この記事では、スマートフォンや音楽プレーヤーに付属するイヤホンからの買い替え対象になりやすい価格帯の製品について、使い勝手や音質などをチェックしている。今回は、オーディオテクニカの「ATH-CKX7」を取り上げてみたい。ATH-CKX7は、2013年8月に発売された「ソニックフューエル」シリーズのインナーイヤーヘッドホンだ。

「ATH-CKX7」

ATH-CKX7は2014年7月末時点で5,000円台~6,000円台程度で販売されているようなので、プレーヤーやスマートフォンの標準品からの買い替えモデルとしても、妥当なところではないだろうか。

「CKX」シリーズの特徴は?

「ソニックフューエル」シリーズは、ストリート向けのヘッドホンということで、比較的低域の量感があるサウンドが特徴。同シリーズのインナーイヤータイプには、「CHX」と「CKX」の2種類があるのだが、CHXはオープンエアー型と密閉型のハイブリッドモデルで、低域だけでなく音の抜けや開放感を求める人向けの製品だ。一方、より高いフィット感を追求したのがCKXとなっている。

CKXの特徴となっているのが「ボールジョイント構造」と「Cチップ」だ。ポールジョイント構造は、ハウジングにジョイントが設けられており、角度が変わるというもの。耳の穴の形には個人差があるが、これによって、その差を吸収して装着性を高めるという工夫だ。

「ボールジョイント構造」

Cチップは、外側につけられたシリコン製のパーツだ。このCチップが耳の形に沿ってフィットすることで、安定した装着感を生み出す。スポーツタイプのインナーイヤーヘッドホンにもこれに近い構造を持つものがあるが、残念ながら、CKXは防水構造とはなっておらず、スポーツ向きとはいえない。なお、CチップはS/M/Lの3サイズ付属しており、耳のサイズによって取り換えることができる。

「Cチップ」は3サイズ用意されている

CKXは、「ATH-CKX5」「ATH-CKX7」「ATH-CKX9」の3モデルと、スマートフォン向けの機能をプラスしたそれらのバリエーションモデルがラインナップされている。ATH-CKX5とATH-CKX7はφ8mmドライバーを搭載。ただし、ATH-CKX7のドライバーは2層構造のダイヤフラム(振動板)を採用しており、低域だけでなく中高域の伸びもあるとのことだ。なお、ATH-CKX9はφ13.5mmの大口径ドライバーを搭載している。

「ATH-CKX7」の日常的な使い勝手は?

ATH-CKX7は、装着性の高い密閉型ということもあり、電車やバスなどの公共交通機関内での使用にも向いているようだ。イヤピースは、シリコンイヤピースがXS/S/M/Lの4サイズに、Complyのイヤピース「T400」が付属している。より高い遮音性を求めるのならば、Complyのイヤピースを使用すればよいだろう。

4サイズのイヤピースに加えComplyイヤピースが付属

ケーブルはY字型で長さは1.2m。フラットケーブルを採用しており、適当に丸めてかばんの中に入れておいても、それほど絡まることはなかった。ケーブルのブッシュ部分はハウジング側もプラグ側も大型の角ばったタイプが採用されている。これはデザイン性だけでなく、強度確保も目的としたものだろう。かなりがっしりとした作りになっている。

フラットケーブルを採用。分岐前、分岐後とも太さは3mm程度

ただし、ボールジョイント構造やCチップ、大型のブッシュの採用により、ATH-CKX7のサイズはかなり大きい。同じオーディオテクニカの「ATH-IM50」と比べてもあまり変わらないぐらいのサイズだ。ATH-IM50はデュアルシンフォニックドライバー、つまり2個のドライバーがタンデム構造で配置されているインナーイヤーヘッドホンなので、ATH-CKX7はシングルドライバーとしてはかなり大きめのサイズということになるだろう。前回取り上げたソニーの「XBA-C10」と比べると、かなりの差がある。

左が「ATH-IM50」との比較で、右が「XBA-C10」との比較

もっとも、CKXは小型化で装着性を高めるというよりも、しっかりとホールドすることで装着性を高めるという方向の製品だ。しっかりとホールドすることで生まれる高い密閉性が、ATH-CKX7の豊かな低域を生み出すひとつの要因になっているのは確かだと思う。なお、ATH-CKX7のサウンドの傾向については、まとめて別の回でお伝えしたい。

さて、次回だが、このATH-CKX7のサウンドの傾向について取り上げるのが自然な流れだと思う。しかし、少々気になるBluetoothスピーカーがリリースされたので、それについてお伝えしたい。ATH-CKX7のサウンドの傾向に関しては、次々回でお伝えしたい。