暮らしの中でふと出てくるいろいろなお悩み、家電を利用して解決できることは多いもの。IT・家電ジャーナリストで家電製品総合アドバイザーの安蔵靖志さんに、おすすめ家電や使い方を紹介してもらいます。

今回のご相談

息子が4月から一人暮らしを始めますが、今までほとんど料理をしたことがなく、温めができる電子レンジのほかにトースターも買おうと思っています。最近のトースターで焼いたトーストはとてもおいしいと聞いたのですが、そんなに予算はかけられません。おいしくパンを焼けるコスパの良いトースターを教えてください。(40代・女性)

象印マホービン「STAN. EQ-FA22」(実勢価格:20,000円前後)をおすすめします

  • STAN. EQ-FA22」の本体サイズは幅33.5×奥行き30×高さ26.5cm、庫内サイズは幅27×奥行き23×高さ10.5cm。本体カラーはブラックの1色です

トーストを「外カリッ中フワッ」とおいしく焼き上げるアプローチはさまざまですが、あまり料理に慣れていない、もしくは調理家電の使いこなしに自信がない人には、センサーでヒーターを自動コントロールする「マイコン搭載トースター」がよいでしょう。象印マホービンの「STAN. EQ-FA22」をおすすめしたいポイントは以下です。

  • 9つのマイコン自動コース搭載で失敗なし
  • コンパクトでシンプルなデザイン
  • メンテナンスがしやすい

【ポイント1】9つのマイコン自動コース搭載で失敗なし

「高火力ですばやく焼けるタイプ」や「スチームで水分を閉じ込めて焼き上げるタイプ」など、最近のトースターはパンをおいしく焼く工夫が凝らされています。まさにメーカー努力の賜物(たまもの)です。

低価格帯のトースターは、火力(ワット数)とタイマーを選んで調理する手動タイプが主流です。手動タイプはある程度の慣れが必要ですし、「トーストはうまく焼けても調理パンや菓子パンは焦げ付かせてしまう」といったケースもよくあります。自動メニューを搭載するマイコンタイプの場合、メニューを選んでスタートするだけで自動的に適切な焼き加減で仕上げてくれるので、失敗せずにおいしいパンやそのほかの調理メニューを味わえるのです。

  • 自動メニューでの調理は、選択つまみを回してコースを指定(中央のディスプレイにコース番号表示)、選択つまみを押して決定、選択つまみを回して「焼き色」の加減を指定、選択つまみを押して調理スタート――という手順

STAN. EQ-FA22は、「サクふわトースト」「トースト」「冷凍サクふわトースト」「冷凍トースト」「ロールパン」「クロワッサン」「冷凍クロワッサン生地焼き上げ」「手づくりパン」「フライあたため」という、9通りのマイコン自動コースを搭載しています。ほかのトースターと比べてちょっとパンに寄っている感じもしますが、「フライあたため」を使えば揚げ物をおいしく温め直せるので、使い勝手はかなりいいと思います。

自動コースや手動調理機能の選択は、つまみを回して数字を選んでから決定を押すという操作。自動コースごとに独立したボタンを備えるトースターよりは、操作のステップは多くなります。慣れてしまえば気になりませんが、そこがミニマルデザインとのトレードオフと言えます。

【ポイント2】コンパクトでシンプルなデザイン

  • STAN. EQ-FA22は「2枚焼き」サイズ

トースター(の容量)は2枚焼きがいいのか4枚焼きがいいのか、好みが分かれるところです。ピザを丸のまま焼きたいなら、庫内サイズが幅・奥行きともに30cm前後ある4枚焼きがおすすめです。一人暮らしの決して広くないスペースに置くのであれば、2枚焼き程度がコンパクトでいいと思います。

STAN. EQ-FA22は本体サイズが幅33.5×奥行き30×高さ26.5cmと比較的コンパクト。ボタンの少ないシンプルでミニマルなデザインも魅力です。

【ポイント3】メンテナンスがしやすい

他社のトースターではあまり見かけない特徴のひとつに挙げられるのは、「はずせるとびら」です。STAN. EQ-FA22は焼き網を外してつまみをスライドするだけで、簡単に前面の扉を外せます。扉の裏側や本体とのすき間など、汚れやすいのに手が届きにくい部分も手軽にお手入れできます。こうしたメンテナンスのしやすさも大切です。

こんなトースターもおすすめ

■16種類の自動メニューを搭載、ノンフライ調理や低温調理も可能
日立グローバルライフソリューションズ「HMO-F300」(実勢価格:19,800円前後)

  • 「HMO-F300」の本体サイズは幅37.6×奥行き41.3×高さ24.9cm、庫内サイズは幅32.2×奥行き32.4×高さ10.1cm。本体カラーはストーンブラックとホワイトの2色

機能面やコスパで見ると、圧倒的に魅力的なコンベクションオーブントースター。STAN. EQ-FA22とも肩を並べる製品です。こちらは4枚焼きタイプでサイズは大きめですが、6つのオートメニューキーで16種類ものオートメニューを選べます。デザイン面はSTAN. EQ-FA22のほうがシンプルでおしゃれですが、ボタン1つでトーストやピザなどを焼ける使い勝手はHMO-F300が上です。

HMO-F300は上下ヒーターに加えてファンを搭載しており、油を使わない「ノンフライ調理」も可能。40℃~80℃の温度設定で最長5時間までの低温調理もできます。付属の焼き網を追加して2段焼き網にすると、ビーフジャーキーやドライフルーツなどのドライフード作りも。一人暮らしというよりはファミリー向けとして、いろいろな調理に活用できるマルチプレーヤーです。

■折り紙付きの性能でヒットを続ける高級オーブントースター
パナソニック「ビストロ NT-D700」(実勢価格:28,000円前後)

  • ビストロ NT-D700」の本体サイズは幅34.1×奥行き32.8×高さ26.9cm、庫内サイズは幅26×奥行き25×高さ9.5cm。庫内の容量は2枚焼きです。本体カラーはブラックとホワイトの2色

コンパクトでデザインもシンプル、そしてダイヤル1つでメニューや焼き加減を選べる使いやすさを備えたオーブントースターです。厚切りトーストや薄切りトースト、アレンジトースト、フランスパン、クロワッサン、そうざいパン、じっくり焼きいも、フライあたためなど、15のオートメニューを搭載しています。

本体中央下部にフルドットディスプレイを搭載しており、ダイヤルでメニューや焼き加減などを選びながら操作できる点が魅力。豊富なメニューやトーストのおいしさ、デザインなど完成度は抜群ですが、ちょっと高いのが難点です。

さて、今回紹介した3製品を一言でまとめると、STAN. EQ-FA22は「コンパクトでデザインの良さとメンテナンス性の高さが魅力のパン特化型」、HMO-F300は「サイズは大きいものの多機能・高機能」、NT-D700は「価格は高めでも豊富な自動メニューと高性能がウリの高級機」という印象です。それぞれ良し悪しはあるものの、家電の操作に慣れていない人でもまず失敗せずに使えるので、どれを選んでも間違いないと思います。