ブラッド・ダイヤモンド

内戦の続くアフリカ・シエラレオネ共和国。メンデ族の猟師ソロモン(ジャイモン・フンスー)は愛する家族とつつましいながらも満ち足りた生活を送っており、自慢の息子を医者にするのが夢だった。しかし、反政府軍RUFの襲撃により一家は離散。ソロモンはRUFの活動資金源であるダイヤモンドの採掘場へ移送され、強制労働を課せられることに。だがある日、大粒のピンク・ダイヤモンドを発見。監視の眼をかいくぐり誰も知られない場所に隠すが、混乱の中、政府軍に捉えられて収監される。

投獄された刑務所にはダイヤの密輸で生計を立てるダニー(レオナルド・ディカプリオ)も捕らえられていた。やりとりの中でダニーはソロモンがダイヤを隠し持つことを知る。ほどなく釈放されたダニーは行きつけのバーでジャーナリストのマディー(ジェニファー・コネリー)と出会う。マディーはダニーの素性を知るやいなや"ブラッド・ダイヤモンド"(紛争の資金源として不正取引しているダイヤのこと)の情報提供を求めるが、ダニーは拒否。しかし、すぐにある情報を得るために彼女のジャーナリストとしての立場を利用しようと逆にに働きかけることになる。 第79回アカデミー賞、5部門【主演男優賞(レオナルド・ディカプリオ)、助演男優賞(ジャイモン・フンスー)、編集賞、音響効果賞、録音賞】ノミネート作品。監督は「ラストサムライ」(2003)のエドワード・ズウィック。現在全国ロードショー中。

放談メンバー

はなこ
情報処理工学科卒。TOHOシネマズ二条でDLP&THX & DTS環境の『STAR WARS
エピソード3』を見て大感激。ミステリー&サスペンスも好き。好きな映画は『Mr. & Mrs.Smith』『犬神家の一族』『CUBE』

マサオ
哲学専攻。単館系映画と小説が好き。繊細でシャイでロマンチスト。知性溢れる女性がタイプ。好きな映画は『ミリオンダラー・ベイビー』『Snatch』『ニュー・シネマ・パラダイス』

ステラ
美少年が大好きな永遠の22歳。ハリーの成長と、タイタニックのディカプリオの溺死が解せない。尊敬する人は松田聖子。好きな映画は『ロード・オブ・ザ・リング』『魔女の宅急便』『プリティ・ウーマン』

はなこ、ダイヤモンドを買うときって何をチェックするべきか知ってる?

えっと…大きさ?

うーん、違う。

わかんない! ダイヤ持ってないもん!!

フフッ。こういうことは任せて。ダイヤモンドを買うときは"4つのC"―「color(カラー)」「cut(カット)」「clarity(透明度)」「carat(カラット)」―をチェックするのが重要でーす。

そのとおり。でも、実はもうひとつ、チェックすべき"C"があるんだ。それは……。

「cutely」かしら? まさに私♪

残念。「conflict(争い)」の"C"。この映画は実際に社会問題になっている紛争ダイヤモンドがテーマになんだ。資金調達のために不正に取引される血塗られたダイヤモンドのことだね。「不都合な真実」しかり、世界のタブーにスポットを当てる勇気は素晴らしい。

そんな大問題をも娯楽映画のネタにしちゃうのね、ハリウッドって。でもまぁ、アクションアドベンチャーとしては秀作よ。ダイヤを隠す元漁師・ソロモンは家族との平穏な生活を望み、ダイヤを狙う密売人・ダニーはそれを売って自由を得ようと企み、ダイヤの裏取引を知りたいジャーナリスト・マディーはバックグラウンドに隠された真実を追い求めるの。

3人それぞれが違う目的で巨大なピンク・ダイヤモンドの原石を追いかけながら、三人三様に葛藤しつつ、奮闘するのよね。

この映画、テンポもいいよね。2時間23分だけど、長く感じなかった。

正直言うとね、レオ様のアクションシーンが不安だったワ。近年、ゴシップで登場する彼、かなーり太めだったじゃない? おなかが重たくて走れないんじゃないかしら…って思ったけど、そんなことナイナイ! さすがレオ様、やるときはやるわ♪

うん、よく走ってたね♪

そうなの! 顔はちょっと丸いけど、走るお腹が揺れるほどなかったでしょ(ニッコリ)。それにラストは…うぅ。思い出すだけで泣けちゃうワ!!

わたしはソロモンの父性愛の強さに感動したな。最初は何があっても家族第一で、道草ばかりしようとするソロモンに「いいかげんにしてダイヤ探そうよ~」とイライラしてた。でもね、どこまでも真っ直ぐに家族を思うソロモンの姿に、ここまで家族を大事に思えるってすごいなと思った。わたしたちはモノに恵まれ、囲まれすぎていて、すごく大事なものを忘れているのかもしれない。

僕はマディーの聡明さが好きだな。上品で凛として、芯が強い。ジャーナリストとして、戦いで傷ついた人々にカメラを向けて記事にするという行為は、彼らの姿をお金に換えているわけだ。そんな二律背反の現実にジレンマを感じる彼女、いいね。その正直さに心が揺れたよ。

えーっ!? どーして仕事で頭でっかちな色気のない女に惹かれるの? いくら女の登場人物が少ないからって!

いや、あの媚びない色気がいいんだよ。

……。

それにしても、この映画を見たらダイヤモンドに対する価値観がすっかり変わっちゃったな。ショーケースに飾られた大粒の美しいダイヤモンドを見て、複雑な心境になるのはこの映画に出てくるキャラクターだけではないと思う。

あら、そう? ンフフフフフフフ……

な、なんだよ、ステラ

私はそれでも婚約指輪に給料10ヶ月分のダイヤを貰うのが夢なのよう♪レオ様みたいなヒトにね。ウフッ。





(イラスト:アサダニッキ)