働き方改革の必要性がかまびすしく叫ばれていながらも、その変化を感じにくかった昨今の日本社会。だが、突如として降ってわいたコロナ禍により、皮肉な形ではあるがその姿は一変した。大手企業をはじめとする多数の会社でテレワーク(在宅勤務)が推奨・励行されたり、フレックス勤務が取り入れられたりするなど、私たちが働く環境は大きく変わった。

その一方で、緊急事態宣言で外出が制限された影響もあり、人々の経済活動は停滞し、国内の景気は一気に冷え込んだ。その経済的ダメージは国内企業にも暗い影を落とし、いわゆる「コロナ倒産」も相次いだ。ビジネスパーソンは襟を正して仕事をする必要があるだろう。

そこで本特集では、新型コロナウイルスがまん延している「アフターコロナ時代」における課題や、求められる働き方などを紹介していく。

今回のテーマは、「アフターコロナ時代に会社員に求められる能力」だ。コロナ禍のせいで以前とは異なる新たなワークスタイルへの変化が求められる公算が大きいが、それに伴い会社員が有しておくべき資質や能力も変わってくることが予想される。

そこで今回、マイナビニュース会員509人に「新型コロナウイルスが会社員の働き方に及ぼす影響」をテーマとしたアンケートを実施したので、その詳細を紹介しよう。

  • アフターコロナ時代、会社員は何を求められるのだろうか

Q. 新型コロナウイルスは、今後も会社員の働き方に影響を及ぼすと思いますか?

はい(92.7%)

いいえ(7.3%)

新型コロナウイルスがビジネスパーソンの働き方に何らかの影響を与えると考えているのは、509人中472人(92.7%)だった。続けてその472人に「どのような資質やスキルが会社員に求められると思うか」を尋ねてみた。集まった回答を詳しくみていこう。

パソコンスキル編

・「テレワークでも効率的に仕事ができるようにすることが大切だと思う」(56歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/IT関連技術職)
・「会社PC持ち出しの場合、セキュリティー・情報流出防止などの教育・知識の確認が必要」(47歳男性/精密機器/メカトロ関連技術職)
・「リモート社会に慣れるようになる」(30歳男性/食品/その他技術職)
・「ネットワークに強い人間が生き残る」(58歳男性/リース・レンタル/営業関連)

コミュニケーション能力編

・「物事の背景を踏まえて話をするコミュニケーション能力」(48歳男性/システムインテグレータ/IT関連技術職)
・「リモートワークを使用しても、同僚や部下をうまく使っていくスキルが求められてくる」(49歳男性/流通・チェーンストア/IT関連技術職)
・「相手の顔を見ないコミュニケーション能力」(40歳男性/銀行/事務・企画・経営関連)
・「意志疎通に今まで以上に気を遣わなければならないと思います」(50歳男性/流通・チェーンストア/販売・サービス関連)
・「同じ空間にいないと、より人間関係が難しくなると思うので、鋭い洞察力なんかが必要」(38歳女性/医療・福祉・介護サービス/事務・企画・経営関連)
・「上司・部下とすぐにコンタクトできるわけではないので、話を簡潔に早く伝えることが必要になると考えている」(39歳男性/輸送用機器/事務・企画・経営関連)

自己管理・判断力編

・「上席・同僚・部下等の人が見ていないときに絶えずモチベーションを維持していくこと」(61歳男性/その他金融/専門職関連)
・「自由な場所でも仕事を進めることができる能力が必要になるし、それまでのやり方を進歩させる改革精神が必要。古い不必要な習わしは廃止する決断が必要」(39歳男性/サービス/その他)
・「なるべく無駄を省いて効率良く業務をこなすこと」(45歳女性/ソフトウェア・情報処理/ IT関連技術職)
・「自分に厳しくできる人間じゃないとおいていかれると思う」(47歳男性/公益・特殊・独立行政法人/専門職関連)
・「指示がなくても先見的に取り組める目とスキルが必要」(53歳男性/流通・チェーンストア/販売・サービス関連)

健康管理編

・「コロナウイルスに負けない身体!」(52歳男性/その他メーカー/事務・企画・経営関連)
・「マスクを常に準備して、使い捨て手袋まで常備してはならなくなったので常に清潔感を保つ努力が必要だと思います」(42歳男性/建設・土木/専門職関連)
・「もはや仕事のスキルとかではなく、コロナと共存することを前提に予防していくしかないと思う」(44歳男性/フードビジネス/販売・サービス関連)

その他

・「AIにできない能力」(50歳男性/化粧品・医薬品/営業関連)
・「ストレス耐性と忍耐力」(56歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/営業関連)

総評

約500名に調査した結果、なんと9割以上が新型コロナウイルスによる影響が今後も続いていくと考えていることがわかった。多くの業種で、今までとは違った働き方の模索がなされていることが、数字にしっかりと表れているのではないだろうか。

そしてアフターコロナに求められるスキルについては、主にリモートワークの効率化やセキュリティ対応に必要「パソコンスキル」、対面での仕事が減少することによってより求められることとなる「コミュニケーションスキル」を挙げる人が多い印象だ。また、時差出勤や自宅での仕事など、自分で自分をしっかりとモチベーションを維持して正しい判断ができる「自己管理・判断力」も求められていた。

そして、テレワークなどが導入できない業種においては、徹底した「健康管理」が必要と考えられているようだ。ソーシャルディスタンスやマスクなど、感染予防・対策を軽んじずにしっかりと意識できることが今後は重要になるのではないだろうか。

調査時期: 2020年6月6日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 509名
調査方法: インターネットログイン式アンケート