暮らしの中でふと出てくるいろいろなお悩み、家電を利用して解決できることは多いもの。IT・家電ジャーナリストで家電製品総合アドバイザーの安蔵靖志さんに、おすすめ家電や使い方を紹介してもらいます。

今回のご相談

最近は焼き芋屋さんが増えていて、いろいろなお店で食べるのを楽しみにしています。自宅でも美味しい焼き芋を作ってみたい思うようになりましたが、トースターとか焼き芋メーカーとかいろいろあって、どれを選べばいいのか分かりません。焼き芋を美味しく焼けるおすすめの家電を教えてください。(30代・女性)

ドウシシャの「焼き芋メーカー(タイマー付き)WFX-102T」(直販価格:11,880円)をおすすめします

冬は焼き芋が恋しくなりますね。日本いも類研究会によると、焼き芋が甘くなるのは、さつまいもに含まれるβ-アミラーゼという消化酵素が加熱されることによって、でん粉を麦芽糖という甘味成分に変えるから。変化する温度帯は70℃前後ということで、「この温度帯をいかに長く保持するかが、甘くて美味しい焼きいもづくりのポイント」とのこと(「焼きいもが甘いのはなぜですか?」から)。

近年は焼き芋を美味しく作れるトースターや、焼き芋専門の焼き芋メーカーなども登場していますが、「焼き芋モード」などを搭載する調理家電は、すべて上記のアプローチによって適切な焼き加減にしてくれるようになっています。その中でもここでは、ドウシシャの「焼き芋メーカー(タイマー付き)WFX-102T」(以下、WFX-102T)をおすすめします。

  • 専用設計のため、短時間で美味しい焼き芋を作れる
  • さつまいもを入れてタイマーをセットするだけの簡単操作
  • 平面プレートでの調理も可能

【ポイント1】専用設計のため、短時間で美味しい焼き芋を作れる

「焼き芋を美味しく焼ける調理家電」というピンポイントのテーマはなかなか難しいのですが、焼き芋に限ってみると、WFX-102Tの「約40分」という調理時間の短さはかなりの魅力です。

その秘密は、直径約6cm×長さ約22cmまでのさつまいもを2本同時に焼ける備長炭入りの「焼き芋プレート」にあります。大きなさつまいもや、形が整っていないさつまいもはそのままでは焼けない(切って並べる必要がある)ものの、さつまいもを本体上下のヒーターでじっくり包み込むように焼き、さつまいもの芯まで熱が伝わる構造です。焼き上がりに1~2時間かかる製品もあるので、40分で完成するのはうれしいポイント。思い立ったら早く食べたいですからね。

  • 備長炭入りの焼き芋プレートを使って、2本のさつまいもを焼けます

【ポイント2】さつまいもを入れてタイマーをセットするだけの簡単操作

WFX-102Tの場合、焼き芋プレートにさつまいもをセットしてふたを閉じ、タイマーの目盛りを40に合わせるだけと、操作はとても簡単。アルミホイルでさつまいもを巻いたり、水を入れたりする準備もいらないので、焼き芋をよく食べる人にはとても楽でいいと思います。

焼き芋プレートにはフッ素加工が施されているので、もし焦げ付いても取り外して丸洗いできて、お手入れも簡単です。

【ポイント3】平面プレートでの調理も可能

WFX-102Tには焼き芋プレートのほか、波型加工を施した「平面プレート」も付属しているため、ホットサンドなども焼けます。上下にヒーターが付いていることから、ホットプレートのような使い方には向きませんが、焼き芋だけでなくホットサンドも作りたいという人にはぴったりだと思います。

  • 付属の平面プレートを使えば、両面こんがりのホットサンドが簡単に作れます

こんな製品もおすすめ

■約2時間で蜜たっぷりの焼き芋を焼けるトースター
ライソン「超蜜やきいもトースター(KLYM-001B )」(直販価格:18,480円)

  • 「超蜜やきいもトースター(KLYM-001B )」には、やきいも専用ケース、焼き芋読本、オリジナルレシピブック、超蜜やきいも調理ガイドなどが付属します。本体サイズは約幅355×奥行き315×高さ210mm、やきいも専用ケースは約幅255×奥行き195×高さ65mmです

「やきいも専用ケース」にアルミホイルで包んださつまいもと水を入れて焼くことで、近赤外線効果によってさつまいもの中までしっかりと熱を通して焼き上げてくれるトースターです。「全国やきいもグランプリ2022」で準グランプリを受賞した東京・西大井の人気店「超蜜やきいもpukupuku」が監修・開発協力した「超蜜やきいもモード」を搭載。最初は低温でスタートして最後は高温で焼き上げるという、こだわりのマイコン制御を導入しています。

トースターとしても使えて、決して高くない価格設定なので、こちらもかなりおすすめです。蜜たっぷりに焼き上げてくれる焼き芋の味は抜群なのですが、さつまいもをアルミホイルで巻いて水も必要など手間がかかることと、焼き上げに約2時間かかること、WFX-102Tより値段が高いことから、ここでは次点としました。ただ、トースターも買い替えたいと考えている人にはもっともおすすめのモデルです。

■トーストだけでなく、美味しい焼き芋も堪能できるトースター
パナソニック「ビストロ NT-D700」(直販価格:27,720円)

  • パナソニックの高級トースター「ビストロ NT-D700」には、ブラックとホワイトの2色があります。本体サイズは幅341×奥行き328×高さ269mm

食材の表面を焼き上げる上下2本の遠赤外線ヒーターと、食材の中まで熱を通す近赤外線ヒーターの「遠近トリプルヒーター」をインテリジェント制御するオーブントースターです。厚切りトースト、薄切りトースト、アレンジトーストといったモードに加えて、「焼きいも」「じっくり焼きいも」モードを搭載。さつまいもの太さや重さに応じて、焼き加減1(53~54分)から焼き加減5(72~73分)まで選べるようになっています。

焼き芋にこだわり抜いた設計や付属品を用意しているわけではないのですが、トースターとしての圧倒的な高性能がおすすめポイントです。常温や冷凍のトーストだけでなく、具材を載せたアレンジトースト、フランスパンなども焦げ付かせずに美味しく焼き上げてくれます。焼き芋の仕上がりは、上記の2製品にはわずかに及ばない印象ですが、トータルで性能の高いトースターが欲しいという人におすすめです。