ついに完成した地デジPC。最終回では、驚くほど便利になった地デジの録画機能、そして録画時間に直結するHDDの増設方法を紹介していきたい。「SHADOW f」ならば、小型のPCケースながら最大12TBの大容量も実現が可能。多彩なニーズに応える予約録画と大容量HDDで快適な地デジ環境を構築してみては?
見やすい番組表とダブルクリックでOKの予約録画
前回、組み立てが完了した地デジPC。今回は地デジの視聴・録画の実践編となる。今回の組み立てプランで採用したアイ・オー・データ機器のチューナーカード「GV-MVP/HS3」は、CMカットから携帯機器への持ち出しまで可能と高機能なのが魅力。基本となる番組の「予約録画」が非常に簡単なのも見どころとなっている。
番組の視聴・録画を行うのがTVアプリケーションの「mAgicTV Digital」。EPG(電子番組表)は「mAgicガイドDigital」で表示する仕組みで、新聞のテレビ欄と同じチャンネルが横に並ぶ方式を採用。高解像度のディスプレイならば、10チャンネル以上の同時表示も可能で、番組の一覧性に優れているのが魅力だ。予約録画は簡単で録画したい番組をダブルクリックするだけ。〈予約新規作成〉画面が表示され、基本的には〈OK〉を押すだけで完了だ。
設定画面では、録画番組を保存するドライブを指定できるほか、HDD容量が少なくなった場合、古い録画データを消して容量を確保する機能を搭載し、録り逃しがないようになっている。お気に入りの番組に関しては、自動的に消さないようにロックをかけることも可能だ。
GV-MVP/HS3のユニークなのは、地デジ(フルセグ)に加えて、ワンセグ放送も同時または単独で録画できること。ワンセグといえば、携帯端末向けの放送で画質は低いが、その分録画に必要なHDDの容量が少なくて済む。約20時間録画してもたったの4GBしか消費しない。ニュースやトーク番組など画質がそれほど重要ではない番組の録画に便利だ。さらに、ワンセグで録画した番組は、PSPやiPhone/iPad、Androidケータイにダビングが可能となっている。
PSPやウォークマンへののダビングは、録画した番組のライブラリからダビングしたい番組を右クリック。エクスポートから「メモリースティック・EMPRへのダビング」を選ぶだけとお手軽だ。なお、iPhone/iPad、Androidケータイへの書き出しは、それぞれの携帯端末側へ「TVPlayer」(無料)というアプリの導入が必要となる |
見たい番組を逃さないおまかせ録画
「mAgicガイドDigital」で設定できる「おまかせ録画」も便利だ。これはキーワードやジャンル、放送局、期間など設定した条件に当てはまる番組を自動的に録画してくれるというもの。例えば、「地デジPC」とキーワード設定すれば、その番組情報にその言葉が含まれている番組を録画していく。ファンの芸人やタレントなどの名前を指定しておくのもアリだ。ジャンルでは、スポーツならサッカー、野球、ゴルフなど細かく分類されている。自分の趣味にマッチするジャンルを選んで、番組発掘してみるのも面白いだろう。
このほか、「mAgicTV Digital」の視聴画面は、自由にサイズが変更とデスクトップの隅に小さく表示させておくことも可能。資料を作成しながら、ウェブを見ながらなど"ながら見"を手軽にできるのも便利だ。もちろん。データ放送も楽しめる。
3.5型のHDDをタップリ増設できる心強さ
今回の地デジPCで最大の魅力といえるのが、PCケースに「SHADOW f」を採用することで、コンパクトながら高い拡張性を実現していることだ。なかでも録画時間に直結する、3.5インチのHDDを最大で6台まで搭載できる。2TBのHDDを利用すれば、12TBの容量を持つPCだって生み出せるのだ。また、PCケースと同じタオエンタープライズが発売している、5インチベイ組み込み型HDDラック「EZ-RACK-02」などを利用すれば、便利なリムーバブル方式でさらにHDDを追加することもできる。
ところで、SHADOW fの特徴である側面にHDDを固定するためのシャドーフレームベイに4台のHDDを取り付けてしまうとスペースに余裕が少なくなり、内部ケーブルの取り回しにやや工夫が必要になるので注意しよう。とはいえ、このサイズのPCケースにこれだけのHDDを固定できるのは、大きな強みといえる。それに、側面にあるためHDD自体の取り付け、取り外しは簡単だ。
ツイン・シャドーフレームベイにHDDを4台取り付けたところ。シリアルATAのコネクタがPCケースの中心へと向くように固定する。ベイが独立しているので作業しやすく、HDDの固定は専用のネジで止めるだけで完了と簡単だ |
地デジPCを自作する魅力は、低価格でHDDレコーダー&PCの環境を手にできること。しかも、HDDを手軽に増設できるので録画時間を増やすのが簡単というメリットもある。今回は光学ドライブにDVDスーパーマルチを採用しているが、予算に余裕があるのならば、ブルーレイドライブを搭載するのもいいだろう。多くの地デジチューナーは、ブルーレイへのダビングをサポートしており、ハイビジョン画質のまま録画した番組を残せる。
3Dゲームに興味があるなら、高性能なグラフィックスカードを追加、より快適な動画編集や高速なエンコードを楽しみたいならCPUのグレードを高くするなど、目的や予算に合わせてパーツの組み合わせを自由に選べるのも自作の醍醐味だ。それに、小型ながら拡張性もバツグンと完成度の高いSHADOW fなど、いいPCケースを選べば、CPUやマザーボードを交換しても、そのままずっと使い続けられる。最小限の予算で最新パーツを組み込めるのも、自作ならではの魅力だ。高性能なレコーダーを購入する前に、自作PCで地デジ録画環境を作ることを、ぜひとも検討してほしい。