先日、クリエイティブメディアの高機能ヘッドホン「Sound Blaster EVO ZxR」(以下EVO ZxR)のレビューを掲載したのだが、同社には、まだまだ独特な機能を搭載するオーディオデバイスが存在する。今回紹介するアクティブスピーカー「SoundBlaster Axx」(型番「AXX200」)もそのひとつだ。
設置面積はコンパクトワイヤレススピーカー並み
縦型で六角柱デザインのAXX200。内部には2本のスピーカーユニットが上下に配置されている。2本のスピーカーは角度が変えられており、これによりステレオ再生を実現している。天面には静電タッチ式センサーが配置されており、オーディオ機能や通話機能のコントロールを行うことが可能だ。
本体サイズは約W72.3×D64×H200.6mm。長辺で20cmを超えるスピーカーなのだが、AXX200は縦置き専用なので、設置面積に関しては非常に少なくてすむ。下の写真はAXX200と、ソニーのコンパクトなワイヤレススピーカー「SRS-BTV5」を並べてみたところだ。2つの製品のサイズはかなり違うのだが、設置面積にはさほど差がない。
EVO ZxRと同様のサウンドコントロールを装備
AXX200は、EVO ZxRと同様にマルチコアのオーディオプロセッサ「SB-Axx1」を搭載しており、さまざまなサウンド設定を行うことができる。左下の画面は、PCにドライバーをインストールすると利用できる「Sound BlasterAxxコントロールパネル」で、右下の画面は、スマートフォンにインストールした「Sound Blaster Central」だ。
「SRXプロファイル」が、AX200の特性をコントロールする部分。ここで「編集」ボタンを押すと、音楽再生時に使用する機能を設定することができる。設定できる項目は「Surround」「Crystalizer」「Bass」「Smart Volume」「Dialog Plus」の5種類。Sorroundはバーチャルサラウンド機能で、Crystalizerは圧縮音源などで失われる音楽成分を補間する機能、Bassは低域増強機能だ。クロスオーバー周波数は、Bass機能でどこから下を増強するかをしているルもの。Smart Volumeは急激な音の変化を吸収する機能で、Dialog Plusは、映画のセリフなどをはっきりと聴き取りやすくする機能となっている。また、イコライザーが使用できるとろもEVO ZxRと同じだ。
入力インタフェースはUSB、Bluetooth、AUXが利用可能だ。本体の背面に配置されたmicroUSBポートは、PCやMacとの接続に使われるほか、電源入力としても利用される。Bluetoothのバージョンは2.1+EDRで、A2DP/AVRCP/HFPプロファイルに対応している。オーディオコーデックはSBCのほかに、aptXとAACが利用可能だ。NFCにも対応しており、スマートフォンなどとワンタッチで接続することができる。
アクティブスピーカーのカテゴリーを越える多機能さ
AXX200の特徴の1つがハンズフリー通話だ。ハンズフリー通話だけならば、多くのワイヤレススピーカーが対応しているのだが、AXX200の場合、内蔵されている「クアッドアレイマイク」とSB-Axx1により、かなり高度な処理を行うことができる。
クアッドアレイマイクは、4本のマイクが組み合わされたマイクアレイ。この4本のマイクは、Sound Blaster Centralの「Focus」機能により、指向性をコントロールすることが可能だ。Focus機能をオフにした場合は無指向性で、オンにした場合は20~180度の範囲で指向性を設定することができる。また、ノイズリダクション機能も搭載。ヘッドホンに内蔵されるノイズキャンセル機能は、再生時に周囲のノイズを低減するものだが、AX200のノイズキャンセル機能は、マイクから入力された音の中からノイズのみを低減させる効果を持っている。この2つの機能によって、騒がしい環境でも快適にスピーカーでのハンズフリー通話を行うことが可能だ。
AX200は、ボイスレコーダー機能を搭載しており、microSDメモリーカードに音声を記録することが可能だ。この機能は、ハンズフリー通話時にも利用できる。本体背面に装備されている「録音」ボタンを押すと通話内容を録音、その隣の再生ボタンを押すと、録音した内容を再生することができる。
そのほかにも、音楽プレーヤー機能、メガホン機能、ボイスチェンジ機能、他のデバイスへの充電機能などを装備している。音楽プレーヤー機能は、mictoSDカードに保存されているMP3/WMA形式のファイル再生を行うもので、AXX200の背面には、そのための専用のボタンが配置されている。
メガホン機能はマイクからの音声を増幅する機能。AX200をマイクのように持って使用する。ボイスチェンジ機能は、声にエフェクトをかけて自分の声とはまったく違う声にしてしまう機能だ。
バッテリーは容量5,200mAhのリチウムイオン充電池で、最長で約15時間の連続動作が可能だ。このバッテリーを利用して、スマートフォンなどのポータブルデバイスに充電を行うこともできる。
搭載された多くの機能を楽しみたい人向けのモデル
AX200は、同じSB-Axx1プロセッサを搭載しているEVO ZxRとは、方向性の異なる製品だ。EVO ZxRはφ50mmドライバーを採用しており、SB-Axx1のコントロールを使用しない状態でも優れたオーディオ性能を持っていた。これにより、自分でサウンドの質をコントロールできる楽しさに加えて、オーディオ的にも面白い製品に仕上がっていたといえるだろう。それに対して、AXX200は、コンパクトなキャビネットのワイヤレススピーカーということで、残念ながらサウンドのクオリティはEVO ZxRほどではない。
しかし、機能はこれでもかというほどに豊富だ。AX200は、PCやスマートフォンを、より快適に楽しく使うための、ある意味がジェット的な製品だといえるだろう。この部分を楽しめる人には、なかなか面白いチョイスになるはずだ。