Q: では最後の質問を。ちょうど今の話に絡むんですが、良く言われている事に、最近日本の設計力が落ちていると言われます。要する大手ベンダーにおいても、例えば台湾にODM、OEMの形で丸投げしちゃってる。日本ではそれにラベル付けてマーケティングとかパッケージングだけして出しちゃっているというベンダーさん結構多い。で、大手に関してはあれなんですが、特に中小の企業の技術力の落ち方が半端じゃない。この辺り、Xilinx Japanとしては如何なんでしょう? Xilinxさんというのも非常に両刃な所があって。
Rogan: 両刃って?
白: 両方。相手と一緒に自分を傷付けるとか。
Q: つまり、良いソリューションではあるんだけど、Xilinxを全部で使っていると、もうアナログ技術の要とかデジタル技術の要とか、そういうのが段々と。要するにXilinxが例えばIPとデバイスを持って来て、Reference Circuitも持って来て、それで回路作れちゃうというのは、長期的には設計力が落ちてる事にもなりかねないと思うんですよね。
Rogan: これから僕の言うことは正反対なんですが、僕は、日本の技術力は全然落ちてないと思うんですよ。僕は日本のビジネス力が落ちていると思うんですよね。
Q: ビジネス力が落ちている。
Rogan: 技術力は、例えば携帯電話もパソコンも一時期やっぱり日本で皆作っていたじゃないですか。でもどんどんOEMをやってもらったりとか、海外のブランドも結構入っているんですよ。そうすると、汎用になるとどうしても東南アジアとかそういう所に行くんです。逆に言うと、日本のメーカーはすごい上手いと思うのは、彼らがどうやって差別化するかと言うと、やっぱり最新最高にいい物を作らなければいけない、と思って、それをやっているんですよ。そういう意味で、技術力は落ちて無い、です。
ただポイントは、どうやってその技術の素晴らしさをビジネスにするのか。で、日本はブランド力は結構あるんですけれども、どうしてもWorld Marketになりますので、コストで競合する為にはスケールが必要になります。ですので、どうしても海外で成功しなければいけないんですよ。だからといって、海外で成功する為に、台湾とか東南アジアと同じようにシステムを低価格で販売しようとすると、区別性が無くなるんですよ。やっぱり高機能のものなんですね。じゃあ、何がいいのか、先程の、百システムを出して十システム、十システムを出して一システムが成功すると言う話ですけれども、日本の場合はやっぱりASICにこだわっているんです。大きい数量を出さないといけないから、そんなに種類が出せない。だから技術落ちてるんじゃないかと誤解されているんですが、そうじゃなくて、そのビジネスの判断が僕に言わせると「間違えている」と思うんですけど。
Q: だからそこをFPGAを使って、低コストにすることで、と。なるほど。
Rogan: 我々はビジネスのコンサルティングもやりますよ(笑)。
Q: 絵に描いたようなすばらしい回答ですね(笑)。
白: 実際そういう話もあるんですよ。企画会議の時に来て下さいっていう。ところどころでね。
Q: ああ、もうそこまで食い込まれましたか。企画の段階で呼ばれるようになると、大体ビジネスってうまく行くようになって行くんですよね。勿論、物を作った段階で呼ばれるってのがまあ一番最初の取っ掛かりですけどね。Xilinxさんも昔はそういうパターン多かったですよね。
白: 昔はもうほとんど一番底辺で戦ってましたから、なんかこれやったんだけど……
Q: これ作った所で、これ繋げなきゃ行けなくなっちゃった~とかいう(笑)。
白: ここに何入れたらいい? っていう話です。最近はこういう全体のシステム像があるんだけど、どうやったらXilinx上手く使えるのって話とか。なんか意見は無いですかっていう。
Rogan: あともう一つ。これやっぱりちょっとXilinxのビジネスの雰囲気が変わったと思うんですよ。僕の過去の経験で言うと、AMDで、やはり会社として、お客さんとはほとんど役員とか、開発担当の事業部長とか、そういうクラスの方とお付き合いしていたんですよね。で、Spantionに行ってからは、やはり汎用品ですから、担当とか主任とかで決める会社だったんですよね。で、Xilinxに来て、もう少しやっぱり上層クラスのお客さんと付き合っていると思っていたんですよ。で、まあ確かにTelecom関係そうです。ただTelecom以外は殆どそうじゃない、というが僕の感覚ですね。今それを変えてきて、どんどんExecutiveとのRelationを作っているので、もう少し深く(ビジネスに)入れるんじゃないかなと思うんですよ。Executiveは、どうやってこのビジネスを良くするのか、コストを絞るのか、どうやって別の人が持っていない物をやり易く持って行くのかとか、そういう事をどうしても気にするんですよね。担当はこのプロジェクトやってますので、これが入るか入らないか、そういう感じだと思いますので。
Q: なるほど。最後に非常にいい、教科書的なお答えをいただけました(笑)。