寒さの中にも春の気配が感じられ始めた今日この頃ですが、各劇場では早くも春爛漫といった具合に、話題作、注目作がいっぱい! そんな中でも、「これは見逃せない」とっておきの作品を3本、ご紹介します。
『ムサシ』 - 藤原竜也と小栗旬が真っ向勝負!?
井上ひさし作、蜷川幸雄演出の舞台で、藤原竜也と小栗旬が共演。これだけでも、演劇ファンの心をわしづかみにする話題作だということは十分、おわかりいただけるはず。 これまで井上作品を何作も演出してきた蜷川氏ですが、書き下ろし新作は意外にも今回が初めてなのだとか。吉川英治の、国民的小説ともいえる代表作『宮本武蔵』をベースに井上氏が独自のアレンジを施し、新しい宮本武蔵像を作り出します。さらに、主演には、今をときめく若手実力派俳優の筆頭二人が顔を揃えました。宮本武蔵に藤原竜也、佐々木小次郎に小栗旬という豪華配役です。2003年の『ハムレット』(蜷川演出)以来、6年ぶりの共演となる二人が、舞台上でどのような「闘い」を見せてくれるのか、チケット争奪戦は必至だけどこれは見ておかなければ!
なんといっても見どころは旬の俳優二人の演技対決
『ムサシ』 | |
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日程 | 2009年3月4日(水)~4月19日(日) |
会場 | 彩の国さいたま芸術劇場 大ホール(埼玉・さいたま) ※地方公演あり | 作 | 井上ひさし(吉川英治『宮本武蔵』より) |
演出 | 蜷川幸雄 |
キャスト | 藤原竜也、小栗旬、鈴木杏、辻萬長、吉田鋼太郎、白石加代子ほか |
料金 | S席10,500円、A席8,500円 |
『蜉蝣峠』 - 劇団☆新感線とクドカンの強力タッグに期待大!
ほかのどの舞台とも似ていない、パワフルな舞台が人気の劇団☆新感線。大音量や派手な舞台装置などに度肝を抜かれながらも、芝居が進むにつれ、次第にそのエンタテインメント性、ドラマ性の虜になっていきます。
今回、上演される『蜉蝣峠』は、劇団☆新感線の公演の中で、ドラマ性に重きを置く"いのうえ歌舞伎"シリーズ。エンタテインメント性の高い舞台は、わかりやすく、あまり舞台を見たことのない人や時代劇が苦手な人にも、ぜひチャレンジして欲しい舞台です。さらに、ならず者が集まる無法地帯・ろまん街にて繰り広げられるこの時代劇の脚本を、人気脚本家・宮藤官九郎が手がけているという点でも注目度大。クドカンのオリジナル書き下ろし時代劇は、舞台では本作が初めて。いったいどんなテイストの舞台になるのか? 楽しみは尽きません。
堤真一の悪役ぶり、新感線初参加の高岡早紀にも注目!
いのうえ歌舞伎・壊<Punk>『蜉蝣峠』 | |
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日程 | 2009年3月13日(金)~4月12日(日) |
会場 | 赤坂ACTシアター (東京・赤坂) ※地方公演演あり | 作 | 宮藤官九郎 |
演出 | いのうえひでのり |
キャスト | 古田新太、堤真一、高岡早紀、勝地涼、木村了ほか |
料金 | S席11,000円、A席9,000円 ※3月11日のプレビュー公演は各2,000円引 |
『さよならシアタートップス 最後の文化祭』 - 「東京サンシャインボーイズ」が15年ぶりに復活!
1985年秋に開館した新宿の小劇場・シアタートップス。小ぢんまりとしながら、独特な空気感をもつ大好きな劇場で、私もここでたくさんの大切な作品に出会いました。そのシアタートップスがこの3月末で閉館することになり、大ショックを受けていたのですが、閉館イベントとして、「さよならシアタートップス 最後の文化祭」が行われるといううれしいお知らせも! シアタートップスに縁のある劇団や俳優が集結して行われる演劇ファン垂涎の贅沢なイベントで、各劇団による短編オムニバスの上演や落語やトークのイベントが開催されます。それに、なんと「東京サンシャインボーイズ」が期間限定で復活すると聞いて、これまた大興奮。ご存知ない方もいらっしゃるかと思うので簡単に説明しましょう。三谷幸喜が主宰していた「東京サンシャインボーイズ」は、1994年の『東京サンシャインボーイズの罠』公演を最後に"30年間の充電期間"に入っているのですが、数多くの公演を行ってきたシアタートップスの閉館を受け、メンバーが再結集するとか。150席全12回公演とあり、プレミアチケット間違いなしですが、15年ぶりの復活をぜひとも見届けたいです~。
名劇場の最後をこの目に焼けつけたい!
『さよならシアタートップス 最後の文化祭』 | |
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日程 | 2009年3月18日(水)~3月29日(日) |
会場 | シアタートップス(東京・新宿) |
料金 | 3,500円 |
長谷川あや
大学時代から舞台にはまり、小劇団のストレートプレイから大型ミュージカルまでジャンルを問わず観劇。卒業後は出版社に入社し、編集者として活躍。1996年に退社し、現在はフリーライターとして、All About演劇・コンサートや女性誌、情報誌などで読みものページを中心に執筆している
イラスト:gnk