最近のテレビやレコーダーでは、DLNA(Digital Living Network Allianceの略)と呼ばれるネットワークに対応した製品が増えてきているのですが、機器が増えてきている割りには、あまり知られていないようです。例えば、ソニーでは、ソニールームリンクと呼んでいるのがそれです。非常に便利な機能なので、今回から何回かに分けで、このDLNA機能について話を進めていきたいと思います。

ソニーのBDレコーダー高画質/高音質モデル「BDZ-EX200」

DLNA機器でできることとを説明する前に、普通にテレビとレコーダーが接続されている場合について考えてみましょう。この場合、テレビとレコーダーは、Dケーブル、ビデオケーブルといったアナログ接続、またはデジタル接続のHDMIケーブルでつながれているはずです(RFでつないでいるという人はさすがにもう少ないでしょう)。

アナログ接続でもデジタル接続でも、基本的には、レコーダーから映像信号と音声信号が送られてくることになります。HDMIケーブルで普通に手に入るのは5~6m程度までで、例えば10m以上の長さのものは極端に高価になります。これらのケーブルは、基本的には同じ部屋にある機器どうしを接続するためのものです。それ以上の長さ、例えば別の部屋にある機器を利用するといった場合には、使えないとはいいませんが、使いにくいことは確かでしょう。

DLNAは、こういった不便を解消するもので、テレビとレコーダーの間はネットワークで接続されます。有線の場合もあるでしょうし、無線LANを使用すれば、さらに接続の自由度は高くなります。これを使えば、例えば別の部屋にあるレコーダーに録画されている番組を視聴することが可能になります。もちろん、単純に映像/音声ケーブルを伸ばした場合でも(あるいはトランスミッターのような機器を使用した場合でも)、となりの部屋の機器の映像を見ることは可能ですが、その場合と違うのは、テレビ側でレコーダー側のコントロールが可能という点です。これは、レコーダー側がDLNAサーバー、テレビ側がDLNAクライアントとして動作していることによるものです。つまり、DLNAクライアントであるテレビ側から、サーバーであるレコーダーにリクエストを出すことによって、指定したストリームが流されるということになります。CECに対応した機器どうしをHDMIで接続した場合には、テレビ側からレコーダーのコントロールが可能になるケースもありますが、CECによるコントロールは、あくまでもレコーダーを操作するための信号を送っているだけです。

以前、ネットワークメディアプレーヤーと呼ばれる機器が、一部のPCユーザーの中に普及していました。PC内の指定されたファイルまたはフォルダを、ネットワーク越しに再生するという機器で、例えば、CDからリッピングした音楽ファイルを、PCと離れた場所にあるステレオで再生したり、PC用のビデオキャプチャーカードで取り込んだアナログ放送番組をリビングのテレビなどで見る、といったことが可能でした。ただし、デジタル放送がメインになってからは、それまでのような、お気楽な状況ではなくなってしまいました(これに関しては、近いうちに)。

さて、当初、ネットワークメディアプレーヤやサーバーソフトには、特になんらかの規格が設けられていたわけではないので、互換性があったりなかったりと、いろいろと面倒だったのは確かです(何種類もクライアントを接続して、それに対応したサーバーソフトをそれぞれ動かしているというような人はあまりいなかったでしょうが)。で、各メーカーの製品を共通に使用できるようにしたのが、DLNA機器です。DLNAは家電メーカーが中心となっている団体なので、PCや専用の機器だけでなく、サーバーやクライアントとして使用できるテレビやレコーダー、さらにはコンポといった家電製品が、いくつも登場してきているわけです。

次回は、DLNAに対応したレコーダーと、テレビを使用することで、どういったことが可能になるのか、そして、その制限は、といった点について話を進めていきたいと思います。