そのときは彼によろしく
幼なじみと誓い合った夢だったアクアプランツ(水草)の店「トラッシュ」を開店した遠山智史(山田孝之)の前に、ある日突然、トップモデルの森川鈴音(長澤まさみ)が現れた。奇妙な縁で共同生活を始める2人。戸惑う智史だが、何故か鈴音に懐かしさのようなものを感じていた。それもそのはず、鈴音は実は離れ離れになっていた幼なじみ・滝川花梨と同一人物だったのだ。しばらく気づかなかった智史の鈍さに花梨はすねながらも再会の喜びを素直に分かち合う。
13年前、ふたりは「あの町」で出会い、小さな湖畔の廃バスを秘密基地にして遊び回っていた。もうひとりの親友、五十嵐佑司とともに。
花梨と智史は画家になると約束していた佑司(塚本高史)との3人での再会を望んだ。しかし、そんな智史と花梨のところへ届いたのは、「佑司が事故にあった」という知らせ。急いで親友のもとに駆けつける智史と花梨。昏睡状態の佑司、そして時を同じくして花梨に残された時間は残りわずかだと明かされ、戸惑う智史。運命的な再会を果たした彼らを待ち受ける未来とは?
"この世界には、物理学の教科書にも載っていない強い力がひとつある" ――。決して目に見えない力で繋がっている人々の邂逅、想いを繊細に綴ったハートフル・ラブロマンス。原作は『いま、会いにゆきます」、『恋愛寫眞』の市川拓司。この原作はすでに文庫化されており、70万部を突破している。主題歌「プリズム」を歌うのは柴咲コウ。映画にインスパイアされた柴咲は自ら歌詞を書きおろしており、思い入れたっぷりに映画を盛り上げている。
現在、全国ロードショー中
放談メンバー | ||
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はなこ |
マサオ |
ステラ |
「世界の中心で、愛をさけぶ」や「いま、会いにゆきます」に続く、繊細で泣ける純愛ムービーよ。
泣ける……かな?
まわりにいた10代&20代女子、みーんなすすり泣いてた。もちろん、あたしも!
そうなんだ。僕は『いま、会いにゆきます』のラストで号泣したけど、この映画では泣かなかったよ。
それでイイのよ。
えっ? どうして!?
"イマアイ"はヒロインが何があってもカレを愛し続ける話だったでしょ? それに対して、"そのカレ"はヒロインがひたすら愛される話だもん。女性が泣いて当然よ。
なるほど~♪
異議あーり! 花梨(長澤まさみ)が智史(山田孝之)を好きだったのは認める。でも、そんな鈍感な智史にヒロインは"ひたすら愛され"てたかなぁ? いっぱいいっぱい「好き」って言ってないじゃん(怒)!
……これだからニブい女は嫌だわ。
そんな言い方しなくてもぉ(しょんぼり)。好きなら「好き」って言ってくれないとわかんないよー!!
シャイで自分に嘘がつけない男はね、本当に好きな女の子にはなかなか「好き」って言えないもんだよ。
えー、そんなのつまんないよぉ!
そんな男子の純粋な気持ちをサラリと、かつもどかしく描いているわ。ほんと、青春! って感じよね。それにあんただって、そんな智史の、"言葉には出来ないけど彼女のことが大好きで仕方ない"って態度に泣いたんでしょ?
たしかに、そうだけど……。それでも、やっぱさ。この映画を通じて"やっぱりちゃんと「好き」は言ったほうがいい"というのがあたしの結論!
ほんと、女って欲張りね。自分がどこでどうして泣いたか、ぜーんぜんわかってない。
ま、いいじゃない。僕は逆に勉強になったよ。でさ、長澤まさみは『世界の中心で、愛をさけぶ』とか『涙そうそう』で見せた憂いのある演技に磨きがかかって、さらに大人っぽくなったと思わない?
『タッチ』や『ラフ』の漫画っぽいお姫様より、この映画みたいな純文学のヒロインのほうが合うわね、この子。
まさみちゃんがかなりのボッ・キュッ・ボンだってこと、「ラフ」の競泳水着よりこの作品のほうが目立ちました。いいっ♪
アタシのこの映画のツボは塚本高史クンのメガネ姿。素敵だったぁ。萌えたわよぅ。
彼のしっとりした演技、よかったね。青春っぽい、爽やかさが光ってた。実際は無理だとわかっていても、友達にああいうヤツがいたらいいなぁ、と思わせる親近感があるね。
『木更津キャッツアイ』みたいなハイテンションな役柄とはぜーんぜん違うのに、こういう人が友達だったらいいな、という気持ちになるのは一緒だよね。不思議ぃ。
山田孝之の鈍感キャラも含めて、この3人はいいかんじでバランスがとれてた。ただ、ストーリーは三角関係でもつれる話を期待してたから、その点はちょっと期待ハズレ。今度はドロドロにもつれて、まさみを取り合う話を期待するわっ!
あたしはやっぱりこういうちょっぴり苦い爽やか感涙ストーリーが好き。素直に泣けたしネ。次の純愛モノにも期待しちゃうよ
とにかく、「好き」と口に出せないけど、本当はずっと大好きな女子が心の中に住んでいる理系男子におすすめ。ただ、一方的に思っているだけではダメだけど、一度でも"彼女が好き"という自分の心に確信を抱いたら、そのまま突き進めばいい。そんな勇気をくれる、心温まる映画だよ。
(C) 2007「そのときは彼によろしく」製作委員会
イラスト:アサダニッキ