テキトーなショールで落ち着き始めた頃……

今回紹介する捨て変態の偏愛雑貨は、愛用1カ月という、まだまだ知り合って間もない相棒である。長年愛用していた冬用のショールが、昨年、とうとうダメになってしまった。2016年から「そろそろかな……」と思っていたが、かなりお気に入りだったし思い入れもあったので、騙し騙し使っていたものの、段々巻き心地が悪くなってしまい、ついに買い換える決意をした。

しかし、お気に入りだったもの、かつ、冬の間毎日のように愛用するものを買い換えるとなると、なかなか「これ! 」というものが見つからない。けれど、寒さは待ってくれないので、その辺のお店でテキトーなものを買い、寒さをしのいでいた。

すると、テキトーなものだったはずのショールに愛着なんていうのも湧いてきたりして、「しばらくはこれでもいいかもな……」なんて思いつつあった昨年の12月、出会ってしまった。「Tamaki niime」さんのショールに。

  • 出会ったのは、ライトグレーとダークグレーのリバーシブルな粋なやつ

    出会ったのは、ライトグレーとダークグレーのリバーシブルな粋なやつ

その手触りで優しい気持ちになれる

出会いは、よく行く好きなお店で催されていた玉木さんの企画展。たまたまお店に寄ったら、色とりどりのニットたちが店頭を彩っていた。これまた別の好きなお店で以前、玉木さんのニットを買ったことがあり、着心地の良さは知っていたので吸い寄せられるように棚に向かってしまった。

そして、何気なくストールに触れ、あまりの手触りに私は思わず小さな声を上げてしまった。とてつもなく柔らかいのである。柔らかいけれど、心許(もと)なくなるような薄さではなく、ちゃんと暖かい。なんだか撫でているだけで優しい気持ちになれる手触りだったのだ。

逸(はや)る心を抑えつつ首に巻かせてもらうと、あまりの気持ち良さに首の力がほわんと抜けた。見た目のボリュームはあるものの、とても軽くて苦しくない。私が選んだのは大判タイプだったので、長さがあり、いろいろな巻き方が楽しめそうだ。

  • 大判なので肩にさらっと羽織っても◎

    大判なので肩にさらっと羽織っても◎

「見た目のボリュームはありつつ、軽くて巻きやすく暖かいもの」という私の欲しいショールの条件に全て当てはまっていて、心の中で5回くらい「やっと会えたね」と言った。

好きな色と着られる色の違い

tamaki niimeさんのニットと言えば、色鮮やかなものが定番だと思うけれど、私はお店にあった中で一番落ち着いた色味にした。なぜなら実は以前、鮮やかな色味に惹かれて、自分にしては珍しくターコイズカラーのニットを買ったものの、色に身体がついていかなくて(!)あまり着ずに人に譲るという大失態を犯したことがあったからだ。

  • 首元にぐるりと巻いてもOK

    首元にぐるりと巻いてもOK

好きな色と着られる色は違うのだと学んだ私が選んだ色はグレー。アウターを選ばないのでどんどん使っていく予定だ。これから長い年月を共にしたいショールに出会えて本当にうれしい。

筆者プロフィール: ゆるりまい

1985年生まれ。仙台市在住。漫画家、イラストレーター。夫、母、息子の人間4人+猫4匹ぐらし。生まれ育った汚家の反動で、現在ものの少ない暮らし街道爆進中。ものを捨てることが三度の飯より大好きな捨て変態。そんな日常を描いた『わたしのウチには、何にもない。』(KADOKAWA)は2016年、夏帆主演で連続ドラマ化された。現在cakesにて「ゆるりまいにち猫日和」、赤すぐにて「赤すぐみんなの体験記」を連載中。