暮らしの中でふと出てくるいろいろなお悩み、家電を利用して解決できることは多いもの。IT・家電ジャーナリストで家電製品総合アドバイザーの安蔵靖志さんに、おすすめ家電や使い方を紹介してもらいます。
今回のご相談
近いうちにパートナーと一緒に暮らし始めることになりました。家具も家電もいろいろとそろえなければならないのですが、気になっているのが冷蔵庫です。どういう選び方をすればいいのか分かりません……。(20代・女性)
三菱電機「MR-CX33H」(実勢価格:130,000円前後)をおすすめします
冷蔵庫を選ぶときに重要なのは、「容量」「設置スペース」「扉の開き方」「消費電力」「野菜室の場所」の5つです。特に重要なのは、必要な容量を置くスペースがあるかどうかですね。容量は以下の計算がひとつの目安といえます。
(70L×家族の人数)+120L~170L(常備品容量)+100L(予備スペース)
計算すると1人暮らしでも290~340L、2人で360~410Lとかなり大容量です。もちろんこれはライフスタイルによっても変わってきます。1~2人暮らしだと十分な設置スペースを確保できない場合もあると思いますが、2人暮らしなら「300L以上」を目安にするといいでしょう。そんな中で三菱電機の「MR-CX33H」をおすすめしたいポイントは以下です。
- 肉や魚を長持ちさせる「氷点下ストッカーA.I.」を搭載
- 全段ガラスシェルフやすべて洗える自動製氷機能で清潔に保てる
- 年間の電気代が比較的安い
【ポイント1】肉や魚を長持ちさせる「氷点下ストッカーA.I.」を搭載
今回は設置スペースがどのくらいあるのかが分からないため、300L~350Lの冷蔵庫からおすすめのモデルを選びました。
実は400L未満の場合、なかなか自信を持っておすすめできる冷蔵庫は少ないのです。なぜなら各メーカーとも、基本的に400Lを超えるファミリー向けモデルが主力となっており、400L未満のモデルだと例えば鮮度保持機能が省かれていたりします。
鮮度保持機能とは、パナソニックの「微凍結パーシャル」、東芝の「速鮮チルド」、日立の「特鮮氷温ルーム」、シャープの「プラズマクラスターうるおいチルド」などが当たります。400L未満ではこうした魅力的な鮮度保持機能を搭載するモデルが多くありません。
三菱電機のMR-CX33Hは、冷蔵室180L、野菜室70L、冷凍室80Lと、全部で330Lの容量を実現した中型冷蔵庫です。右開き(ドアの左側に手をかけて右に開くタイプ)のほか、逆方向の左開きモデルも用意しています。
チルドルームに搭載する「氷点下ストッカーA.I.」は、水を氷点下まで冷やしても凍らない「過冷却現象」を利用し、氷点下でも肉や魚などの食品を凍らせずに保存できるというもの。チルドや冷蔵室より低い約-3℃~0℃の温度で冷やすことによって、肉なら8~10日間、魚でも3~5日間保存できるようになります。
急な出張や残業、飲み会などで予定していた食材を消費できなくなってしまった場合でも、このような鮮度保持機能を搭載している冷蔵庫ならより安心して日々の生活を送れると思います。
【ポイント2】全段ガラスシェルフやすべて洗える自動製氷機能で清潔に保てる
全段の棚がガラスシェルフになっており、汚れが付いてもさっと拭き取ればきれいになる点が魅力的です。奥へスライドすると、手前に牛乳パックや500mLペットボトルなど背の高い物を入れられる「ワン・ツー棚」も備えています。
冷蔵室内のタンクから直接製氷皿に給水し、自動的に氷を作ってくれる自動製氷機能も便利です。給水タンクは埋め込み式になっているため、氷点下ストッカールーム、チルドルームともに幅広く使えます。ボタン一つで製氷皿をすすぎ洗いしてくれる「製氷皿おそうじモード」を搭載するほか、給水タンクやポンプ、パイプまで外して洗えるため、清潔に使えます。
【ポイント3】年間の電気代が比較的安い
冷蔵庫は24時間365日稼働する家電なので、電気代が高くなっているいまは省エネ性も気になるところでしょう。大型の冷蔵庫ほど消費電力が高くて電気代がかかると思われるかもしれませんが、実は逆です。大型の冷蔵庫では、省エネ性を向上させるために断熱性能を高めるような仕組みが導入されています。130Lの小型冷蔵庫よりも、550Lの大型冷蔵庫のほうが年間消費電力量が少ないことが多いのです。
その点、MR-CX33Hは中型モデルという位置付けで、年間消費電力量は325kWh/年(年間の電気代は1kWhあたり31円換算で10,075円)に抑えられています。より省エネ性を求めるのであれば、設置スペースを確認しつつ400L以上のモデルを選ぶのもおすすめですが、MR-CX33Hはトータルバランスのいい製品ではないかと思います。
こんな製品もおすすめ
■独自の“どっちもドア”搭載で引っ越しも安心
シャープ「SJ-GW35J」(実勢価格:150,000円前後)
定格容量350L(冷蔵室183L、冷凍室99L、野菜室68L)の3ドアタイプ。シャープらしい「どっちもドア」は、左右どちらからでも大きく開けるのが大きな特徴です。
冷蔵庫全室を循環させるプラズマクラスター機能(イオン物質による除菌効果や脱臭効果)のほか、ボタン1つで冷蔵室、チルドルーム、冷凍室、野菜室を低温制御する「低温新鮮モード」などを備えています。三菱電機の「氷点下ストッカーA.I.」ほどインテリジェントではないものの、鮮度保持機能としては注目の機能です。野菜室の密閉度を高める高湿度シールド構造によって野菜を乾燥から守って長持ちさせる「シャキット野菜室」もあります。年間消費電力量は340kWh/年(約10,540円)です。
■300L台のフレンチドア、大容量冷凍室や微凍結機能を搭載
アイリスオーヤマ「IRSN-32A」(実勢価格:85,000円前後)
定格内容積320Lで、そのうち冷蔵室が191L、冷凍室が129Lと、冷凍室が充実した中型冷蔵庫。このサイズでは珍しく両開きのフレンチドア(観音開き)を採用しており、内部のどこに何を入れるかにもよりますが、左右どちらからでも食材を出し入れしやすくなっています。
冷蔵室の下にある2段の引き出しはどちらも冷凍室。冷凍食品を保存したり、作り置き料理をホームフリージングしたりとしっかり活用できます。冷蔵室の下部にあるチルドルームは、温度を下げて微冷凍状態にする機能も備えています。毎日しっかり料理する人には野菜室がない(冷蔵室が比較的小さい)のはマイナスポイントですが、冷凍食品や冷凍の食材を活用したい人にはぴったりのモデルです。年間消費電力量は348kWh/年(約10,788)です。なお発売が2021年12月ということで、2023年4月時点でやや品薄傾向となっていいます。