・感情のコントロールができず、機嫌が悪いと、ピリピリした空気を出す
・できて当然・やって当然の態度
・できなければ徹底的に糾弾するのみで意味のあるフィードバックもない(orできない)
・労い言葉、感謝の言葉がない
・一方的に高すぎる目標を設定する
・四の五の言わずやれと命令する
私が携わる企業での人材育成やコンサルティングの現場で、若手社員からよくある相談が、上記のような「威圧的上司」に対する対処法です。
こういったケースでの、よくあるアドバイスが、「なにくそ根性だ! 上司に認めてもらえるように結果を出して黙らせろ!」といった昭和スタイルのもの。
しかし私は、このような昭和スタイルの考え方には反対です。状況によっては、ただのパワハラ容認にしかならないケースもあります。また、それが「職場うつ」の本質的な要因になっているケースも多々、存在します。
では、どうしたらよいのでしょうか。
威圧的に接する上司は4タイプに分類できる
まずは、そもそもなぜ、「その上司は、威圧的に接してくるのか」を考えてみることからはじめてみましょう。
私は、威圧的上司は、以下4つタイプが存在すると分析しています。※複数に該当するケースもあります
気質タイプ
自分に厳しく、他人にも厳しい生まれもった気質の人。結果を出せないのは「やる気の問題」であるという捉え方をする傾向があり「数字」にしか関心がない。人への関心が希薄で、相手の気持ちへの配慮に欠ける傾向。
下にぶつけるタイプ
組織において、「怒り」は下に向く傾向が存在する。上司の上司が厳しく詰めるタイプの場合、上司の上司に対して、ため込んだストレスを、部下に対して厳しく接すること晴らす。育成の仮面をかぶせてストレス発散している状態。
言い訳ポーズタイプ
上司の上司が厳しく詰めるタイプの場合、上司の上司に対して、「自分は厳しく指導している」というポーズを見せるための既成事実をつくりたい。育成の仮面をかぶせて自己保身をしている状態。
勘違いタイプ
育成の仕方がわからない。厳しく育てれば人は育つ、もしくは、部下は上司の言うことを聴くための存在だと勘違いしている。
いかがでしょうか?
よく、「上司に不満がある場合は、きちんと対話をしましょう」と言われます。確かに、上司が「気質型」「勘違い型」のケースは機能する場合もあるでしょう。だから試してみる価値はあります。
しかし、「下にぶつけるタイプ」「言い訳ポーズタイプ」の場合、キレるか、頭ごなしに説得にかかってくるケースが往々に見受けられるのも現実。つまり、タイプによっては対話が機能しないケースも考えられるのです。
その場合は、以下6つを実践してみることをお勧めします。
対話できない上司への対策
1:「上司(先輩)ガチャ」は存在するという前提で捉える
「上司・先輩=全員が上手なマネジメントをしている」とは限りません。
当たり前のことですが、きちんと育成しようとしている上司もいれば、そうではない上司、そもそも育成スキルが低い上司・先輩は存在します。
「え? そんなの当たり前でしょ?」と大半の皆さんは感じたことでしょう。そう認識した方は、この「1」は気にとめる必要はありません。
気にしていただきたい方は、一定数いる「すべて自分に要因があるのではないか」と一切を自分で背負い込んでしまうタイプの方です。
「必要なことであれば真摯に向き合う」「受け流すべきことであればスルーする」と切り分けることも必要です。
2:パワハラのルールを理解する
パワハラか指導かの線引きは、「通称:パワハラ防止法」で定義されていますが、管理職の約8割が、(たとえ研修等を受けていても)法律を理解していないというデータもあります。
ケースによっては、「本人は、指導のつもり。ただ法律上はパワハラ」の場合もあります。反対に、「実はきちんとした指導に該当するものだった」ということも考えられます。
法律に違反している場合は、相談窓口等へ連絡しても問題ありません。
3:変えられることに集中する
心がしんどい時。「あー。なんでこんな人なのだろう。もっときちんと丁寧に接してくれる人だったらよいのに」と思うこともあるでしょう。
しかし、そう思ったところで、上司のスタイルは変わらないケースが殆どです。だからこそ、「できること」「できないこと」を切り分け、「できること」に集中することが必要になります。
では、「できること」とはどんなことでしょう。
4:理想は「異動させてもらう働きかけ」をする
この連載のタイトル通り、「タイパ」で考えるのであれば、環境を変える方が効率的です。それが許される環境であれば、人事部等に相談し、この働きかけをするのが最も意味があるでしょう。
しかし、そう簡単にできることでもない環境の方も多いのではないでしょうか。
5:人事部等へ相談する
そうすると、次の優先順位にくるのは人事部などの他部署に、今のしんどい実情を相談して手を打ってもらうことになります。
ただ、これも難しい場合は、
6:捉え方を変える
「ストレス耐性を鍛えている修行だ」「将来、自分が部下・後輩をもったときの反面教師にする」と割り切る。
組織には、やはり上下関係があり、下(部下)の立場でできることは限られます。できる範囲で取り組んでみましょう。