痩せるためには何が必要でしょうか? 運動、食事制限、などなどあるかと思います。でも運動する気力がない、食事制限したくてもできない……こんな経験ありませんか?

ではなぜそうなってしまうのか。その1つの原因として睡眠が影響しているかもしれません。人生の1/3の時間をも占めるという睡眠。それが実はダイエットにも関わっているなんて驚きませんか!?

今回は痩せるためになぜ睡眠が大切なのか、また睡眠で気をつけるべきポイントを解説していきたいと思います。これでもあなたのダイエットは簡単になるかもしれません!

  • 睡眠とダイエットの関係性って?

    睡眠とダイエットの関係性って?

睡眠改善で痩せやすくなる3つの理由

「睡眠を取ったくらいで痩せるようになるわけないでしょ……」そんな声が聞こえてきそうですが、実はダイエットで睡眠を甘く見てはいけません。睡眠時間が短くなるとそれだけで、食欲を強める働きのあるグレリンというホルモンの分泌が増えます。しかも反対にレプチンという食欲を抑えるホルモンの分泌が低下します。そのため、睡眠時間が短くなるだけで食欲が強まり、食べ過ぎを招きやすくなります。食べ過ぎるということは、当然摂取カロリーが増えることを意味します。摂取カロリーが消費カロリーよりも増えればダイエットは上手くいきません。

睡眠不足は糖質を処理する能力を下げる

また、睡眠不足は糖質を処理する能力を下げることに繋がります。糖質はごはんやパンや麺に多く含まれていて、身体の主要なエネルギー源です。血液の中にはグルコースという形で存在していて、すぐにエネルギーに変えることができるようになっています。このグルコースがどれだけあるかを血糖値で現します。血糖値の変動は食欲に強く影響します。

具体的には血糖値が上がると食欲が抑制され、血糖値が下がると食欲は増強します。このように短期的な食欲の変動には、血糖値が大きく関わっています。睡眠はこの血糖値に大きく影響を及ぼします。だから、睡眠不足になることで、血糖値が乱れやすくなり食欲が乱れることで食べ過ぎへ繋がります。

睡眠不足は無意識的な活動量の低下を招く

そして、睡眠不足は無意識的な活動量の低下を招きます。皆さんも経験があると思いますが、睡眠不足になると眠気と疲労の影響からやる気が落ちたり、なんとなく動く気がなくなってしまいますよね? すると、座りがちな行動を多くとるようになり、運動関連消費エネルギー消費量を減少させてしまいます。消費するエネルギーが低下してしまえば、当たり前ですがダイエットは上手くいかなくなります。このような理由から、ダイエットする際にはまず睡眠が重要になってくるのです。

【睡眠で痩せやすくなる3つの理由まとめ】

(1)食欲に関わるホルモン分泌の調整
(2)血糖値の乱れを防ぐ
(3)無意識的な活動量の増大

睡眠改善のポイントは?

睡眠がダイエットに大きく関わると理解したところで、最後に睡眠改善のポイントについて解説をします。睡眠は時間と質の両方が大切だと思っています。睡眠時間がいくら長くても、質が悪ければあまり意味はないし、いくら質が良くてもある程度の時間を確保しなればホルモンバランスは乱れます。よって、睡眠を考える際には時間と質の両方の視点が必要になります。

睡眠時間の目安は7時間~8時間程度です。人によって必要な睡眠時間は若干異なりますが、おおよそこのくらいを目安にできると良いかと思います。よくショートスリーパーに憧れる方も多いと思いますが、後天的にショートスリーパーになるのは難しいです。ショートスリーパーになれるかどうかは遺伝的な要素が強いと言われているからです。私もショートスリーパーに憧れて睡眠時間を短くしたら、日中に眠くてとても非効率だな、と思った経験があります。なので、ショートスリーパーに憧れる気持ちも分かりますが、ダイエットのためにはきちんと睡眠時間を確保するようにしましょう。

また、睡眠の質には様々なことが関与します。例えばお風呂の温度や部屋の温度や湿度、光の有無、ブルーライトの刺激、ストレスや不安などなど、挙げれば切りがありません。なので、具体的なポイントをいくつか解説します。

【睡眠の質改善8つのポイント】

・寝る前の脱スマホ
・40度くらいのお風呂に浸かる
・室温20度程度、湿度50%程度にする
・部屋を真っ暗にして遮光カーテンを閉める
・日中の適度な運動
・眠くなってから布団に入る
・ストレスや不安、悩みなどがあれば紙に書き出す
・寝酒をしない

このようなポイントを意識することで、睡眠の質が向上します。睡眠時間の確保と合わせて行うことで、ダイエットの手助けになるかと思います。

睡眠はダイエットの土台となる欠かせないものです。睡眠が不十分であった人は、ホルモンの分泌、血糖値の変動、無意識の運動量の増加による影響で痩せやすい身体を作ることができる可能性があります。ダイエットで悩んでいる方は今回の記事を参考にして、まずは睡眠を意識するようにしてみましょう。

【参考文献】
食欲の科学(櫻井武,講談社,2017)
睡眠医療,肥満と睡眠の疫学13:165-170(大塚雄一郎ほか,2019)
不眠症の科学(坪田聡,SB Creative,2011)