暮らしの中でふと出てくるいろいろなお悩み、家電を利用して解決できることは多いもの。IT・家電ジャーナリストで家電製品総合アドバイザーの安蔵靖志さんに、おすすめ家電や使い方を紹介してもらいます。

今回のご相談

ダイエットのためにランニングを始めようと考えています。音楽を聴きながらランニングしたいのですが、耳をふさぐイヤホンは危険という話を聞いて心配になっています。ランニング中にも安心して音楽を楽しめるイヤホンはないでしょうか?(20代・女性)

Shokzの「OpenRun Pro Mini」(実勢価格:23,880円)をおすすめします

公園内のジョギングコースなどであれば、耳をふさぐ完全ワイヤレスイヤホンやネックバンド型のワイヤレスイヤホンを装着していても大きな危険はありませんが、街中の歩道を走る場合は、周囲の音が聞こえなくなってしまうため危険です。耳をふさぐイヤホンや、周囲の騒音を抑えるノイズキャンセリング機能付きイヤホンはあまりおすすめできません(ノイズキャンセリング機能をオフにするか、外音取り込み機能を持つ製品ならある程度は大丈夫です)。

  • Shokzの「OpenRun Pro Mini」は、骨伝導方式のBluetoothワイヤレスイヤホン。カラーはブラックとベージュの2色。バンド部分が約21mm長い「OpenRun Pro」もあります

音楽を聞きながらランニングをしたい人は、耳をふさがないタイプのイヤホンを検討してみてください。中でもShokzの「OpenRun Pro Mini」をおすすめしたいポイントは以下の通りです。

  • 耳を全くふさがない「骨伝導技術」を採用
  • 激しい動きでもずれにくく、安心の防じん・防水性能
  • 約10時間の連続再生が可能

【ポイント1】耳を全くふさがない「骨伝導技術」を採用

OpenRun Pro Miniは、骨の振動によって鼓膜を経由せずに音を脳に伝達させる「骨伝導技術」を採用したネックバンド型イヤホンです。鼓膜を経由する一般的なイヤホンは耳の穴をふさぐため、自動車の走行音や電車のアナウンス、人の声など、周囲の音がどうしても聞こえにくくなります。一方、骨伝導イヤホンは耳をふさがずに音を伝達できるため、周囲の音を遮断せずに音楽を楽しめる点が大きな特徴です。

骨伝導イヤホンは昔から存在していますが、音質面がいまひとつでした。最近の製品はかなり良くなり、OpenRun Pro Miniの音質も全体的に解像感が感じられます。相応のクオリティを持つ完全ワイヤレスイヤホンなどと比べれば物足りない部分はあるものの、低域もしっかりと出てパワフルなサウンドを楽しめます。骨伝導イヤホンは骨を振動させて音を伝えるため、使い始めはくすぐったく感じることもあるのですが、慣れると気にならなくなると思います。

【ポイント2】激しい動きでもずれにくく、安心の防じん・防水性能

ネックバンド型のOpenRun Pro Miniは、耳の前方に骨伝導デバイスを接触させて音を伝える仕組みです。ネックバンドにはチタンフレームを採用しており、スピーカー部も耳を周囲からホールドするようなスタイルなので、頭を激しく振っても外れるようなことはありません。OpenRun Pro Miniは2022年3月発売の「OpenRun Pro」からネックバンドを約21mm短くしており、頭が小さい人に向いたモデルです。OpenRun ProとOpenRun Pro Miniの性能は同じなので、頭の大きさに応じて選ぶといいでしょう。

ランニングしながら音楽を聞いていると、汗や雨も気になります。OpenRun Pro MiniはIP55(粉じんが中に入らず、あらゆる方向からの噴流水に耐える)の防じん・防水性能を装備。ホコリや汗で汚れても、サッと水洗いできるので清潔に保てます。

【ポイント3】約10時間の連続再生が可能

OpenRun Pro Miniは、1回の充電で最大10時間の連続再生が可能なバッテリーを搭載しています。充電は専用ケーブルですが、近付ければ装着されるマグネット式になっており、充電の煩わしさはありません。約5分間の充電で最大1.5時間の音楽再生ができる急速充電に対応しているのもうれしい点です。

こんなイヤホンもおすすめ

■IPX4の防滴性能を採用し、複数コーデックに対応する軟骨伝導モデル
オーディオテクニカ「ATH-CC500BT」(直販価格:17,600円)

  • オーディオテクニカ「ATH-CC500BT」のカラーはブラックとベージュの2色

OpenRun Pro Miniと同じネックバンドスタイルのBluetoothイヤホンですが、OpenRun Pro Miniの「骨伝導」とは異なる「軟骨伝導」を採用しているところが大きな特徴です。頭蓋骨の振動から音が伝わる「骨伝導」よりも効率よく音が伝わり、よりステレオ感も得られるとしています。1回の充電で約20時間の再生が可能。Bluetoothの標準コーデックであるSBCに加えて、高音質なAAC、apt X/aptX HDコーデックにも対応しています(同じコーデックに対応した再生機器が必要)。

音質面ではOpenRun Pro Miniとも遜色ありませんが、防水性能はIPX4の防滴仕様。充電用のUSB端子が非防水(ゴムのフタ付き)であるため、汗で濡れても水洗いはNGです。充電やメンテナンスの面で、今回の一押しから外れました。その点が気にならなければ、性能的にはリーズナブルとも言えるのでおすすめです。

■ドーナツ形状のドライバーを搭載するユニークな完全ワイヤレスイヤホン
ソニー「LinkBuds WF-L900」(直販価格:23,100円)

振動板の中心部が開放されている「リング型ドライバーユニット」を採用することで、耳をふさがずにリスニングできる、ユニークなスタイルの完全ワイヤレスイヤホンです。骨伝導タイプのイヤホンに比べると耳の一部はふさぐものの、一般的な外音取り込み機能よりも自然な環境音が耳に入ります。

本体のみで約5.5時間の連続再生、ケース充電も含めると合計約17.5時間の再生に対応します。10分の充電で90分の連続再生が可能な急速充電もサポートしており、IPX4の防滴性能も備えています。高音質と自然な外音取り込みを両立しているのが大きな魅力ですが、ランニング時には耳から外れるリスクも伴います。軽いジョギングや日常生活でのリスニングにぴったりかもしれません。