また、1カ所にしか寄付できないと思いこんでいる人が多いが、何カ所に寄付してもOKというのも魅力。A市に1万円寄付して米を、B町に1万円寄付して地酒を、C県に1万円寄付してカニを、といった楽しみ方ができ、合計寄附金額を確定申告すれば、自動的に住民税も軽減されることになるというまさに一石二鳥ともいえる納税なのだ。
そして、「税金の使い途を自分で選べる」という点にも、ぜひ注目してほしい。日頃、税金を払ってはいるものの、いくら払っているかもはっきりわからず、ましてや何に使われているかなど興味をもったこともない人も多いだろう。
しかし、東日本大震災をきっかけに、せっかくなら自分の寄附金をしっかり使い途のわかるものに払いたいという人が増え、ふるさと納税を使う人が激増したという経緯もある。
ふるさと納税のHPには、特産品以外にも、その地域の税金の使い道が詳細に記載されているので、ぜひ覗いてみてほしい。
震災などの復興活動はもちろん、たとえば、古い建造物の維持に使ってほしい、天然記念物の生き物の生育に使ってほしい、など、自分の興味やライフワークにひっかけて、寄附金先を決めるのは寄付のしがいもあるというものだ。また、こんなことに使っているならと、応援のしがいもある。
興味があったらあなたも活用してみよう!
「ふるさと納税」は聞いたことがあるけれど、活用したことがない。という人もいるだろう。まず、やり方としては、
寄付する自治体を選ぶ
申し込む
入金する
特典が届く
寄付受領証が届く
確定申告をする
控除
という流れになる。申し込み方法は自治体によって様々だが、ほとんどの自治体がインターネットで申し込みできる。入金方法はクレジットカード決済、もしくは、申し込みを行ったあとに郵送されてくる振込用紙で入金する方法の2つがあるので、自分に合った方を選択するとよい。そして、自治体で入金が確認されると、希望した特典が自宅に届く。配送時期は自治体によって様々だ。寄付受領証が手元に届いたら、確定申告をする際に必要な書類になるので、きちんと保管しておこう。そして、確定申告を行えば、所定の金額が控除・還付される。
興味があったら、ぜひあなたも自分の好きな地方自治体を選んで、「ふるさと納税」で地域に貢献してみてほしい。
<著者プロフィール>
酒井 富士子
経済ジャーナリスト。(株)回遊舎代表取締役。上智大学卒。日経ホーム出版社入社。 『日経ウーマン』『日経マネー』副編集長歴任後、リクルート入社。『あるじゃん』『赤すぐ』(赤ちゃんのためにすぐ使う本)副編集長を経て、2003年から経済ジャーナリストとして金融を中心に活動。近著に『0円からはじめるつもり貯金』『20代からはじめるお金をふやす100の常識』『職業訓練校 3倍まる得スキルアップ術』『ハローワーク 3倍まる得活用術』『J-REIT金メダル投資術』(秀和システム)など。