USB 3.0が公式にアナウンスされたのは、IDF Fall 2007の基調講演の事。そこから1年あまり経過した2008年11月に、正式にUSB 3.0のSpecificationが公開された。
Photo01: SUPERSPEED USB Certified(嘘)な猫、ノンちゃん。ただいま里親募集中。 |
今年1月に開催されたCES 2009においては、Ellisysのブースで富士通マイクロエレクトロニクスのUSB⇔SATAブリッジチップがデモ展示されており、順調に行けば夏ごろを目処にサンプル出荷が始まるそうである。またPLDAやFresco Logicは既にFPGAなどをターゲットとしたUSB 3.0のDevice IP/Host IPの提供を開始しており、(そのまま量産という訳には行かないにしても)既にUSB 3.0の環境を作る事が可能になっている。Fresco LogicやPLDAのIPは、PIPE I/FでUSB 3.0 PCSと接続されるが、このUSB 3.0 PCSについても既にSymwaveがプレスリリースを出しているほか、Prism Circuitsなども開発中である事を匂わせている。大手PHYベンダーもまだ公式アナウンスは無いものの開発は進めているようだ。NECエレクトロニクスもプレスリリースを出しており、開発が順調であることをアナウンスしている。
PCにおいて、Flash Memoryベースの高速ストレージデバイスを接続するのが最初のターゲットとされるが、その範疇で考えても単なるUSBメモリのみならず、HD DVC(Digital Video Camera)などの接続には極めて適していると考えられるし、その先にはもっと多くのアプリケーションが控えている事は間違いない。例えばUSB接続の地デジチューナーにしても、USB 3.0の帯域があればハイビジョンを複数チャネル同時に受信するのも問題は無いだろうし、あるいはUSBカメラの類にしても現在市販されているものよりも高画質、高フレームレートの製品が問題なく使える事になる。
とりあえずUSB 3.0の競合規格はeSATAということになるだろうが、eSATAはあくまでストレージのみの接続方式であり、対するUSB 3.0はあくまで最初のターゲットがeSATAというだけで、事実上何でも接続できる汎用バスである。
事実、最近話題になっているのがHDMIとの競合である。こちらでもちょっとレポートしているが、Wireless USBにDisplayLinkのコントローラを組み合わせた製品が出てきているが、別にDisplay Linkのコントローラを使わなくても、USB 3.0のスピードがあればHD映像を非圧縮でも楽に転送できる。こうしたこともあって、映像出力のインターフェースとしてUSB 3.0が見直されつつある。特に携帯機器向けの次世代映像出力I/Fの座を巡り、HDMIとUSB 3.0が思いっきり衝突しそうだ。(この映像出力I/Fに関してはDisplayPortもあったりするので、更に混乱が続きそうだ)。
まぁそうしたマーケティングの話はあまり筆者は得意とするところではないし、今後どうなるかが見通せる訳でもないので脇においておくとして、とりあえずSpecification 1.0がリリースされたことで、プロトコル廻りやコネクタなどがきちんと確定した訳なので、このあたりを次回からきちんとまとめてご紹介してゆきたいと思う。このあたり、IDFのレポートという形で2回(こちらの記事とこちらの記事)レポートしているが、整理の意味を込めてもう一度全部紹介しなおしたい。
ということで、「またバスかよ」の声も聞こえそうだが、何しろバスをメインにやってきている人なので、ご容赦いただければ、と思う。