映画化&イベント化も決定した『カメの甲羅はあばら骨』(SBクリエイティブ刊)で人気の古生物イラストレーター・川崎悟司さん。今年4月の新刊は、なんと「耳」だけにスポットを当てた動物図鑑です。

「人間がもし同じ耳の構造を持っていたら」というユニークな視点のイラストで楽しく読める動物図鑑『人間と比べてわかる 動物のスゴい耳図鑑』(2022年4月発売・宝島社刊)より一部を抜粋し、連載にて紹介します。

第1回のテーマは、「水中ではふさがるペンギンの耳の穴」です。

ペンギンの耳は水中で完全防水に

  • 『人間と比べてわかる 動物のスゴい耳図鑑』(2022年4月発売・宝島社刊)より引用

ペンギンの耳は、ほかの鳥と同様に穴だけですが、こちらも鳥類らしく、視覚と並んで聴覚も優れているようです。

ペンギンは水陸両方で生活できるよう、耳に特別な仕組みがあります。耳の穴は陸上でも羽でしっかり覆われていますが、水中では水圧で羽が押されぴったり閉じるようになっています。

ペンギンの体と耳は自然界のグッドデザイン!

世界にペンギンは18種います。種ごとにくちばしの長さや色、目の周りの模様などが異なりますが、基本的に、耳は羽に隠れて見えません。それこそ、“自然界のグッドデザイン”。ペンギンの耳は穴だけで、羽が水の流れに逆らわない方向に生え、より密着して、水が入らないようになっているのです。

  • 『人間と比べてわかる 動物のスゴい耳図鑑』(2022年4月発売・宝島社刊)より引用

ペンギンの音声コミュニケーション

水族館や動物園でペンギンを観察していると、夫婦や親子などのペアでの呼び鳴きが活発に行われていることがわかります。特にペアなどで、コンタクトコール(集団維持などの目的で使われる重要な声)に対して、パートナーが反応して鳴くところなども確認されています。

一度つがいになったペアの絆が長く続くのが、ペンギンの特徴です。オスの求愛の声や、それを聞いて応えるメスの声など、ペンギンの水槽では「音」に注目すると、いつもと違ったペンギンの魅力に気づきます。

水族館でペンギンを見るときのポイント

日本初の都市型高層水族館であるサンシャイン水族館(東京・池袋)には、おもに南アフリカ共和国の沿岸部に生息するケープペンギンがいます。ペンギンは個体差こそありますが、「一度決めた相手と一生連れ添うといわれ、ペアの結び付きはとても強い傾向があります」とのこと。

ペンギンの耳って見たことありますか? この『耳図鑑』のためだけに、サンシャイン水族館の飼育員さんが「 ペンギンの耳のクローズアップ」というマニアックな写真を撮ってくれたので、ぜひ手に取ってご覧ください。

まだある! 語れる耳ネタ

換羽シーズンは耳の穴が見えるかも

ペンギンの耳の穴を見てみたい! というコアなファンならペンギンの羽が生え変わる換羽の時期がチャンスです。いつもと違うボサボサの姿も最高。

親よりデカいオウサマペンギンのヒナ

大型のオウサマペンギン(体長約90cm)はヒナも巨大。大人のような硬い羽が生える前の綿羽のうちは、耳の穴が観察しやすいようです。

『人間と比べてわかる 動物のスゴい耳図鑑』(宝島社刊)

動物が持つ驚異の能力は「耳」がカギ!

効率的にエサをとるため、敵が出す音をよく拾えるようにするため―― 厳しい自然界で生き残るために進化した動物の耳。さまざまな能力があり、それはコミュニケーションのあり方につながります。

【川崎悟司さんより】
生き物の耳にはさまざまな形と機能があり、人間が感じることができない音を聴くことができる生き物もいます。また頭部に耳があるともかぎらない生き物や、そもそも耳はなく、体のどこかで音を感じとっている生き物もいます。だから生き物によってそれぞれ感じる音の世界は異なるでしょう。「そんな生き物たちの耳を人間が持っていたら……」を、イラストで可視化してみました。

動物園・水族館の飼育員、獣医師など、現場のプロに取材し、その秘密を解き明かします。

『カメの甲羅はあばら骨』(SBクリエイティブ)で人気の古生物イラストレーター・川崎悟司さんが描く、「人間がもし同じ耳の構造を持っていたら」というユニークな視点のイラストで楽しく読める動物図鑑です。