連載コラム『株トリビア』では、「わかっているようで、実はよく知らない!?」株式用語、経済用語について、経済キャスターの鈴木ともみ氏が解説します。
『JPX日経インデックス400』は、今年1月6日に算出を始めた新しい株価指数です。この新指数は、日本経済新聞社と日本取引所グループ、東京証券取引所の3社が共同で開発し、算出しています。株主から集めた資金をいかに効率的に活用し、どのくらいの利益を生み出せているかを示すROE(株主資本利益率)の高さなどをもとに選んだ400銘柄で構成され、毎年8月に定期的に見直し、入れ替えが行われることになっています。
入れ替えは、東証に上場する全銘柄(企業)のうち、まず売買代金や時価総額の大きい1000銘柄を選出し、さらに過去3期のROEと営業利益、6月最終営業日時点の時価総額を点数に付けて(加点)スコア付けされ、採用銘柄が決定します。
この『JPX日経インデックス400』が俄かに関心を集めるようになった背景には、129兆円の公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、国内株式のパッシブ運用のベンチマーク(運用指標)として、この新指数を新たに採用し、運用を始めたことにあります。
また、海外投資家を中心にROEの高い銘柄を買う傾向が強まっているのに加え、この新指数に連動して運用する投資信託も増加傾向にあり、こうした投信の増加は、個人投資家の間でも、ROEを重視する投資の流れにつながっています。その流れと共に、ROEを重視する『JPX日経インデックス400』が注目されるようになってきたのです。
今月8月29日(金)には、400銘柄のうちの31銘柄の入れ替えが行われ、『JPX日経インデックス400』も入れ替え後の銘柄で算出されることになります。
【採用された銘柄】
安藤ハザマ、NIPPO、テンプHD、カルビー、博報堂DYHD、スターバックスコーヒージャパン、アルフレッサHD、ヒューリック、大塚ホールディングス、タダノ、ミネベア、OKI、セイコーエプソン、パナソニック、横河電機、カシオ計算機、三井造船、名村造船所、マツダ、メディパルHD、リコー、中国銀行、アイフル、アコム、日立キャピタル、大和証券グループ本社、岡三証券グループ、東海東京フィナンシャルHD、松井証券、レオパレス21、日鉄住金物産
【除外された銘柄】
ミライトHD、山崎製パン、雪印メグミルク、不二製油、アダストリアHD、フィールズ、ビックカメラ、ココカラファイン、TOKAI HD、日本コークス工業、レンゴー、日医工、東和薬品、ソニー、アズビル、日立造船、プレス工業、コーナン商事、ワタミ、ゼンショーHD、サイゼリヤ、ガリバーインターナショナル、東京精密、キヤノン電子、リンテック、長瀬産業、東京エレクトロン、京都銀行、トモニHD、スカイマーク、カプコン
上場市場別では、東証1部が388銘柄、東証2部が1銘柄、東証マザーズが1銘柄、ジャスダックが10銘柄となっています。
入れ替え日の29日に向けて、またその前後では、採用銘柄、除外銘柄、いずれの株価も動きやすくなりますので、ぜひその動向をチェックしておいてください。
執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)
経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。