クリエイティブメディアが8月に発売した「Sound Blaster Roar」(以下Roar)は、コンパクトかつ多機能なBluetoothスピーカーだ。以前、「Creative Airwave HD」を取り上げたことがあったが、Creative Airwave HDが、機能を優先したエンターテインメント向けのモデルだったのに対して、Roarは音楽再生をメインの用途としたモデル。そのサウンドにも期待できる。
ブックレットサイズのBluetoothスピーカー「Sound Blaster Roar」
Roarの外見は、W202×D115×H57mmの直方体。これを縦方向ではなく、横方向に設置して使用する。縦方向に設置するスピーカーに比べて設置面積は広くなるが、安定性では上回る。ただし、操作ボタンやインジケーター類がすべて上面に配置されているため、適正なリスニングポイントであるリスナーの耳の高さに設置すると、インジケーターの確認がしにくくなる。
手前の面には左右チャンネルのスピーカーを配置。フロントスピーカーユニットのサイズは1.5インチだ。天面には2.5インチ径の低域用ユニットを配置しており、2.1ch構成となっている。搭載しているアンプは、中高域用と低域用とで独立。また、左右の面には、それぞれ1本ずつのパッシブラジエーターが配置されている。
パワフルな音楽再生のために用意された「ROAR」モード
Roarの特徴は、製品名にも用いられている「ROAR」モードを搭載する点だ。ROARモードは、アンプに供給される電力を増やすことでパワフルな再生を行うモードだ。
実際に2つのモードを聞き比べてみると、ノーマルモードのほうは刺激が少なく聞き疲れしないサウンドだといえるが、少々まったりとしすぎる感しだ。一方、ROARモードでは、そういった柔らかさは影を潜める。音量が上がるのはもちろんなのだが、それだけでなく、音の輪郭がよりクッキリとし、ダイナミックかつキレのよいサウンドとなる。
また、Roarには「TERABASS」ボタンが装備されている。このボタンは基本的に、ボリュームを下げたときに低域を強調するためのボタンだ。インテリジェントな処理が行われており、フルパワーの際には効果がなくなるとのことだが、通常のレベルで再生を行うときに、より低域を増強するのにも効果的だ。ビート系の音楽を聞くときには、TERABASSボタンとROARモードを併用するとよいだろう。かなり強力な低域の量感を得ることができる。
しかし、ROARモードは通常よりも電力を多く消費するとされている。USBからのバスパワー、あるいはACアダプターで使用するときは、ROARモードを常用してもよいだろうが、バッテリー駆動の場合はどのくらいの時間、動作するのだろうか。
仕様では、通常モードのバッテリーでの動作時間は、最長で約8時間となっている。今回、フル充電の状態で、ROARモードで音楽再生を行ってみたところ、約7時間動作した。もちろん、音量によって動作時間は変化するだろうが、さほど極端に短くなるわけではないようだ。
プロファイルとコーデックともに3種類に対応するBluetooth接続
Bluetoothのバージョンは3.0だ。NFCにも対応している。対応プロファイルはA2DP、HFP、HSPで、音声コーデックはSBC、aptX、AACを利用できる。また、Bluetooth接続のモードを切り替えるスイッチを装備。「LSオフモード」「LSモード1」「LSモード2」の3つの動作モードを装備している。
LSオフモードは、不特定多数にBluetoothを開放するモード。LSモード1は登録済みのデバイスにのみ(8台まで)Bluetoothを開放するモード。LSモード2は、2台までのマルチポイント接続に対応したモードとなっている。LSモード2を利用した場合には、音楽再生と通話のそれぞれ自由に組み合わせることが可能だ。
レコーダーやプレーヤーなど豊富な機能を搭載
Roarは、microSDカードを利用したボイスレコーダー機能や、MP3プレーヤー機能を搭載している。機能面では、以前に紹介した「Creative Airwave HD」のサブセットといったところだ。
また、Roarの内蔵バッテリーは、6,000mAhと大容量だ。これを使用して、スマートフォンなどを充電することも可能となっている。
また、USBスピーカーとしても使用することが可能なのだが、筆者が今回お借りしたのは製品版とは仕様が異なっているようで、PCにドライバーをインストールすることができなかった。そのため、この点についての検証は行っていない。
コンパクトだがぞんぶんに音楽を楽しめるパワフルなサウンド
Roarはコンパクトなブックレットスタイルのワイヤレススピーカーだが、ROARモードを使用すると、とにかくパワフルなサウンドを楽しむことができる製品だ。単にパワフルというだけではなく、ボーカルの表現力も高い。また、(サイズの割には)意外なことに、定位や解像度も感じられる。
バッテリー内蔵のワイヤレススピーカーだが、ポータブルスピーカーとしてだけでなく、デスプトップや、もっと広いリビングのも音楽リスニング用としても十分利用できるだろう。