連載コラム『株トリビア』では、「わかっているようで、実はよく知らない!?」株式用語、経済用語について、経済キャスターの鈴木ともみ氏が解説します。
今回は、9月に中国の電子商取引最大手のアリババ集団が、米ニューヨーク証券取引所(NYSE)へ上場したことで、世界的にも話題となった『IPO』について取り上げます。
IPOとは「Initial Public Offering」の頭文字をとった略称で、「アイ・ピー・オー」と読み、日本語では新規公開株と呼ばれています。
新規公開株は、これまで非上場(上場していなかった)企業が、証券取引所に上場する際に売り出す株式となります
新たに証券取引所に上場するためには、上場基準となる一定の条件をクリアーしなければなりません。
上場を目指す企業には、事業の拡大や新規ビジネスにより、もっと会社を発展させたいという思いとやる気を持った企業が多いため、そのIPOに投資家の関心も集まりやすくなります。
すでに上場している銘柄(企業)であれば、いつでもその株式を買うことができますが、IPOの場合は、買いたいからといってすぐに買えるわけではなく、上場前のブックビルディング(需要申告)に参加することで、公開前の株式を手に入れることができます。ブックビルディングでは、予め設定されたIPOの見積もり価格(仮条件)をもとに「いくらで何株を買いたい」という投資家からの申告結果を参考に、まず公開(公募)価格が決められます。
そして、IPOは全ての証券会社に割り当てられるわけではなく、取り扱う証券会社が幹事社として決定しています。幹事社には発行株式の約半分が割り当てられますので、関心のあるIPOについては、幹事社となった証券会社のホームページなどで、常にブックビルディングの情報をつかんでおくと良いでしょう。
そして実際に新規上場し、IPOとして市場に売り出されてから最初についた株価が、その銘柄(企業)の初値となります。この初値が公開価格を上回るのか、下回るのか、上場初日の株価の動向に、市場が一喜一憂することもしばしばです。公開価格に対して2倍、3倍の初値がついたIPOは、その銘柄(企業)に対してさらなる期待が寄せられていることを意味します。ただその後、勢いが続かない場合には、一時の過熱感から人気が集まったという見方も出てきます。
10月は、9日にすかいらーく(3197)のIPO(再上場)が、16日にはリクルートホールディングス(6098)のIPO(新規上場)が予定されています。
ともに大型IPOとして市場の関心も高いだけに、上場初日の初値とその後の株価の動きについては、ぜひチェックしておきたいところです。
執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)
経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。