サラリーマンは、社内・社外を問わず、時には食事のマナーを意識して、相手に気を使いながら食事する機会もあります。
そこで、基本的なマナーや作法を知っていれば、周囲の好感や、楽しい時間を持つことができます。
今回はパーティーでのマナーとコツを解説します。
開宴直前に会場入りしない
パーティーの案内状に開宴時間の記載しかなくても30分前から受付が始まることが多いので、そのタイミングで会場に到着します。
名刺入れや財布、携帯電話など貴重品は身に付けるか、女性ならチェーンバックなどに入れて、必要なもの以外はすべてクロークに預け、化粧室で身だしなみを整えてから、受付に進みます。
会場到着が15分前では、受付までにバタバタしてしまうので、早めに行くようにしましょう。
会費を準備せず、受付に行かない
会費制のパーティーでは、受付で芳名帳に名前を記帳するか、仕事関係なら名刺を出すことがありますので、名刺はいつもより多めに。
そして、会費はそのときに、財布とは別の封筒に入れ、新札でお釣りが要らないように準備しておくと好印象。会費制だからこそ、財布からヨレヨレのお札を出さず、新札で用意するのがマナーです。
ウェルカムドリンクのグラスはむき出しで持たない
ウェルカムドリンクは、開宴前や会場入場時に頂く飲み物で受け取ったら、開宴までの間に頂きます。グラスと一緒に紙ナプキンが配られますが、これは口を拭くものではありません。
タンブラーグラスに付いた雫で手が濡れたり、雫が下に落ちたりしないために、また、手のぬくもりでグラスの中の氷が溶けないように紙ナプキンはグラスに巻いて使います。
ワイングラスの場合は、グラスの下にあてます。
取り皿いっぱいに料理を盛らない
取り皿に、いろいろな料理を山盛りに乗せ、頂くときには最後まで食べ切れずに残してしまうなんて行為は見苦しくて実に不愉快な印象を与えます。
料理は、自分が一度に食べ切れる量だけを取り皿に盛り、一度に持つ取り皿は一枚だけにして、こまめに料理を取りに行くようにしましょう。
1つのサーバーで料理を渡り歩かない
ひとつの料理に1セットずつサーバー(大きなスプーンとフォーク)がセットされています。
セットされたその料理用ですので、そのサーバーであちらもこちらも近くにある料理を、ついでに盛りつけするのはよくありません。
その料理の前が空くまで順番を待てず、割り込んで料理を取っているように見えるNG行為です。
同じ料理ばかり食べない
立食パーティーは、自由に自分の好きな料理を食べればよいのですが、しかし、1つの料理ばかりを取るのは感心できません。
フルコースと同じように冷たいオードブル系の料理から順に魚料理、肉料理、お寿司や屋台の料理、そしてデザート、コーヒーと食べ進めるのがスマートです。
一度に盛るのは2~3品まで、皿の内側のくぼみに納まる程度が目安です。また、1つの皿の上でいろいろなソースが混じり合わないようにも注意をしましょう。
最初から切り出しの料理に並ばない
立食パーティーの一番の趣旨は食事歓談をしながら、普段話せない方などと交流を深めることです。
何も食事を取らずにひたすら話し込むのもよくありませんが、パーティー開始早々から、切り出しのローストビーフコーナーや屋台形式の料理に列を作って並ぶことはやめましょう。
最初はオードブルなどを頂き、食事歓談をした後にメインの料理を頂くようにしましょう。
料理を食べながら歩かない
立食パーティーで料理を食べながら歩くのはもっと良くないマナーです。人にぶつかり、こぼしたりして周囲の人や会場を汚すかもしれません。
サイトテーブルまで運んで、そこで飲み物と一緒に立って頂きます。左手に皿とグラスを一緒に持ち、右手は空けることができれば、サイドテーブルから離れたところも歓談できます。
テーブルを仲間で占領しない
サイドテーブルを自分たちの仲間内で占領し、テーブルがいっぱいになるまで料理を取ってきて、テーブルを囲む姿はとても見苦しく感じます。
立食パーティーは食事をするだけではなく、その場にいるみんなと歓談し、雰囲気を楽しむためのものです。
ここは自分たちの場所というような食事の仕方ではなく、いろいろなテーブルをまわって、挨拶をしたり、友好を深めたりしましょう。
イス席を占拠しない
壁際に用意されたイスは座って休憩するためのものなので、もちろん利用するのはOKですが、座って食べたり、バッグや上着を置いて席取りをしたりするのはNG。
バッグは常に持ち歩くか、大きな荷物の場合はクロークに預けます。とくに高齢者の方がいるパーティーでは席をゆずりましょう。
料理台に自分の取り皿や飲み物を置かない
メインテーブルは食事を盛りつけるテーブルです。そのメインテーブルを陣取って食事をしたり、自分の使用している取り皿や飲み物を置いたりすると、メインテーブルの雰囲気は台無し。
見苦しく周囲へ不快な思いをさせるのでNGです。また、自分が使い終わった皿やグラスを置くのは絶対にやめましょう。
食事に夢中にならない
パーティーの最初や最後、また途中で主催者やゲストの代表の方がスピーチをされたり、パーティーを盛り上げるために余興が行われたりします。
そのときは、食事をする手を休め、耳を傾けるようにしましょう。ついつい食事に夢中になったり、会話が弾んでスピーチを台無しにしたりしないように。
また、スピーチの最中に会場を歩き回ることはやめましょう。
アルコールを飲みすぎない
長期熟成されたウイスキーは、悪酔いや二日酔いの原因となる成分を生成しにくく、少ない量でも酔いが長時間続くので、悪酔いや二日酔いになりにくい飲み物です。
特にすぐに酔う人はお水を一緒に飲むとよいでしょう。また、肝臓のアルコール代謝を助けるナッツや生ハム、胃にやさしいチーズなどのおつまみと一緒に頂くとよいのですが、やはりお酒の飲み過ぎには注意が必要です。
サイドテーブルに飲みかけのグラスをためない
サイドテーブルには、頂いた料理や飲み物を置きますが、パーティー終盤になると食べ終えた皿が重ねられ、飲みかけのグラスがたくさん放置されがちです。
スタッフに声をかけて回収してもらえばよいのですが、誰のグラスかわからないグラスやお皿は散乱しないように集めておきます。
カクテルを2本のストローで飲まない
カクテルを注文したときに、ストローが2本ついてくると、もう1本はストローが詰まったときのスペア。
フローズン系のカクテルによく使われる極細のストローは、ステアリング・ストローという、かきまぜるためのものです。
カクテルの中にあるフルーツ
カクテルの中に入っているレモンやライムは絞ったあとにグラスから取り出してもよいし、中に入れたままでも構いません。
また、カクテルの中に入っているフルーツは、食べても問題ありません。フルーツの皮や種は紙ナプキンに包んで出します。
著者プロフィール
渡邊忠司
エブリワーク代表取締役、全国サービスクリエーター協会相談役などを務める。皇室をはじめ国内外VIPへの接客の実績を活かしホテリエの養成と就職斡旋が評価され、平成26年に厚生労働大臣賞を受賞。ベストセラーとなった「食べ方とマナーのコツ」(監修/学研)や「接客の基本とコツ」(学研)などがある。