パッケージにもタイトルにもデジャヴを感じる、注目のDVDをご紹介!

つい先日DVDが発売された「クローバーフィールド/HAKAISHA」は、ニューヨークを襲った謎の怪物と懸命に生き残ろうとする人々の戦いを描いたパニック映画……なのですが、今回ご紹介するのはそっちではなくて、よく似たタイトルの別の映画。

その名も、

!?

『クローンフィールド/HAKAISHI』

……。

なんかこう、もやっとするタイトルですが、実は原題は『Cemetery Gates』なので、要するに大人の事情でまったく違うタイトルになってしまったということみたいです。

しかも『クローバーフィールド』のDVDパッケージをご覧になった方ならピンと来ると思いますが、タイトルのフォントや全体的な色づかい、背景に見えるビル群までそっくりに作られています。

これほどまでにオブラートに包むつもりを微塵も感じないオマージュは僕も久しぶりに見たわ……。

……とまあ、露骨に流行に乗っかった感のある『クローンフィールド/HAKAISHI』ですが、中身は真っ当な(?)モンスターパニック映画です。

しかしながら、タイトルが原題から変更され、パッケージがアレになってしまったせいで、残念なことに数々のツッコミポイントが生まれてしまいました。そのあたりをツッコみつつ、さっそく物語を見ていきましょう。

なお、ここからは本作の邦題の命名者に敬意を表して、クローバーフィールドと比較しつつご紹介していきたいと思います。

「クローバーフィールド」と「クローンフィールド」は字面からしてかなりややこしいので、どっちがどっちか混同しないようしっかりついてきてくださいね。

こちらが原題のパッケージ。ずいぶん雰囲気が違います。

流血シーンに要注意!?

物語の主人公は、21歳の大学生、アレックス。

ある日、彼は大学の課題で出された映画の撮影のために、友人たちと寂れた炭鉱近くの霊園を訪れます。

……映画の舞台となるのはこの霊園のみで、他の場所は一切出てきません。

舞台となる霊園は、日本の墓地とはどことなく雰囲気が違います

クローバーフィールドはニューヨークが壊滅状態に陥っていましたが、このクローンフィールドで壊滅するのは霊園の中だけ。世界はいたって平和なままです。

「え? じゃあパッケージに写っていたビル群は何だったの?」という質問が出そうですが、そんなの僕が聞きたいです。

さて、順調に撮影を続けていたアレックス一行に、恐怖の時間が訪れます。
本作のもう一人の主役とも言える「モンスター」の登場です。

シルエットだけご紹介します

こいつの正体が物語の最大の謎ですので、気になる方は実際に本編をご覧ください。 クローバーフィールドの怪物の正体とは、また別の意味で驚くこと必至です。

「モンスター」の正体はさておき、何も知らずに見るとびっくりするのが、こいつの残虐さ。それはもう、ありとあらゆる方法で人間を殺しまくります。さすが、「死亡率86%の衝撃」というキャッチコピーは伊達じゃない。とにかく殺し方が残忍でグロテスクなので、スプラッタな映像がダメな方は要注意です。

どのくらいすごいかというと、クローバーフィールドに出てくる血の量を仮に100とすると、本作は1,000,000ぐらいあります。残忍度だけならクローバーフィールドなんて目じゃありません。

じゃあ、いちおう参考までに比較的平和な画像をお見せしますね。これでダメだという方は見ない方がいいです。マジで。

後ろの扉に注目。これでも血は少なめです

……ハイ、大丈夫でしょうか。

じゃあ流血レベルを上げましょうか。

もう少し酷いシーンですと、これぐらいです。

なんかもう血に見えない……※担当編集恐がりにつき、いつもより若干小さめにリサイズしております

……クローバーフィールドは、手ぶれっぽい映像のせいで気持ち悪くなってしまった人が多かったそうですが、クローンフィールドは別の原因で気持ち悪くなる人が出てきそうですね。

見どころはスプラッタだけじゃない!

ここまで書いといて今さらこんなこというのも何なんですが、実は僕も血が苦手です。

ということで、なんか嫌な汗をかいてきたので、ちょっと別の話を。

B級映画にありがちといえばエロ要素ですが、もちろん本作にもばっちり搭載。

『クローバーフィールド』でエロがないことに不満を抱いていた人も(そんな人いないと思うけど)どうぞ安心してお楽しみください。ただし、スプラッタ映画のお約束で、「エロ=死亡フラグ」なのでご用心をば。

登場する女優はみんなセクシー

……まあエロシーンは一瞬だけで、後は再びスプラッタ地獄に戻るんですけどね。

さて、ずっと見ているとつい残酷映像ばかりに気を取られがちですが、実はストーリーも意外としっかり作りこまれています。

アレックスとモンスターの意外な関係。モンスターを追うハンターの存在。霊園を訪れた人間を狙う追いはぎたち……。

これら3つの要素が重なりながら(そして死体も重なりながら)突入するクライマックスは必見!

誰が生き残るのか。モンスターの正体は何だったのか。 そのあたりを考えつつご覧いただくと面白いと思います。

恐るべきモンスターの正体とは……?

人間ドラマも見どころ

本記事の執筆中に、衝撃の事実発覚!

ということで、パッケージを見た瞬間からクローバーフィールドと比較されることが決定してしまった本作ですが、そもそもジャンルからしてまったく異なるわけで、比較はナンセンスでした。

いやでも、あんなパッケージを見てしまったら、僕じゃなくてもつっこまざるを得ないですよ!

もう一度ご覧ください

だいたい、サブタイトルの「HAKAISHI」って何なんですか。 クローバーフィールドの「HAKAISHA」をほんのちょっといじっただけじゃないですか。 そもそも本編に「HAKAISHI」なんて単語どこにも出てこなかっ……ん?

待てよ……?

クローンフィールドの舞台は霊園……。 霊園ってことはつまり墓地……。 墓地にあるのは墓石……HAKAISHI……。

ま、まさか……!?

いや、気のせいだということにしておきましょう。そうしましょう。うん……。

(C)2006 Cemetery Gates Productions Inc.

今回ぶった斬られていただいた愛すべき作品

クローンフィールド/HAKAISHI

キャスト:ピーター・スティクルス(『ショートバス』) / レジー・バニスター(『ファンタズム』) / エイメ・ウルフ / ニコール・デュポール / KY・エヴァンス / クリスティン・ノヴァク

監督:ロイ・クニリム「CE4 エイリアン・アブダクション」


AMGエンタテインメントより発売中 3,990円

山田井ユウキ

レビューサイト「カフェオレ・ライター」主宰。サイトでのP.N.は「マルコ」。映画はもちろんマンガ、ゲーム、さらにはBL作品に至るまで幅広くレビュー記事を執筆、その独特な視点とテンポのよい文章で人気を博し、連日30.000以上のPVを誇る