浮気調査に人探し、盗聴盗撮器の発見、いじめやストーカー被害の対策など、人間関係にまつわる様々なトラブルの調査活動をおこなう探偵社。日頃からモメゴトの数々を最前線で目撃してきた探偵たちが、特に印象に残っている依頼をホンネでご紹介!

「別れさせ屋」と聞いて、まず思い浮かぶのは、不倫や復縁といった訳アリな男女の恋愛模様でしょう。そして依頼内容は、略奪したいから相手を配偶者や恋人を別れさせて欲しい。これが、ステレオタイプな別れさせ屋のイメージです。しかしながら、実はこれは依頼内容の一部に過ぎず、実際には浮気された側、いわゆるサレ妻やサレ夫からのご依頼もあれば、ドロドロした複雑な恋愛とは一線を画し、学校やママ友コミュニティでのイジメ被害者からのご依頼などもあります。正に別れさせ屋は使いようで、その使い道は多種多様。今回取り上げるのは、夫の浮気相手がストーカー化してしまったという事例です。

メンヘラ地雷女子、ストーカーになる

依頼人の香織さん(仮名)は、現在39歳の専業主婦。夫の修斗さんは33歳の会社員。結婚8年目のお二人の間には、2人のお子さんがいます。2人の馴れ初めは、当時看護師として働いていた香織さんの職場である病棟に、修斗さんが入院したこと。真面目で優しく少し頼りない修斗さんはあまり女性との交際経験がなく、明るく献身的でありながらしっかりした年上の香織さんと修斗さんはあれよあれよという間にゴールイン。仲睦まじく、結婚生活を続けてきました。

妊娠、出産による体の変化、多忙な育児、お互いを異性としてよりパパママとして見るようになった関係の変化。そういうものはありましたが、まさか修斗さんが浮気するとは、香織さんは夢にも思っていなかったと言います。

2人の子供のお弁当作り、幼稚園への送り迎え、スーパーへの買い出し、掃除に洗濯。そんな平和な毎日が一転したのは、ちょうど昨年のハロウィンの頃でした。無言電話、捨て垢と思われる不審人物からSNSへのDM、夫の不審な行動。さらに送りつけられたエコー写真(胎児)と離婚届、通学途上での娘への接触。香織さんから語られる内容は、相手の女性がストーカー化してしまっていることは明らかで、我々の目には危険度3.9以上(5段階)に映りました。

相手の女性とは、香織さんの夫である修斗さんの同僚であり、浮気相手だった莉里さんです。莉里さんは、昨年、修斗さんの勤務先に中途採用者として入社し、係長兼チームリーダーの修斗さんが教育係となったのです。

若い頃は、真面目でおとなしく、女性からさほどモテることのなかった修斗さんですが、ファッションセンス抜群の香織さんのプロデュースで垢抜け、また仕事ぶりが会社からも評価されていること、イクメンぶりから、30代にして、職場の女性の目には「理想的な旦那さん」枠の男性として高評価を受けています。そんな修斗さんに対し猛プッシュを開始した莉里さん。単に小悪魔的に、他人の旦那や恋人にちょっかいを出すタイプの女性であれば、修斗さんの一瞬の過ちもここまで大事件にならなかったでしょう。

しかしながら、悩みがある、相談したいという口実で何度も二人で食事や酒を共にした末に体の関係を持って締まった後、後悔し離れようとする修斗さんに対し、プライドを傷つけられた莉里さんは本気になってしまいます。女子力高い24歳の莉里さんは男性からの人気も高いのですが、自分の思い通りにならないことが許せない気質の持ち主のようです。修斗さんに対して不実さを詰ったり責任をとるよう迫るだけでなく、妻の香織さんや子供にまで嫌がらせを始めたのが昨年10月末日、ハロウィンのことでした。

