JR山手線「鶯谷」駅の南口から陸橋を渡り、言問通りの方へ出てすぐのところにある「かくや」(東京都台東区)に行った。飲食店が雑然とひしめき合うエリア、その場所で昼の11時から深夜まで営業するそば屋である。調べると、「かくや」はどうやら両国にもあるらしい。
食べ盛り・働き盛りの男たちよ、いらっしゃい!
店頭にベタベタと貼られた派手なメニューがにぎやかしい。2階のスープカレー店の看板も一役買っている。メニューを見ていくと、メインはつけそばのようだが、丼ものや唐揚げ定食といった献立も目につく。
大盛りは無料で、さらに学割サービスがあるなど、店のテンションは高い、というか若い。訪問したのは開店直後だったので相客はいなかったが、食べ盛り・働き盛りの男たちがターゲットなのではないかと察する。
店内に入るとすぐ右側に食券機。隣に厨房。食券機には英語メニューも置かれていたので、海外客も多いのかもしれない。店内は着席カウンターのみ。10数人くらいは入るだろうか、店の規模としてはさほど大きくはない。
注文したのは「牛筋青唐つけそば」(税込790円)で、一般的な立ち食いそばの価格帯からすると2倍以上だが、ランチと考えれば妥当か。食券を渡すとそばが大盛りの旨を尋ねられたが、ここはアラフォー世代、後半おいしく食べられなくなっても申し訳ないので、普通盛りでお願いした。
牛筋のカタマリは甘辛コッテリ
セルフの水をくんで待つ。ポットでのほうじ茶サービスもあるようだ。テーブルにはサイドメニューやアルコールのメニューなども置かれている。飲んだ後の〆のそば、というよりは普通に一軒目としても活躍しそうな雰囲気が漂っている。そんなこんなで、2分ほどでつけそばが完成した。
あえて強いコシを残して茹でられたそばを、牛筋のカタマリがたっぷりと入ったつけ汁でいただく。甘辛くコッテリしていて、食べ応えは抜群だ。そばに添えられた白髪ネギは、ショリショリとした歯ざわりのアクセントに。
青唐辛子はゴマと一緒に別添えのタレになっていて、これをつけ汁に流し込むことで、甘辛からピリ辛に劇的に変化。せっかくなので、半分くらい食べ進めてから使うことをオススメする。
結論を言えば、普通盛りで十分すぎる量だったが、選択肢が多いのは素直にうれしい。つけそばは総じてジャンクな味が多いので賛否が分かれるところだが、「おなかいっぱい食べて午後もがんばろう!」などと、そんなポジティブな元気を与えてくれるのは間違いない。
筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)
1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。