LEDの配線が終わったら、後は(本数はともかく)難易度はやや下がる。ということで手順を追って説明する。

図1

図2

図3

図4

図5

(1)(図1) 適当な長さの配線を切っておき、まず10本分のアノードに配線を取り付ける(Photo01)。配線はこちらで紹介した耐熱電子ワイヤーである。
(2)(図2) これとは別に、抵抗を配するユニバーサル基板に取り付ける配線も用意し、両方を絡めて残った10本のアノードに半田付けする(Photo02)。
(3)(図3) ユニバーサル基板に150Ωの抵抗を10本配置し、これにアノードからの配線を取り付ける。また、抵抗の反対側にも別の配線をとりつける(Photo03,04)。
(4)(図4) カソード側の合計8箇所に配線を取り付ける(Photo05,06)。
(5)(図5) 18本の配線を、3対のピンにそれぞれ取り付ける(Photo07,08)。ピンそのものも、こちらに出てきたピンである。

Photo01: ちょっと分かりにくいが、この写真では一番奥の列のLEDの根元にリード線が取り付けられているのが分かる。配線を間違えないように、被覆の色を全部変えるのが吉。配線そのものは6cm前後+被覆を剥いた部分を両端1cmほど用意し、軽く両方とも半田メッキしてからアノードに絡ませて半田付け、終わった後であまった配線やリードをニッパで切り取る。

Photo02: ちょっと分かりにくいが、2本の配線をあらかじめ絡めておき、それをアノードに更に絡めて半田付け、という方法を取る。半田がきれいでないのはご愛嬌。

Photo03: ちょっと妙な配線になっているのは、一度途中まで半田付けをした時点で配線ミスがあることに気がつき、あわててジャンパを飛ばす形で対処したから。実はここまでやっても、まだ1対配線がひっくり返っていたのだが。

Photo04: 裏からみるとこんな具合。この写真で言えば左側がLEDアレイにつながる配線である。

Photo05: これは図4で言えば、赤色LEDのカソードから配線を引っ張っている部分。

Photo06: こちらは図4で言えば、緑色LEDのカソードから配線を引っ張っている部分。実装中、ここがうっかりショートしていたことにしばらく気がつかず、だいぶ悩む羽目に。

Photo07: これはもうArduinoに差し込んだ後の写真。方法は簡単で、やはり配線の被覆を剥いて軽く半田メッキしてからピンに絡ませ、半田付けをしたあとで余分な部分を切っておしまいである。なんかピン同士が接触してそうに見えるが、一応接触はしていない。

Photo08: 反対側から見た風景。こちらの方が配線の具合が分かりやすいかもしれない。

ということで、ここまでの手順が終われば半田付け工作は終了である。ちなみにいきなり全部やらずに、(1)が終わったら一度接触をテスターなりArduinoを使って確認、(2)が終わったらやっぱり確認、というように細かく確認作業を行うのが無難である。

問題が無ければ残りはケースへの内蔵ということになる。以前にもこの写真(Photo09)を出したと思うが、今回はArduinoを含めてすべての配線をフロントパネルの裏側に収めることが出来た。LEDに関しては、本当は後でホットボンドを上からあてて固定しようと思ったのだが、実際に作ってみたら別にホットボンドなしでも(余程の振動を与えない限り)LEDが抜けたりしそうにないのでこのまま放置でした。ただ、穴が3mmφより大きく開いてしまってLEDが緩みやすい、なんて場合は半田付け作業が完全に終わった後で、上からホットボンドを使って固めるのが無難だろう。ユニバーサル基板とArduinoは両面テープで留めているだけだが、これは後で剥がしたり写真を撮ったりする(まさにこの原稿を書くために、何度も剥がしたり付け直したりした)からで、そうした用途が不要ということであれば、これもホットボンドで留めてしまってかまわないと思う。頑丈にやるのなら穴を開けてねじで留めるとかになるだろうが、そうするとフロントパネルに穴が開いてしまうし、プラスチックのパネルだから長期的にはひびが入りかねない。なので、アルミ板などを使って穴の付近を補強するといった対応も必要かもしれない。ただ、そこまでの頑丈さが必要な用途はあまり思いつかないのだが。

Photo09: 抵抗を配したユニバーサル基板の両面テープがちょっと剥がれかけ。

話を戻すと、今回はそんなわけでフロントパネル裏側に全部の機構を収めたが、人によっては裏側に納まらないようなケースだとかもあるだろう。その場合はケース本体の底面とか、ドライブベイあたりに加工をしてArduinoやユニバーサル基板を収め、そこから18本分のケーブルをフロントパネル側に引っ張ることになると思われる。今回はUSBケーブルをマザーボードから引っ張ってArduinoにつなげ、これで信号伝達と電源供給の両方を行わせる様にしたので比較的簡単であった。

問題はUSBをどうやってマザーボードから引っ張ってくるか、であるが、これはマザーボード上のUSBピンヘッダを利用した(Photo10,11)。最近のチップセットは10を超えるUSBポートをサポートするが、バックパネルに出ている分はせいぜい8くらいで、後はフロントパネル側に引っ張るとか、拡張スロットを利用してUSBポートを接続するといった形になっている。そこでこの拡張スロット用のブラケットを利用してUSBコネクタを引っ張り出し、ここに普通のUSBケーブルをつなげてArduinoと接続するという方法をとった。

Photo10: この方式の欠点はUSBケーブルが長すぎる場合が多いこと。やむなくケース底面でごらんのようにとぐろを巻いている羽目に。

Photo11: 最初はケース底面に穴を開けて、ブラケットをねじ止めしようと考えていたのだが、マザーボードが小さいためにケース側のマザーボード取り付け用ネジ穴がいくつか余っていた。そこでブラケットをこの穴にネジ止めという形でスマートにUSBコネクタが利用できるようになった。

ちなみに搭載しているマザーボードはJetwayのATOM-GM1-330である。Atom 330搭載のFlexATX(JetwayはMicroATXと言い張っている)マシンで、これにWindows 7 64bit 日本語版のHome Editionを乗せ、Arduino IDE以外にVisual Studio 2010 Expressまで入れて、今回の開発を全部行ったが、パフォーマンス的には(LEDレベルメータの実行を含めて)特に問題はなかった。

ということでハードウェア工作編は今回で終了、次回からはソフトウェア編である。

(続く)