真面目な男性の一度の過ち、それが地獄の幕開けだった

「男性ですから、その……性的な不満が溜まってプロのお店に行くことは、妊娠中や出産後はあってもおかしくないとは思うんです。でも、そんな気配も全くなかったんですね。だから今になって、子供も幼稚園に入った今になって、しかも職場の部下に手を出すなんて許せないと思いました」。女性に免疫がない男性は、熱烈なアプローチを受けると舞い上がってしまうことがよくあります。そしてこういったタイプの男性は、メンヘラ女性という貧乏くじを引きやすく(ターゲットにサレやすく)、また見極めや損切りができないため、気づいた時には泥沼にハマっていることも。

しかし当初の修斗さんに対する怒りは、莉里さんのストーカー行為がエスカレートするに従い、家庭を守るため夫婦で立ち向かわなくてはならないという危機感に変わったと言います。修斗さんが本当に反省しげっそりと憔悴していること、関係は2回であり、2回目は罪悪感から最後までできなかったこと。セクハラや不祥事に厳しいこのご時世、莉里さんが会社で暴露をした場合、真実がどうであれ修斗さんの処分は避けられず、経済的不利益を夫婦だけでなく子供にも負わせる事になること。色々考えた末、香織さんが出した結論は、離婚ではなく、夫婦関係の再構築。そうであれば、このストーカー化した莉里さんを、修斗さんから引き離す必要があります。

何しろ、修斗さんと莉里さんは同じ職場ですから、毎日顔を合わせます。妻の香織さんとしては気が気ではありません。しっかりと反省はしているものの、脅されることで気弱な修斗さんが莉里さんの呼び出しに応じるなどする可能性もあります。そうして、さらにトラップに嵌められるリスクもないとは言えません。そのため、ただ放置する、無視する、あるいは「君とは金輪際会わない。消えてくれ」と強く言い渡すのも考えもの。 では理想的な解決方法とは何でしょうか。莉里さんが修斗さんへの興味や執着をなくす、またはそれどころではなくなるのがベストな展開です。聡明な香織さんは、自ら手を下す事なく、夫の将来を台無しにする事なく、家庭を守るには、プロの別れさせ屋が役立つのではないかと考えたのでした。

別れさせ屋はストーカー問題にも対応する

別れさせ屋というと、どうしても諦められない執着心の強い依頼者が、最終手段として利用するものという印象が強いと思います。ですがこの事例のように、悪意や執着をもって粘着してくるストーカーや虐め(ハラスメント)を円満に断ち切る切り札としても利用できるということは是非広く知られて欲しいと思います。

この事例を読んで、かの名画「危険な情事」を思い浮かべた方もいらっしゃるかもしれません。「男は一夜だけの情事のつもりだった。女は運命だと思っていた。独占したいがための常軌を逸した行動はやがて……」これは男女を逆にしても同じ事です。無惨なストーカー被害が増え、ストーカー規制法が設定されたものの、やはり未だストーカー対策というのは、公権力を借りれば後手にまわり、先手を打って被害を予防するには悔しい事に被害者側が不自由や損失に甘んじなければならない傾向があります。理不尽な恐怖に苦しめられているならば、別れさせ屋が一縷の望みになるかもしれません。

その顎、莉里さんは、新しいターゲットに夢中になり、修斗さんのことなどなかったかのように縁が切れたのみならず、退職したため、香織さん夫婦の生活は元に戻りました。心機一転のため、思い切って、今までの賃貸マンションからマイホームへと引っ越した香織さん夫婦。マイホームローン返済のため、下のお子さんが小学校に入学したら、香織さんもパートタイムで復職するのだと話してくれました。

本当に本当に苦しい。自分では解決できない。または身の危険を感じる。そんな時、あなたは誰に相談しますか。警察、弁護士、共通の知人、身内、上司、カウンセラー……色々な選択肢がありますが、我々別れさせ屋も、合法的かつ柔軟性の高い解決法なのです。 このように別れさせ屋に持ち込まれる相談・依頼内容は様々です。別れさせ屋は弁護士事務所の法律相談とは異なります。こんな依頼は無理だよね……と思う前に、一度相談だけでもしていただければ、あなたの苦しみや執着が解決に向かって動き出すかもしれません。