新連載「主婦が新聞読んで聞いてみた」では、商社出身のフリーライターで主婦の楢戸ひかる氏が、新聞を読んで疑問に思ったテーマを、主婦目線で調べて読者の方々と共有します。
夫の会社は、確定拠出年金の制度を導入しているが、妻の私は全然わかっていない。従業員の家庭に配布された資料はあるけれど、分厚さ(全部で3センチほどあった!)に威圧されて、完全に放置。そんな中、日本経済新聞で、下記の見出しを見つけた。
主婦的視点で要点箇条書き
確定拠出年金は、運用成績によって将来の年金額が変わる年金
企業が出す掛け金に従業員が上乗せできる仕組みを導入する企業が増えている
上乗せ制度は、「マッチング拠出」と呼ばれる
確定拠出年金のこと、みんな理解しているの?
そもそも、確定拠出年金について、みんなちゃんと理解しているのだろうか? そんな素朴な疑問を、株式会社家計の総合相談センターの代表取締役・吉田江美さんに聞いてみた。
「このところの株高で関心は高くなっていますが、一般的にはまだまだ認知度は低いですね。退職する時に初めて御自身の確定拠出年金のデータを見たという方や、データを見るマイページにアクセスするパスワードを紛失してしまった方なども多いですよ」
「わかっていないの、私だけじゃないんだ…」と、思わず安心してしまう。しかし、ここで、安心している場合ではない! せっかく話を聞きにきているのだから、何かしらを掴んで帰らなければ!!
マッチング拠出は節税になる
吉田さんにマッチング拠出の話を聞いた中で、一番心に響いたのは、「マッチング拠出は、全額が所得控除の対象となる」という点。マッチング拠出として自分が出したお金は、その年の収入から差し引かれて計算されるので、その分の税金を抑えることができる。つまり、節税になるのだ。
どれくらい節税になるか? は、「マッチング拠出」として自分が出すお金や、現在の収入、税率によって異なるが、ザックリとした目安を吉田さんに試算してもらった。「毎月1万円を"マッチング拠出"で20年出した場合、年収500万円なら約72万円、年収700万円なら約78万円、年収1000万円なら約102万円の税金が減る試算となりますね(※)」。
※年収500万円の場合は所得税20%・住民税10%、年収700万円の場合は所得税20%・住民税10%、年収1000万円の場合は所得税23%・住民税10%にて、年収、税率が20年間続いたと仮定して試算。税率は所得で見るので家族構成(扶養家族がいるかどうか)によっても違ってくる。
「マッチング拠出」できる金額には、上限があるのも覚えておきたい点。企業の拠出金と併せて月5万5千円(ほかの企業年金があれば2万7500円)を上限として、企業の拠出金を上回らない金額までを追加できる。
たとえば、給料天引きの財形貯蓄をしているなら節税にはならないが、マッチング拠出をするなら節税になると考えることもできる。マッチング拠出をして収入から差し引かれた金額は、まるまる"儲け"となる訳だから、自分にかかる税金の税率=利回りと考えることもできる。投資をする商品選びよっては、ここから更に利回りもアップするのだから、お金を殖やすチャンスとしては大きい。
もっともマッチング拠出は定期預金などの安定型から投資信託まで選べるので、商品選びによっては元本割れをする可能性がある。またマッチング拠出で定期預金を選んだ場合には60歳まで引き出せないことは念頭に置いておきたい。
財形貯蓄かマッチング拠出か。我が家にとって、どっちがいいのか? それぞれの各家庭でしっかり話し合うべきことなのだろう。
(※本文と写真は関係ありません)
プロフィール:吉田江美 (株)家計の総合相談センター 代表取締役
ファイナンシャルプランナー(CFP)、1級FP技能士、MBA。中央大学大学院国際会計学科卒業。FP歴25年、上場企業向け確定拠出年金講師、名古屋商科大学大学院:会計ファイナンス研究科で客員教授を務めるなど、一貫してパーソナルファイナンスの普及に取り組んでいる。著書に「ネコでもわかる年金の入門の入門」(中経出版)他。新聞、テレビ、ラジオなどマスコミの取材、出演多数。
家計の総合相談センター
http://www.happylife.ne.jp
筆者プロフィール: 楢戸 ひかる(ならと ひかる)
1969年生まれ 丸紅勤務を経てフリーライターへ。中学生と小学生の男児3人を育てる主婦でもある。メルマガ「主婦が始める長期投資」(メルマガ申し込みは、「主婦er」より)を書き始めて、視野の狭さを痛感。新聞を真面目に読もうと決意し、疑問点は取材に行く所存。