ストックサービスといえば、写真やイラストなどのイメージを買う場所として有名なサービスです。故にプロの制作現場で利用するためのサービスだと考えていらっしゃるかもしれません。そして、"価格も高価で権利などのこともあって取り扱いも難しそう"、"誰かが使ったイメージは使いたくない"などのイメージもあるかもしれません。

しかし、最近では素材の数や種類も豊富、価格も非常に安く、取り扱いも簡単になってきています。これまでのストックサービスのイメージとは違い、より身近で手軽なものとなってきているのです。また、サービス自体の選択肢も増え、作品に関しても写真やイラストなどの画像イメージがだけではなく、映像や音楽、イラストレーターで制作するベクターデータ、Webデザインで使用するFlashまで、様々な用途での利用が可能になっています。

本連載では、これまでプロの制作現場での利用が主流だったストックサービスを普段の仕事や趣味などの身近な場面で活用する方法を紹介していきます。

ストックサービスとは

ストックサービスとは文字通り、写真やイラストといったクリエイティブ作品をストックして(預かって)販売するインターネットサービス。一般的に、Webや広告、出版物などを制作する際に制作サイドが目的に合った写真やイラストなどを素材として選び、使用料を支払うことで利用されるサービスのことです。もともとは写真やイラストなどの画像イメージデータの販売が中心でしたが、近年は高速インターネットの普及から大容量データを扱うことが可能となり、動画や音楽など様々なクリエイティブ作品を販売するサービスも多くなっています。

これまではプロのクリエイターの作品を扱ったサービスが中心の市場でしたが、近年では自ら会員登録を行い、簡単な技術審査をクリアすれば作品をアップロードして販売できる「ユーザー投稿型マイクロストックサービス」の成長が著しい状況です。作品の種類は2種類で、デザイン素材として使用可能な「クリエイティブイメージ」と、ニュースや資料的に使用できる「エディトリアルイメージ」に分けることが出来ます。そして、使われ方(使い方)も「ライツマネージド(RM)」と「ロイヤリティフリー(RF)」の2種類に分けることが出来ます。

ストックサービスでは様々な種類のクリエイティブ作品が販売されている(サービスによって扱っているものは違います)
図版:書籍「イラストで稼ごう」より

ストックサービスで販売されている作品
<作品の種類>
・クリエイティブイメージ: 広告をはじめ使用用途が幅広く設定されている。デザインやイメージ制作の素材として使用できる作品。
・エディトリアルイメージ: 報道、スポーツ、エンターテインメントなどを扱う雑誌、TV、出版などで使用する作品。資料性があり、タレント、俳優、ミュージシャン、スポーツ選手、著名人や美術品、事件などのイメージが多い。クリエイティブのようなイメージ制作においての素材として使用するものではなく、ニュースや資料的な使い方ができる。

<使われ方、使い方の種類>
・ライツマネージド(RM)
ライツマネージドコンテンツは、作品を使用する媒体や配布地域、期間、部数、サイズなどの使用に関する仕様によって価格が設定される作品。使用期間・内容の範囲で「貸し出し」の形態をとるレンタル作品で、使用履歴も管理されている。
・ロイヤリティフリー(RF)
ロイヤリティフリーは、購入料金に使用料金も含まれており、原則的に一度購入すると使用許諾の範囲で何度でも使用できる販売商品。ファイルサイズや形式によって価格が設定され、使用履歴は管理されない。購入した作品は何度でも使用することができるが、販売物への使用や二次使用など、ストックサービスが定めた項目に該当する場合は、別途ライセンス料金が適応されることもある。

書籍「イラストで稼ごう」より

ユーザー投稿型マイクロストックサービス

ユーザー投稿型マイクロストックサービスの多くはクリエイティブコミュニティとしての歴史を持つものが多く、出品者はプロのクリエイターだけでなくアマチュアの参加も増えています。また、従来のストックサービスと違い、1点あたりの販売価格を低く設定してあることが大きな特徴です。作品単価が低い分、数多く売ることで1作品あたりの売上を伸ばす方法「マイクロペイメント型」であることから、「ユーザー投稿型マイクロストックサービス」と言われています。価格が低く手軽に利用できるサービスである「ユーザー投稿型マイクロストックサービス」は、利用者の大半をプロのデザイナーが占めていた従来のストックサービスとは違い、クリエイティブ業界以外にも広がっています。プレゼンテーションや企画書などのビジネスシーン、ポストカードや年賀状、ブログやホームページなどのパーソナルな目的にも使われるようになったことも、成長の要因といえます。扱っている作品のほとんどがロイヤリティフリー(RF)作品であることも特徴のひとつです。

次回は、サービスのリストや特徴などを紹介していく予定です。