『普通』の証券会社選択なら、「手数料が安い」、「取引執行が早い」といった「一般的な比較事項」が問題になりますが、システム売買、自動売買という点では、これとは違う点で、比較しなければなりません。

現在、日経平均先物での完全自動売買を実現している「プラット・フォーム」を提供している会社は、3社あります。ひまわり証券、トレイダーズ証券、マネックス証券です。FXでの完全自動売買では、国内勢ではODL証券、121証券などがあります。

自動売買を構築するための言語体系や、物理的な環境を、プラット・フォームと表現しています。証券会社の選択は、プラット・フォームの選択でもあります。プラット・フォームが違えば、「言語」が違います。言語が違えば、勉強すべき内容も違います。ただ、安心してください。

英語とフランス語のような『差』はありません。関東と関西程度の「差」です。まったく別物という訳ではなく、表現の仕方が少しだけ違うのです。プラット・フォームの選択は、以下の2点に注意しなければなりません。

  • 習得すべき言語が違う
  • プラット・フォームの機能の差

現在、日本で幅広く利用されているプラット・フォームの言語体系は、エキーラ、イージーランゲージ、メタランゲージの3つがあります。それぞれ、具体名で、解説すれば、ひまわり証券が採用しているのが、トレードシグナルというプラット・フォーム、ここで利用される言語がエキーラ言語となっています。

トレイダーズ証券はトレースタジアムというプラット・フォームで、そしてマネックス証券はマネックストレーダーというプラット・フォームで、それぞれイージーランゲージを採用しています。FX関連の自動売買は、メタトレーダーというプラット・フォームで、ここで採用されている言語が、メタランゲージと呼ばれています。

それぞれ、利用する(できる)単語と、文法が違いますが、ひとつ言語を習得すれば、慣れてくれば"芋づる式"に理解できると考えています。証券会社の選択は、プラット・フォーム(言語)の選択ですが、言語の差は、「方言」程度の差なのです。

しかし、プラット・フォームの機能面での差は、大きく違います。日経平均先物・TOPIXなど株式指数に特化したプラット・フォーム、為替に特化したプラット・フォーム、個別現物株にも対応したプラット・フォームなど、様々な特徴があります。

まとめると以下のようになります。

■ひまわり証券(エキーラ)

日経平均先物、TOPIX、為替の自動売買に対応しています。また、プログラムを構築する際に、参照できるデータも豊富。たとえば、ダウの値動きを参照して、日経平均先物を売買するプログラムを構築することもできます。

■トレイダーズ証券(イージーランゲージ)

日経平均先物、TOPIXの株式指数先物に対応しています。ひまわり証券との違いは、データの参照ができないところです。

■マネックス証券(イージーランゲージ)

個別銘柄の自動売買にも対応しています。データの参照先も豊富です。

■FX自動売買(メタトレーダー)

メタトレーダー、通称、MT4が、一般的です。メタトレーダーは、無料のプラット・フォームで、誰もが、自由にダウンロードして、使うことができます。「無料」であるために、世界中で利用されています。選択する証券会社次第では、日経平均先物やダウのCFD、ゴールド、原油の自動売買も可能です。

プラット・フォームと証券会社は別物です。証券会社は、プラット・フォーム(言語)を選択(採用)し、さらに、採用したプラット・フォームにどんな銘柄(取引対象銘柄)を搭載せるのか……を決めるのです。従って、現在、為替が取引できないトレイダーズ証券が、為替という商品をプラット・フォームに乗せると決めた時点で、自動売買が可能になるのです。

自動売買を始めよう! と考えたときの、証券会社の選択は、自動売買で何を取引したいのか・・・と、どのようなロジックで取引したいのか、で決まります。たとえば、日経平均先物を、一般的なテクニカル分析を利用して自動売買を構築したいということであれば、ひまわり証券、トレイダーズ証券、どちらでも大丈夫です。

しかし、ニューヨークダウの値動きを分析して、日経平均先物を取引したいということですと、現状では、ひまわり証券でしか実現することができません。個別銘柄で自動売買となりますとマネックス証券となります。為替であれば、ひまわり証券か、メタトレーダーを採用しているODL証券、121証券となります。

何をどのような形でトレードしたいのか。証券会社の選択というより、トレードスタイルの選択で、証券会社は決まってきます!

(イラスト : チカダジロー)