渋谷駅から道玄坂を東急百貨店方面に上った先の「嵯峨谷」(東京都渋谷区)。なんと24時間営業で、眠らない夜の渋谷を縁の下から支えている力持ち(?)である。嵯峨谷は都内に新宿や池袋など数店舗ある。売りは、なんといっても「十割そば」を味わえるところだ。
チャーシューに半熟卵まで
入り口は味のある木製の引き戸。メニューサンプルとともに石臼がディスプレイされており、立ち食いそばの雰囲気はあまりない。店内は奥に細長いウナギの寝床式で、両側に着席カウンターが配置。人がすれ違うのがやっとのスペースだ。
15時くらいの訪問だったが、店内は8~9割埋まっており、若い男女が多いのがさすが渋谷。左手に券売機が2台。十割そばということで、もりそばと迷ったが、ここは「肉そば(温)」(税込490円)を注文。カウンターで半券を受け取って、しばし待つ。
番号で呼ばれ、半券と引き換えに受け取る。豚のバラ肉が4~5枚入っており、おいしそうな脂がつゆに浮かんでいる。そこに、卓上のつぼから好きなだけワカメを放り込む。無料で「肉わかめそば」にグレードアップできるのはうれしい。
つゆは甘め。肝心の十割そばは、さすが看板にするだけあって、ボソボソ感は全くなく、やや太めの平打ち麺は食感も香りもいい。ボリュームはあまりないが、深夜にすするにはちょうどいいくらいの量なのかもしれない。
今回は紹介できなかったが、初めて行くなら冷たいそばで、まずその香りを味わってほしい。看板にもなっている冷麦もぜひ。
※記事中の情報は2016年3月取材時のもの
筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)
1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。