サーフショップ主催のツアーやスクールを卒業したら、いよいよ一人、もしくは仲間内だけで車を飛ばし、サーフィンに出かけよう。好きな時間に好きな場所へ行けたり、寄り道ができる気ままさゆえ、サーフィンライフがきっともっと、楽しくなる。今回と次回は、そんな車でのサーフトリップに必要不可欠なグッズを紹介しよう。
(1) ワックス(&ワックススクレイパー)
ファクトリーでの製作工程を見ればわかるとおり、サーフボードの表面は樹脂コーティングされておりツルツル。そのままではサーフィンはできず、裸足の足裏でボードをグリップするための滑り止めが必要だ。そこで広く一般的に使われているのが、ワックス(200円前後)。ロングボードは全面、ショートボードはテールから3分の2まで、ボードのデッキ面に円を描くようにこすりつけて使う。レイルやボトム面にはつけない。適度なグリップ力をキープするため、ワックスは水温の変化に合わせて季節ごとに変えよう(写真は夏用)。水温が高い夏は溶けにくい硬めのワックス、低い冬は硬くなりすぎない柔らかめのワックスが適している。通常のワックスを塗る前に、ベースコートで下地をつくるともちがよいとされる。はがす際は、日が当たる場所にボードを置くなどしてワックスを柔らかくしてからワックススクレイパーでこそげ落とす。
(2) リーシュコード
ボードと自分の体をつなぐリーシュコード(3,000円~5,000円)は、溺れないための命綱であるとともに、他人に怪我をさせないためにも装着するべき必需品だ。インパクトゾーンなどで強力な波に巻かれると、洗濯機の中の洗濯物のようにもみくちゃにされ、どちらが上でどちらが下かもわからないような状態になる。そんな時も、リーシュコードがあれば足首や膝下からリーシュコードを手繰り、ボードを引き寄せることが可能だ。ボードと同じ長さのものを選び、新品は、あらかじめ端と端を持って力いっぱい引っ張り、切れたり外れたりしないかを確認してから使おう。ポイントやコンディションによっては、リーシュコードの有無が命に関わる。ボードや足首につけるベルクロ部分の布地が擦り切れたり、コードのビニール部分が変色してきたら劣化した証。老朽化して切れるのは、たいてい波に巻かれて強いテンションがかかる時なので、危ない目に合う前に取り替えよう。→リーシュコードの装着方法はこちら
(3) ボードケース
主に保管・運搬中に、傷つきやすいサーフボードを保護するために使うのがボードケース。溶けたワックスが車を汚すのを防ぐ意味もあり、柔らかく伸びのよい布でできたニットケースと、ハードケース(右写真)に大別される。ニットケースがショートボード用で5,000円前後、ロングボード用で6,000円前後なのに対し、ハードケースはショートボード用が6000円~1万円前後でロングボード用は1万円~2万円とコストに差がある。保護能力は、ハードケースが優れており、ニットケースには保護能力はほぼないと考えよう。ただし、車で轢いたり部分的に強い衝撃が加われば、どちらを使っていてもボードは折れたりへこんだりする。明確な線引きは難しく、使用状況と持ち主の神経の細かさによって使い分けられているという感じだ。また、最近では、ニットケースよりもライトな、シャワーキャップのようにデッキ面にかぶせるだけのデッキカバー(2000円前後)も登場している。
(4) ビーチサンダル
「海に行くんだから当たり前」と思われるかもしれないが、ボードやウェットなど、用意するものが多いと、当たり前すぎて忘れがちなのがビーチサンダルだ。駐車場からビーチまで、アスファルトの歩道や砂利道を歩くことはよくある。また、夏の焼け付くような砂で火傷しないためにも、足の裏を保護する履物を用意することをオススメする。ポイントによっては、滑りやすい岩場など、足場の悪い場所をボードを傷つけないように気を使いながら歩かなければならない場合もあるので、裏面がツルツルでないものがベター。車に1足常備しておこう。
(5) ソフトキーケース
海に着いてウェットに着替え、ボードをケースから出してワックスも塗りおわり、いざ海へ! と喜びいさんだところではたと悩むのが、車のキーの処理だ。選択肢は、陸でどこかに隠すか、絶対に海に落とさない方法で身に着けるかのどちらか。前者は、車ごと盗難に合う心配をしながらサーフィンすることになるので避るべき。後者では、キーポケットがついているタイプのウェットスーツやリーシュコードに格納するという方法があるが、複数人で海に入り一人が早く上がりたいといった場合に、海上でキーの受け渡しをするのが困難。そこで重宝するのが、首から下げられるソフトキーケース(約700円)だ。ジャージ素材でできているので金属部分が体に当たらず、ウェット内に入れてしまえばどんな巻かれ方をしてもキーだけ出てくることはまず考えられない。なおかつ、ウェットの首元から出し入れできるので、受け渡しも可能というスグレモノだ。なお、上半身にウェットを着ない場合(真夏でトランクスのみで入る場合)は落とす危険性があるのでトランクスに着いているキーポケットに収納しよう。