本連載では、まだFXや先物取引を始めて間もない方や、現在勉強中だという方を対象に、毎回、ある1つのテクニカル指標をピックアップし、知識編・実践編の2回に分けてご紹介していきます。知識編では、その指標の概要を解説し、値の求め方や一般的な使用方法をお伝えします。実践編では、システムトレードで活用できるよう、知識編でご紹介したテクニカル指標を用いたシステムトレードのプログラミングに挑戦していきます。

今回は、直近の値に重きを置いた指数平滑移動平均によって求められるテクニカル指標、「MACD」をご紹介します。

MACD : 日経平均_日足チャート(1)

■指標解説

「MACD(Moving Average Convergence Divergence)」は、Gerald Appel氏により考案された、トレンド系とオシレーター系の両方の性質を合わせ持つ分析指標です。"移動平均収束拡散法"と訳される同指標は、その名の通り、2本の移動平均間の価格差の拡大や縮小から相場の状況を判断する手法であり、直近の値に重きをおく指数平滑移動平均(EMA)を使用して求められています。

また、算出したMACDのn日指数平滑化平均をトリガーラインとして活用しており、指標の判断や分析の方法は、移動平均指標とほぼ同様であるため、とても明快となっています。

■ラインの算出方法

<1>
まずは指数平滑移動平均(EMA)を計算します。
EMA1日目 : n日間の終値の平均
EMA2日目以降 : 前日EMA +(2÷(n日間+1))×{当日終値-前日EMA}
<2>
MACD = 短期EMA - 長期EMA
[※短期・長期の日数は任意ですが、12日間と26日間が一般的とされています。]
<3>
MACDのトリガーライン = MACDをさらにn日指数平滑化
[※トリガーラインの日数も任意です。9日間などが一般的とれています。]

■売買への使用例

買いのポイントとして、底値圏に下がった位置でのゴールデンクロスが挙げられます。売りはその逆です。MACD自体のトレンドは、価格トレンドに先行して変化が起こるとされるので、相場とは、逆の動きをしはじめたとき、トレンドの転換点を示すといわれています。

■買いシグナル : MACD値が、トリガーラインを上抜いたとき、新規買い ■売りシグナル : MACD値が、トリガーラインを下抜いたとき、新規売り

MACD : 日経平均_日足チャート(2)

■「トレードシグナル」に用意されたMACD指標

ひまわり証券で提供しているシステムトレード用チャートツール「トレードシグナル」には、200を超えるテクニカル指標が搭載されています。上記でご紹介したMACD指標のほか、「トレードシグナル」には合わせて5種類のMACD関連指標が用意されています。

  1. MACD … 平滑移動平均を使用した一般的なMACD指標
  2. MACDオール … MACDとMACDフォレストを同時に描画したもの
  3. MACDフォレスト … 2本のMACDの差分をヒストグラム形式で描画したもの
  4. MACDモメンタム オシレータ … MACDフォレストをモメンタム化してさらに移動平均化したもの
  5. MACD相対力 … 2つの価格データを用いて、MACDを計算したもの

MACD : 日経平均_日足チャート(3)

次回「MACD 実践編」では、今回ご紹介した指標を用いて、システムトレードのプログラミングに挑戦していきます。

参考書籍・参考URL

・『テクニカル分析全集』(田中勝博/著 : 1998年6月)
ひまわり証券「FXテクニカル指標 活用と応用」
ひまわり証券「トレードシグナル 基本情報」

-「実践編」へ続く-