前回は、普通のラジオの話に終始してしまったが、今回からは、きちんと(?)インターネットラジオの話を進めていきたいと思う。

radiko.jpについての一般常識

1,000万人以上が利用するメジャーなインターネットラジオサービス「radiko.jp」

国内でメジャーなインターネットラジオというと、やはり、「radiko.jp」ということになるだろう。同社のニュースリリースによると、2012年4月には、月間のユニークユーザーが1,000万人を突破したとのことだ。

これだけ普及しているので、もはや説明は不要ではという気もするが、「いまさらながらのインターネットラジオ」と銘打ったからにはそれも含めて説明したい(でも、なるべくサラッと)。

radiko.jpは、PCなどで利用できる無料のインターネットラジオサービスだ。民放の地上波ラジオ放送をそのまま同時に(サイマルキャスト)、放送エリアに準じた地域に配信するサービスで、ユーザー登録などは必要ない。PC環境では、ブラウザからradiko.jpのWebサイトを開いて聴取するか、radiko.jpガジェットを利用して聴取するのが一般的だ。iOS用、Android用のアプリも配布されている。radikoアプリが、スマートフォンにプリインストールされているケースも多い。

PCでの聴取は、OSがWindows XP/Vista/7、またはMac OS X10.5/10.6である必要がある。ブラウザは、Internet Explorer(IE)の7以上、Safari 3以上、Firefox 2以上となっている。また、Adobe Flash Player 10.2.152以上が必要だ。

パナソニックのテレビやレコーダー、オンキヨーのAVアンプなど、「radiko.jp」を利用可能な機器は増加傾向だ

PCやスマートフォンだけでなく、AV機器でも、radiko.jpを利用可能なモデルが増えている。パナソニックのテレビやレコーダーが採用している「ビエラ・コネクト」には、radiko.jpが登録されている。また、オンキヨー製のAVレシーバーからも、radiko.jpが利用可能だ。

radikoの目的の1つが、難聴取対策だ。radiko.jpに参加している放送局は、2012年6月現在で67あるが、基本的には、その放送局の可聴エリア内の放送だけを聞くことができる仕様となっている。

例えば、東京・神奈川・埼玉・千葉・栃木・茨城・群馬の首都圏では、中波のTBSラジオ、文化放送、ニッポン放送と、FMのInterFM、TOKYO FM、J-WAVEを聴取することができる。さらに、東京・神奈川・埼玉・千葉では、アール・エフ・ラジオ日本、ベイエフエム、エフエムナックファイブ、横浜エフエム放送を聴取することができる。自分が住んでいる地域以外の放送を聞きたいというニーズもあるかもしれないが、それは、radiko.jpの役割ではないようだ。

ただし、この聴取範囲は都道府県単位で判断されている。そのため、ラジオ電波は受信できるが、radiko.jpでは聴くことができない、あるいは逆にradiko.jpでは聴くことができるが電波を受信可能なエリアではないという状況も発生する。また、エリア判定は、IPアドレスかスマートフォンの位置情報で行われているため、それほど正確ではないという問題もある。なお、ラジオNIKKEI(昔のラジオたんぱ)と放送大学は全国放送なので、聴取エリアの制限はない。

録音についても簡単に触れておこう。録音には、サウンドボードの音声出力から録音を行う方法、専用のツールを使用して行う方法がある。サウンドカードやUSBオーディオなどに付いてくる録音ツールなどでも、とりあえず番組をリアルタイムに録音することは可能だ。しかし、番組表からの予約録音などが可能な専用ツールのほうが何かと便利だろう。

radiko.jpは、通信インフラを使って情報を送るシステムだ。しかし、著作権法では通信というカテゴリーは存在せず、放送のルールに従うことになる。そのため、一般のラジオ放送と同じように、番組を録音して個人的に使用するのならば、特に違法にはならない。もちろん、それを公開したりというのであれば話は別で、違法行為となる。ご注意いただきたい。

--次回に続く--