日々動き続ける株価。時には何らかのきっかけで大きく上下することもあります。株の取引をするためには、株価がどのような時に動くのかを知っておかなければなりません。そこで今回は、株価が動く要因について紹介しましょう。
1. 企業の業績
そもそも、株価が上下する直接的な理由は、買い手(需要)と売り手(供給)のバランスによって決まります。買い手が多ければ株価は上昇し、売り手が多くなれば株価は下落するということです。
では、そうした受給バランスを左右する要因には、どのようなものがあるのでしょうか。まず、株価に最も影響を与えるのは、企業の業績です。だからこそ、多くの投資家が『会社四季報』などで業績の過去の推移や今後の予想などをチェックするのです。また、「これから世の中に浸透する」と将来性を見込まれた事業には注目が集まるため、その企業の業績以上に株が買われ、株価が上昇することもあります。
2. 世界や日本の政治・経済、災害など
国際情勢が株価に大きく影響を与えることもあります。これは、国と国との間で貿易や人の移動、投資活動などが活発になり、世界中の国同士の経済的な結びつきが強くなる「経済のグローバル化」が進んでいるためです。たとえば、2008年にアメリカの大手証券会社であるリーマン・ブラザーズが経営破綻したことに端を発した「リーマンショック」は、アメリカやヨーロッパ諸国だけでなく、日本の株価にも深刻な影響をもたらしました。それ以外にも、過去にはシリア情勢やイラク情勢によって株価が大きく動いたこともあります。
また、国内の事例としては、2011年に発生した東日本大震災があります。原発事故による放射能漏れが影響し、日経平均株価が大幅に下落するなど、株式市場も大きく揺れることとなりました。このように、世界や国内の出来事が株価を上下させることもあるのです。
3. 経済指標
経済指標とは、政府など公的機関等が定期的に発表する、物価、金利、景気などの状態を数値化したものです。その国の経済状況や先行きを把握する重要な指標であるため、その指標が良ければ株が買われ、悪ければ売られる要因となります。国内で発表される経済指標として有名なものは、年に4回公表される「国内総生産(GDP)」や「日銀短観」、毎月公表される「鉱工業生産指数」などがあります。たとえば、国内総生産は国内で生産されたモノやサービスの総額を表していますが、その数字が前回よりも良ければ株価は上昇し、悪ければ下落することになります。
一方、海外の経済指標としては、アメリカの「米国内総生産(GDP)」や「米雇用統計」などがあり、これらの指標が日本国内の株価に影響することもあります。
4. 金利の上昇や下落
金利と株価にも関連があることをご存知でしょうか。一般的に、金利が上昇すると株価が下がり、金利が下落すると株価は上がる傾向にあります。金利が上がると、リスクのある株式より安全性の高い預貯金などに資金を預けようとする人が増えます。それなりの金利が期待できるとなれば、株式を売却してそのお金が預貯金に向かうため、必然的に株価が下がることになるのです。反対に、金利が下落した時には、お金を預けておくより株式などで投資を行ったほうが良いと考えます。その結果、金利が下落すると株価が上昇しやすくなるのです。
5. 景気の影響
景気が株価に関係することは、予想しやすいかもしれません。景気が良いと、人々の購買意欲が高まることで、モノが良く売れるようになります。モノが良く売れれば企業は生産量を増やし仕事が増えるため、業績が上がります。企業の業績が上がれば、株価が上昇する要因となるのです。反対に、景気が悪いとモノが売れず企業の業績が落ちていきます。その結果、株価が下がります。
このほかにも、急激に為替が動いた局面などには、株式市場に影響を及ぼすこともあります。また、ある企業の良いニュースは株価の上昇に、悪いニュースは株価の下落につながりますし、テレビ番組などで特定の企業の特集が組まれると、投資家に事業内容を知ってもらうきっかけとなり、それが株の購入を促すこともあります。
株価が動く要因は、企業の業績以外にも様々あることが理解できたでしょうか。正しく投資判断を下すために、日々の情報収集は欠かさずに行いたいですね。最近は、ネットでも最新情報が簡単に得られるようになりましたので、ぜひ活用してみてください。
筆者プロフィール: 武藤貴子
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント
会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中。FP Cafe登録FP。